見出し画像

何を観てるんだろう。_花腐し

(日記部分だけは前回の「ザ・ホエール」からの続きです。花腐しの感想には一切影響しません)

ザ・ホエールのチャーリーが言った
自分に正直になれ。正直な文章を書け。

自分に正直か。
これは刺さるな。

観終えた後もずしりときた言葉。
その翌日。タイムリーに私が心の底から正直になれる数少ない友人Hから連絡がきた。

私は40年生きてきて、20代の6年間くらいダークサイドに半身浴くらい浸かっていた。
そこから引っ張り出してくれたのが夫で、おかげで私は今人並みに働いて親になってぱっと見普通のおばさんになることが出来ている。

Hは同じ頃ダークサイドで一緒に半身浴をしていた人。数少ないその頃に出来た友人。
私よりも長くダークサイドにいて私よりも早く抜けた。
今はバリバリに特殊な仕事をしていて、近くの街まで来るとのこと、ちょっと茶でもしばこうやという事になった。

で、Hがこちらに向かう途中でトラブルに遭い、遅れるとのことで時間潰しで観たのが「花腐し」なのでした。

さあここから花腐しの感想ですよ。

同じ女性の思い出を2人の男性が語る
という作品の主軸と
思い出はカラーで、現在はモノクロで描かれているのが単純に素敵だった。
その描き方の深い意味までは考えなかったんだけど、序盤マキタスポーツが大滝詠一の「君は天然色」を弾き語るシーンがあったりして狙いは伺える。
雨のシーンはカラーもモノクロもとてもキレイ。

若い頃の情熱と勢い、に反しての無気力さだったり
歳や経験を重ねると分かってくる「ああすれば良かった。けどその頃にそんな選択肢持ってなかった」みたいな、大人からすると変な甘酸っぱさを感じましたね。

た・だ・ね。

途中、私は何観せられてんだって気になりましてね。

多いんです。生々しい性描写が。
最初はいこかちゃん体はってんなーと思って観ていたけど途中から

MINAMOちゃんとNiaちゃん観るならファン○でしょーが!!!!!
と私の中の田中邦衛が怒ってましたね。

うーーーん。こんなに必要?
思い出ってこんなんだけ?

終盤の栩谷を観ると、翔子との日々が幸せだった(だから思い出はモノクロームじゃなくてカラー?)のに蔑ろにしてしまった悔しさ、別の男と心中した悔しさ、失った事によってモノクロになった世界、シナリオ(妄想?)によって思い出を補完
(多分)翔子は誰よりも栩谷と幸せになりたかった…(栩谷の願望かもしれないが)

こう整理するとなんだか…自分勝手だけど素敵やん。
と思えるのだが、やっぱ生々しいシーンの胸焼けを一掃出来るほどではなくて。

ラストの涙シーンは割と冷静に観ていましたね。
勝手にシナリオ変えて思い出に悦浸ってんじゃねえよ。祥子の気持ちとなんも向き合ってねえな。とまで思ってしまっていました。私が女だからですかね。

+++

さて、Hと再会。痩せてた。髪が黒くなっていた。

短い時間で色々話した。
私は、近況から職場の不倫疑惑からの不公平話をし、冒頭の「自分に正直になれ」の話をした。

Hは一通り私の思いをニコニコしながらうんうん聞いた後
Hは、私のことを前から正直と理性のバランスが取れてる人だと思っていることを教えてくれた。

「世の中、正直だけじゃ生き抜けないじゃん。
ダークサイドにいた頃、周りは正直を盾に理性がバグってる人多かったし。
その中で理性保ってる数少ない人だったよあなたは。
私といると理性保ててないけど笑
それはちゃんと普段正直と理性のバランスとってるからだと思うよ
職場の人に対してもちゃんとバランスとってるぽいし
だから味方も作れるしやっていけるんだよ」

言われてダークサイド期に周りにいたクセが凄すぎる人たちを思い出していた。
ああ、あの人たちよりはマシだよな。と思ったとこで

「正直な文章の方はどうよ?」と言われココを教えた。
Hはニコニコしながらいくつか記事を読んでくれて

パストライブスの感想に関しては「すごくあなたらしい」と笑っていた。

「こういう映画見ると人って気取るじゃん?それがないのがあなたらしいし正直だと思うわ、正直な文章書けてんじゃん。」

途中Hの仕事のケータイが鳴って、Hは会社の人と話をしていた。
その口調は穏やかで、私と話している時と違った。

電話を切った後「これが表向きな私なんすよ」と照れた。

「自分に正直になれという事に引っ掛かる気持ちは分かるわ。
でもそれに気づいてるだけでも良いと思う。
きちんと分別してるってこと、バランスが取れてるってこと
虚勢はったり媚び売ったり八方美人になったりして本来の自分を見失ってる方がやばいし
本当の自分が分かっているってことよ」

正直な自分を見失わないこと。これが自分に正直になるってこと。
自分の顔写真を加工しても、素性を隠したまま会社で出世しても。
これがHと話をして出た結論でした。

ちなみに花腐しに関して、私が生々しい性描写と共に説明していたら
Hは「男性向けの女性向けAVみたい」と言ってた。

別れ際
Hは日頃気力の衰えを実感していて、歳のせいかなーって言っていた。
年上だけど私よりも体力はありそうだし、日々の仕事は充実して忙しそうで。
でも何よりキラキラしてたんだよね。ダークサイドの時に比べて肌艶がいいし瞳に光があった。
だから私はジャッキーブラウンを勧めた。

「観てみるわー」

と言ってHは去っていった。絶対観ないな笑。


長文失礼いたしました。

ここまでして、何をしたかったんだろうな。

この記事はフィクションです笑。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?