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「PLAYBACK! MASTER PIECE」-映画/リンダ リンダ リンダ-

はじめに


基本的には新作映画や新譜の感想を垂れ流していく
当noteですが、
私の大好きな、と言うか、人格形成にまで影響を及ぼしたレベルの
傑作(個人的な)たちを
「PLAYBACK! MASTER PIECE」と題して
不定期で紹介していこうかなと思います。

私の映画や音楽との向き合い方のモットーは、
“とにかく量を見る!(聴く!)”こと!

理由は単純、たくさんの作品に触れることで、
「人生の1本」に出会う確率を少しでも上げたいから。

“数打ちゃ当たる”ってぶっきらぼうなようで、
その実は本質を突いている言葉だと思います。

そうして蓄積された膨大なライブラリーの中で、
なぜこの作品が大切なのか、どうして大好きなのか、
をもっと深掘りしたくて、この企画を始めました。

第1回は、2005年に公開された日本の青春映画の傑作、
「リンダ リンダ リンダ」です!

ちょい長い&ネタバレあり、なので、
気になる方はこの辺りで退散いただけたら、、
(また別の記事でお会いしましょう!)





なぜ今 『リンダ リンダ リンダ 』 ナンダ?


数週間前、ロックバンドBase Ball Bearがニューシングル、
海になりたい part.3
をリリースしました。

そのB面として収録されていたのが
SEVENTEENという楽曲。

この曲、メンバーが高校生の時に作った曲を
音源化したものらしいのですが、
再生した刹那、脳内に青春時代の、
あの頃の自分が、猛烈な勢いでオーバーラップしてきまして。

と同時に「あ、、リンダ リンダ リンダ見返してぇ! 」
という気持ちがスパークしたんですね。

それくらい僕の中で
青春×Base Ball Bear×リンダ リンダ リンダ 
は密接にリンクしていて、相互作用しまくっているんです。
(Base Ball Bearについては詳しく後述します)

僕にとっての「青春観」を決定づけた作品であり、
30歳になった今でも
青春の沼から抜け出せずにいるのは、
このバンド、そしてこの映画の影響が多分にあると
そう思っています。

そんなエモい感情のままに、
かれこれ5年ぶりくらいの再鑑賞してみました。

もう何回も見直してきたけれど、
この歳になって改めて見ると新しい発見ばかりで、
今までで一番と言っていいくらい、痛烈に心にぶっ刺さりまして。

その勢いのまま、この記事を書いています。

かなり前置きが長くなりましたが、
ではなぜこの作品が私のマインドをエグり倒すのか、
自分なりに紐解いていこうと思います。





ここがスゴインダ!「リンダ リンダ リンダ」



予告編
↓ ↓ ↓


あらすじ/概要
↓ ↓ ↓

とある地方都市の女子高校生たちの高校生活最後の夏を描く青春群像劇。バンドからギタリストが脱け、3日後に迫る文化祭で何を演奏するか困った響子、恵、望の3人は、オリジナル曲を断念。ブルーハーツのコピーをすることに決めて、韓国人留学生ソンをバンドに引き入れて練習を開始するが……。監督は「ばかのハコ船」「リアリズムの宿」の山下敦弘。音楽は元スマッシング・パンプキンズのジェームズ・イハが担当。

映画.com


メガホンを取ったのは、
“和製ジム・ジャームッシュ”とも評される山下敦弘監督。

彼のフィルモグラフィの中でも初期の作品にあたります。
ちなみに他の監督作でいうと「天然コッケコー」と
「オーバーフェンス」を見ましたが、どちらも個人的には刺さらず。

そのくらいこの「リンダ リンダ リンダ 」が輝いているのですが、、。

ここからは具体的にこの作品の魅力に迫っていきます。

※あらすじやストーリーを細かく解説するのではなく、
好きなポイントを断片的に紹介していきます。





ポイント①  “平熱”の青春の描き方が巧みすぎる!


この世には、青春を題材にした
映画、ドラマ、コミックスetc.がたくさんあります。

しかしその多くはキラキラしすぎている!

魅力的な転校生がやってきたり、
人生を変えてくれるほどの熱血教師がいたり、
スポーツや芸術に打ち込んだり、
全米が泣くような恋をしたりと、
基本的にテンション高めがデフォルト。
(または必要以上に悲しい系か…)

もちろんフィクションだからそれでいいんですが、
苦い苦い青春時代を過ごしてきた私のような人間からすると
「浮世離れしてんな〜」って感じなんです。

しかしこの作品には、
特別な才能を持った主人公も、熱血教師も、
現実を突きつけてくるライバルも、
くすぶっているヤンキーも、余命数カ月の恋人も出てきません。

ただただ普通の高校生たち、ただただ普通の先生、
そして、ただただ普通の大人たち。

そんな普通の高校生たちが、普通の文化祭に臨む、
ただそれだけの映画です。

しかし、この「平熱感」「普通さ」こそが
この作品最大の魅力だと思います。

だって、本来の青春って、高校生活って、こうなんだから!
この圧倒的リアリティを体感してほしいんです!

