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警察官はプライドを捨てるたびに成長できる

プライドは持つものではなく、捨てるものだと思う。
プライドを捨てることによって成長できる。
本当に仕事ができる人はこれまで誰よりもプライドを捨ててきた人だと思う。
プライドを持つのはもちろん大事だけど、そのプライドのために、成長が止まるのなら捨ててしまおう。

刑事というプライド

僕は巡査で機動隊を2年経験した後、幸運にも希望していた刑事課に入ることができた。

それから、がむしゃらに働いて一通り仕事を覚えた。刑事になって1年半後に巡査部長に昇任して異動した。

警察署の交番勤務となった。この時の僕は天狗になっていた。刑事課で仕事をしたのは、1年半だけで、まだまだ半人前で大した仕事も任されていなかったのに、刑事課出身だというプライドを持っていた。

それゆえ、交番の仕事でも刑事関係は率先してやるけど、交通取締りは基本的にやらなかった。

今思えば勘違いしている若手の典型だった。僕が一番嫌いなタイプだ。でも当時は自分のことを客観視することができなくて、全く気付いていなかった。今思うと本当に恥ずかしい。

刑事課と交通課の関係

個人的に刑事課は交通課を軽視する風潮があると思う。

その理由として、刑事課員は事件が起きれば昼夜関係なく、休みの時も呼び出される。事件解決までプライベートも犠牲にして働くのが当たり前。

それに比べて交通課は、基本的に計画通りに休みがとれて、残業も少ない。

また、刑事課員が凶悪犯人を相手にする一方、交通課員はたまたま交通違反をしてしまった善良な市民を検挙する。
だから、刑事課員からすれば、「せっかく刑事事件の犯人を捕まえて被害者から感謝されて、警察のファンを増やしているのに、交通課員が善良な市民を交通違反で捕まえることで、アンチ警察を増やしている」と思ってしまう。

また、常に人手不足の刑事課からすると、交通課は無駄に人が多いと常に思っている。あくまでこれらは僕の経験から感じた個人的意見なので悪しからず。

変なプライドを持ち続けていたから成長できなかった

交番勤務になっても刑事課にいたというプライドすがっていたいた僕は、交通取締りをほとんどすることなく、2年間を何とかやり過ごした。

だから、交通取締りの実務に関しては、ほとんど成長しなかった。これが、新任警察官だったら、2年もあれば、交通取り締まりはほぼ完ぺきにこなせるようになるだろう。

でも、当時の僕は巡査部長という階級があったために、周りからも「交通取締りをしろ」とは言われなかった。それが僕を勘違いさせて調子に乗っていたと思う。

プライドなんて持っている場合ではなくなった

その後、海外でのボランティアに参加するために2年半休職した。

休職から復帰すると、地域課デスクを経て、再び交番勤務となった。

しかし、今度は勝手が違っていた。休職したことで、完全に干された状態だった。

過去の経歴や階級なんてないも同然だった。一からやり直すしかなかった。見返してやるという思いで必死だった。

交番でペアを組んだ部下はド新任で全く仕事ができなかった。

僕が全てやらなければならない状況だったので、交通課に頭を下げて、一から交通取締りを教えてもらった。

プライドなんてあるはずもなかった。ただやるしかなかった。

そうすると、半年で切符と駐車はほぼ自分一人でできるようになった。失敗もたくさんした。何度も否認された。切符の記載ミスをしたのも数えきれない。その半年間の間は、僕が誰よりも交通課の人に迷惑をかけたと思う。

プライドを捨てて失敗から学ぶことで成長する

この経験は、僕に「プライドは成長の弊害になり得る」ことを教えてくれた。さらに「失敗は悪ではない」と考えることができるようになった。

一般的にプライドを持っている人がかっこいいと思われがちだけど、僕から言わせるとプライドを捨てる人の方が何倍も素敵だ。

どうでもいいプライドはいつでも捨てられる状態でいたい。本当に仕事ができる人は、これまで無駄なプライドを誰よりも捨ててきた人だ。人の成長を邪魔するプライドは今すぐ捨ててしまおう。

補足

最後に交通課の名誉のために補足する。交通課は確かに刑事課よりも休みがとりやすくて働きやすい環境だと思う。

しかし、飲酒運転や、重大事故など逮捕事案も多く、休み返上で働かなければならない時もある。

また事故の係は常に仕事に追われているイメージだった。だから刑事課も交通課も仕事の大変さは変わらない。

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