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タラレバの極み_あんのこと

#ネタバレ
結構クリアにネタバレしてるから観る予定のある人はスルーした方がいいよ!


1週間くらい仕事へのモチベーションが緩やかに下降していって
あげようあげようとしているのに、上司が悪気なく「クソみたいな仕事」って言った仕事を私に預けてきた事でもう地上から1センチのところをうつ伏せで辛うじて浮いてる感じになった。
こうなると人の嫌なところしか見えてこないし、あたしなんか・・あたしなんか・・ってなって何も良いことないから

よし!早退して映画観るか!

ってこれを観に行った。
正直これ目的じゃなくて、フュリオサ2回目の時間が合わなくて観たという感じなのですが

観て良かったですね。

底辺の臨界点ギリギリな母子家庭の杏という女性の話。
もう母ちゃんから「ママ」って呼ばれてるし、12歳の娘に売春始めさせるし、違法薬物もやらせちゃうし。
同居してるおばあちゃんもやばいんだろうけど、なんかもうとにかくやばい。

フュリオサ観たばっかだから、あの母ちゃんはまさにディメンタスそのままで
杏が包丁を持った時の対応なんかマジでディメンタスでしょ、私「木の養分にしてやろうか!!!」って脳内で叫んでました。

様々な自分に降りかかる災難への対処も、やはり今までの世界が偏って狭すぎるから観てると「おいおいおいおい危うすぎるだろ」って思うことがもう序盤のシーンからずっと続く。

終盤のシーンが冒頭に流れるんだけど、冒頭で観た彼女の印象と終盤に観た同じシーンの彼女への印象や自分の思いが結構変わっていて、うーんと唸るシーンでした。

稲垣吾郎と佐藤二朗はキャラが強すぎてもう稲垣吾郎と佐藤二朗。
こんな警察の人今でもいるの!?道に唾吐いたり、罵声飛ばしたり、、で、人情があるだかないんだか。でも佐藤二朗にしか出来ない役なんだろうなこれ・・。
これと観ようか迷っていたミッシングは予告分だけでも石原さとみの顔芸で胸焼けしてしまって、観るのやめている。
私があまり邦画を観ない原因はこれが大きい。どうしても役者の演技を観に行ってる感が強くなっちゃうんだよなあ。

そんな私がたまたま観る日本映画だけなのかもしれないけど
弱みのある人間がちょっと人生に期待できるようになるけど結果ちょっとダメでした(主人公の満足度は抜きにして)
って映画多くない?正欲、怪物、市子・・・日本人好みなのかな。人の不幸話が好きなのか。底抜けに明るいサクセスストーリーとか観たくなった。
そう思うと春画先生はやっぱ明るくて良い変態映画だったな。


ほんと、最初から最後までタラレバが過ぎる内容なんだけど唯一
ちょっと救われたのは最後の早見あかりと子供のシーンだった。
多分、多分ね、あの子は杏が唯一残せた光。
終盤タラレバがくどくて、なんなんだよ!!!!
って思っていたけど、あの終わり方で希望が見えて、私はちょっと健やかな気分で映画館を出れた。

映画って観るのに2000円近くしてパンフも1000円くらいして飲み物も食べ物も高くて
ゆとりのある人の娯楽なんだよな。

ゆとりのある人がお金払って、数年前に起きた所謂「底辺」の人間が少し未来に期待を持ちながらも最終的には自殺する、残された人がタラレバ話をする映画を観る。

この光景を杏のモデルになったハナさん(仮名)はどこかでどう思ってこれを観てるんだろう。

___

その日の夜、職場の飲み会があって文頭の上司と3軒目4軒目とサシで飲むことになった。
記憶はブッツブツ。
3軒目は私も上司もたまたま行きつけが一緒だった、映画と演劇が好きな夫妻がやってる大好きなバー。上司も封切り週にフュリオサ観たとか、ゴジラ−1.0観たとか楽しく話してたと思う。
次の店に行った時、多分上司は最近の私が荒んでいるのが分かって4軒目まで一緒だったんだなと。申し訳なかったな。3軒目ほぼほぼマスター夫婦と映画の話しかしてなかったし。多分覚えてないんだろうけど。
上司も立場的に大変な事があるのは分かるし・・ま、会社って組織は全員が幸せに仕事できる訳ないもんね。
なんか仕事のこといっぱいお互い話しした気がするけど覚えてない。
多分お互い覚えてない。
ただ共通認識はあって(合わせてくれてたかもしれないけど)上司は自分を見てくれているのか、と少し安心した。覚えてないけど。


気づいたら4時だった。

次の日は勿論二日酔いが酷すぎて1日潰れ、その禊に日曜日の地域の草刈りはめちゃくちゃ頑張った。おばさんだから。
しっかりと生きよう。自己満でも良いから真面目に働こう。

佐藤二朗はどう描いても佐藤二朗だった。

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