冒頭の響子が廊下を歩くシーンから、
「うわ、文化祭の準備期間ってこんな感じだったな〜」
と一瞬で高校時代にタイムスリップしたような感覚に陥ります。

その他、細部まで青春のリアリティが散りばめられており、
必ずや「あー文化祭の前ってこんな感じだったよな〜」
と誰しもが反芻するシーンがあるはず。

“何でもない日常こそ最高の時間”である。
という青春の本質を改めて実感させてくれる映画なんです。

この青春のリアル、解像度の高さ、平熱感、
未見の方いらっしゃいましたら、ぜひ味わってみてください。


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ポイント②  絶妙のロケーション


青春映画、とかく学園モノにおいては
舞台となる校舎のロケーションって重要ですよね。

この作品で使われているのは「前橋工業高校」の旧校舎。

しかしまた、この学校の雰囲気がso good!!

旧校舎というくらいなので、歴史ある建物だと思うのですが、
誤解を恐れずに表現すると
“誰の母校にも置き換えれそうな感じ”(笑)

「国民の母校」とでも言うべきか、、。

寂れ感と言いましょうか、
年季の入り具合が絶妙で。

教室、渡り廊下、プール、職員室。
その全てが妙にノスタルジックで
「あれ、俺、この学校出身やったっけ?」と錯覚してしまうほど。

ラストシーンで映る、
土砂降りの中の下駄箱のカットバックなんか
エモすぎて心臓が破裂しそうでした。

これはロケーションがいいのか、
撮影部隊の腕がいいのかわかりませんが、
(その両方だと思う)
誰しもが自分の母校に思いを馳せたくなると思います。

HPを見る感じ

https://maeko-hs.gsn.ed.jp/

今はだいぶ新しくなってるみたいですね、、。

聖地巡礼してみたかったな、、。


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ポイント③  ツボをつくキャスティング


先ほど、青春映画の多くはキラキラし過ぎている。
と述べましたが、その実は演じている俳優さんの影響も大きいと思います。

昨今、学生役でよくお見かけする役者さんでいうと、
広瀬すず、永野芽郁、今田美桜、
中川大志、北村匠海、など、、。

いや、もう、浮世離れしてる!!(笑)

今挙げた人たちが嫌いとかそういう訳では全くないのですが、
存在としてA面すぎるというか、
“フィクションの中の生き物たち”しか見えないんですよ、、。

彼ら彼女らが出るだけで、一気にリアリティがなくなってしまう、
というか、おとぎ話に感じてしまうんです(あくまで個人の意見でっせ!)


その点、この「リンダ リンダ リンダ 」に出てくる役者さんは
とにかくリアル!(褒め言葉でっせ!)

一人一人、軽く紹介していきます。


◆バンドメンバー

☆ぺ・ドゥナ

一応主演、ということになるのでしょうか。
韓国人留学生、ソンを演じたのは日本でもお馴染みのぺ・ドゥナさん。

今や世界を舞台に活躍する役者さんですし、もちろんお綺麗な人なんですが、
この役、マジでピッタリ。

彼女の素朴な魅力が引き出されていて、カタコトの日本語もいい!

こんな留学生、おりそうだよね、、。
(もちろん熱唱っぷりも◎)


☆香椎由宇

バンドリーダー的なポジション、恵(けい)を演じるのが、この人です。
我々世代ですと、ドラマ「ウォーターボーイズ」のヒロイン役の印象が強いかも。
(あと、オダギリさんの奥様ですね)

これでいうと、この人も前述した“フィクションの中の生き物”枠では?

というツッコミが来そうなのですが、これがまた
“スクールカースト高め、だけど優しい女子高生”のポジションに
絶妙にマッチしてるんです。

もちろん綺麗な人なんですけど、ギリクラスにいそう感、、というか。

これは恵というキャラクターがそうさせているのかも分かりませんが。


☆前田亜季


ドラマーの響子役を演じたのが前田亜季さんです。
我々世代にはあんまり馴染みのない方なのですが、
その昔は子役としてブイブイ言わせてたと噂で聞いております。

この響子というキャラクター、
この映画の中でも特に“普通の女の子”なんです。

このどこにでもおりそうな、普通の女子高生役として
前田亜季さん、かんっぺきです!

スカートの丈とか、走り方とか、携帯のイジり方とか、もうリアルそのもの!

