デンマークの夏の暮らしとお茶とお香
強い陽射しに、生ぬるい空気ー8月のデンマークは暑さがぶり返し、もう最後ともなろう夏らしい日々が続いている。デンマークの夏は日本の夏に比べて短く、すぐに寒く、薄暗くなってしまうから、暑いとはいえ貴重な夏日だ。街の人々はそんなデンマークの夏を満喫するべく、アイスクリームショップに行列を作ったり、海に行ったりと思い思いに過ごしている。
冬には葉のついていなかった街の木々も青々と茂っており、道端には雑草が花を咲かせている。なもなき雑草たちはそれぞれに花を咲かせる時期が異なっており、散歩に行くたびに新しい花を見つけられるのは小さな楽しみだ。冬には想像もつかなかったような沢山の種類の花々は、ぽつぽつと小さな花が咲きとてもかわいいものである。
そんな中、私のもっぱらの夏のお気に入りの過ごし方は、外でお茶を飲むことである。
天気の良い、暑い日には特にお茶の氷出しが美味しい。平ための器に茶葉を入れ、その上に氷を詰んで少しづつお茶を出していく。時間はかかるが、外にいると自然が表情をさまざまに変え楽しませてくれるので、待っている時間も待っているものと思わないものだ。そんな時はお香も一緒に焚く。ゆらりと登る煙が、風に乗って香りを運んでくれる。
気づけば小さな湯のみに半分ほどのお茶が出ているーゆっくり、氷から溶け出しただけの量の水で抽出されているので味も凝縮されている。樹々の揺れる音に耳を傾けながら、貴重な一滴一滴を口に運ぶ。
そんな夏を過ごしていたら、香雅堂さんから夏の終わりにおすすめのお香「女郎花」に合うお茶を選んでくれませんか、というお話があった。偶然にも「女郎花」の材料にはデンマークで今の季節親しみの深いカモミールが使われており、今の季節にぴったりである。香り自体は、タイトルの女郎花とも相まって外の景色に咲く可憐な小さな花々を連想させるが、それでいてふわふわ曖昧な感じはなく、芯のしっかり通った凛とした印象である。
そんなお香「女郎花」には、いくつか思い当たるお茶はあったが、今回京都・加茂自然農園さんの「かぶせ茶」を選んだ。農薬も肥料も使わない加茂自然農園さんのかぶせ茶は、爽やかですっきりとした旨みでお香を引き立ててくれると思ったのだ。それと同時に、このお茶も「女郎花」と同じくどこか芯のしっかりした印象があり、お茶とお香のジャンルの違う力強さ同士を出会わせて見ようとも思った。
飲み方としては、やはり先に述べたような氷出しをおすすめしたい。急須や、片口に茶葉を入れ氷を上に積み、じんわりと氷でお茶を淹れてみる方法である。その際に、「女郎花」を焚きながらのんびりと氷が溶けるのを待ってみてほしい。気づけば、皆さんの周りにもカモミールの咲くデンマークの夏が見えてくるかも、しれない。
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