実は一番モテるのがこういう女の子な気がします。


☆関根史織(Base Ball Bear)

https://www.instagram.com/sekine_bbb/?hl=ja

ベーシストの望役を演じたのは我らがBase Ball Bearのベーシスト、
関根さんです。

そうです、この人は役者さんじゃありません。
プロのミュージシャンです。

しかしながら、個人的にこの映画のMVPはこの人!

演技経験がないからこそ醸し出すこのリアル!
シーンへの溶け込み方がハンパないんですよ、、涙

最後バンドメンバーと目を合わせながら
「ニヤッ」と笑う時の表情とか、マジでたまりません、、。


☆その他の皆さま
バンドメンバー以外にも、
頼りなさそうで実は生徒思いの顧問を演じる甲本雅裕、
未来の不祥事のことなど微塵も感じさせない爽やかな部長に小出恵介、
恋する焼却炉ボーイを演じた若かりし松山ケンイチ、などなど
魅力的すぎる面々が脇を固めます。

個人的には響子の想い人を演じた、
小林且弥さんのナチュラルな演技が最高に好き。

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ポイント④  「キュンっ♡」のブレンド具合


先ほどから「平熱」「リアル」「普通」などと言っていますが、
小生ラブコメ大好き人間ですので、
やっぱキュン要素は欲しいところ、、。(激キモ発言)

今作にもいくつかの「キュン」が描かれているのですが、
その配合具合が絶妙なんです。

あくまでサブ的な描写なんですが、
“恋愛を主軸に据えてないがゆえ、逆にキュンが際立つ”
という現象がこの映画では起きています。

描かれているロマンスは3つあります。

まずは、マッキー(松山ケンイチ)のソンへの片想いです。

備品室に呼び出し、マッキーはソンに告白します。
マッキーは覚えたての韓国語でソンに告白するのですが、
ソンは「今はバンドメンバーと一緒に居たい」
と日本語でその告白を一蹴します。

一見ほっこりシーンなのですが、
「覚悟や事情を持って日本に来た留学生として、
簡単に他人にハングルや韓国語を使われたくない。」
というソンの強い気持ちや、
自分を必要としてくれるバンドメンバー(友達)ができた
ソンの喜びが伝わってくる、結構重要なシーンであると思っています。

次に恵と、その元彼(バンドマンの前園さん)。
この二人の関係性も最高にほっこりします。
いつも強気で姉御っぽい恵のイメージが、いい意味で崩れるんです。
スタジオでギターのレクチャーをされて、
恵が強がるシーンとかめちゃくちゃキュン。
「恵も普通の高校生なんだな」と思わせてくれる点において、
前園さんも重要な存在ですね。
(ええ歳してJKと付き合う変態野郎ですが)

そして、なんといっても
この映画最大のキュンが、響子とクラスメイト大江君の関係!
私の映画鑑賞史において、この二人こそが
最大のキュンカップルであるといっても過言ではありません!
大江君から家に電話がかかってきて、慌てて階段を飛び降りる響子。
電話口で急に女の子っぽい声になる響子。
(電話の内容が「ホットプレートを誰が持ってくるか」ってのもカワイイ笑)

響子の一方的な片想いかと思いきや、
翌日大江君は3枚目っぽいクラスメイトに、
「え、お前が響子に連絡したの?」と聞かれて
「してねえよ」と強がって嘘をつきます。
この二人、実はいい感じなのでは?と観客に思わせる
素晴らしいキュンシーンです。

そんな二人の恋は、結局はっきりしないまま終わります。
ライブ前の響子のセリフ「言えなかった…」は
映画史上最高のセリフの一つであると言われています。(私調べ)

このはっきりしなさ、あくまで平熱のままで描く恋愛描写の数々が、
この映画をさらに魅力的にしているのは間違いありません。


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ポイント⑤ オフビートな笑いとはまさにコレ!


山下監督が和製ジム・ジャームッシュ と評されるその所以が
まさに“笑い”の部分なんです。

いわゆる“ジワる”的な(死語?)、
オフビートなユーモア溢れるシーンが満載。

派手なボケや、ツッコミ、ハプニングなんかがなくても、
シチュエーションや言い方、表情なんかで
笑いって生まれるんだなと改めて感じます。

特に笑ってしまったのが、
新ボーカルを探す恵、望、響子の三人が
“この道、最初に通った人がボーカル”という謎ルール決めた後に、
オタクっぽい少年がその道を通るシーン。

その後の望の「女子がいいな」というセリフ含めて最高です。

その他、思わずニヤけてしまうシーンが目白押し。
(前園さんがスタジオでソンに絡むシーンも好き笑)

ゲラゲラよりもニヤニヤが止まりません。


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ポイント⑥ 泣かせる劇伴!


この映画のサントラを手がけているのが、ジェームス・イハです。

え・・?

大事なことなのでもう一度言います。
この映画はジェームス・イハがサントラを担当しています。

そう、あのスマッシング・パンプキンズ(以下スマパン)
のギタリストとして知られるジェームス・イハ!


スマパンとしての活躍はもちろん
彼のソロファーストアルバムLet It Come Down
全インディファンから名盤認定されていることでも有名。(私調べ)


この映画のサントラも、ソロアルバムにタッチは近くて、
彼のメランコリックなセンスがダダ漏れ、
とにかく泣かせるのです。

特にバンドメンバー4人が河川敷を歩くときの曲がエモすぎる、、

こういったサイドワークスから察するに、
スマパンの曲から漂うセンチメンタルの香りは
この人の影響が相当デカかったんだなと感じます。

アマゾンではこの値段、、
さすががに手が出ないので中古をポチってしまいました。。
(サブスクでは配信されていません、、)


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ポイント⑦ 痺れる脚本!


私は評論家でも有識者でもないので、
偉そうなことは言えないのですが、
この作品の脚本、冴え渡っていると思っていて。

大筋のストーリーは地味なんですけど、
細かい、緻密な展開がまあお見事。

例えば、ライブ前にメンバーがスタジオで寝落ちしてしまったシーン。
響子の携帯に大江君から着信があり、
それを寝ぼけ眼の恵が代理でとるところですね。
観客の全員が大江君の存在を忘れかけてた頃に、
電話を使って彼の存在を思い出させるという高等テクニック。

その他にもキャラクター同士の関係性を
多くを語らずに表現するシーンが多くて、
ストーリーテリングのうまさに溜息が出ます。

恵が練習に遅刻した時に、
部室にソンしかおらず、その後トイレから望が帰ってきて
「おっす」 みたいになるシーンも最高です笑
なんてことないシーンなのに、4人の関係性が微笑ましくて。

ただ面白いだけじゃない、ストーリーを動かす脚本の妙にも注目です。


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ポイント⑧ 気になるあのシーンについて


そんな女子高生たちの日常を描いた本作品ですが、
ちょっとだけ気になるシーンがあるんです。

それはスタジオでメンバーが寝落ちしてしまった時に
恵が見た夢の描写。

平和で緩やかに流れていくこの青春譚において、
このシーンの歪さが異常、、。

まず、どこからか夢になったのか判然としないし、
いきなり支離滅裂なシーンの連続になって、
(ピエールが出てきたり、ラモーンズが出てきたり、、)
観客は面食らってしまいます。

実は私、昔はこのシーンが苦手でいつもスキップしていました…。

ただこの異常なまでの違和感、
山下監督は相当こだわったシーンであることは間違いなさそうです。

ただ単なるユーモアというには
あんまり笑えないシーンなんですけど、
この異質さ。引っかかりこそが監督の狙いなのかなと。

青春の予測不能さを表しているのではと
私はそう解釈しています。




この映画のテーマってナンダ?


瑞々しく、ほのぼのとした魅力に溢れる本作ですが、
山下監督が観客に伝えたかったことってなんなんだろう?

足りない脳みそを振り絞って、考えてみました。



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青春って尊いよねっつー話


正直コレに尽きるかな〜。

30歳になった今だからこそ思うんですが、
高校時代の3年間なんて、
あっっっっっっと言う間ですよね。

なのに、振り返れば人生で一番濃いのではないか。というくらい
色んなことがあったなあ。と思うわけです。
苦いことも楽しかったことも。

彼女たちの日常を覗き込めば、
誰しもが自分の青春時代と重ねるシーンがあるはずです。間違いなく。

それぐらいのリアリティと説得力がこの作品にはあります。

先ほども書きましたが、
“何でもない日常こそ宝物”
という青春の本質をこれでもかというほど浴びることができます。

見終えた後「そういやアイツ元気にしてんかな」ってな感じで
高校の同級生に電話したくなるような、そんな映画です。


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バンド(音楽)って最強だよねっつー話


この映画の大きな軸、
それは紛れもなく“音楽”です。

彼女たちは繋げるのは、
間違いなく“音楽”なんです。

彼女たちが青春を生きる手段として
選んだのがバンドなんです。

言葉の壁や、仲間との軋轢、
思い通りにいかない恋など、
その全てを彼女たちは音に乗せて解放します。

このカタルシス、エネルギーたるや凄まじく、
改めて音楽の尊さを実感するばかりです。

音楽が人間の感情や他者とのリレーションシップにもたらす
影響の大きさこそ、監督が描きたかったことなのかなと思います。


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ブルーハーツてヤバいよねっつー話


では、数多あるロックバンドの中で
なぜブルーハーツがカバーされたのでしょうか。

未だ語り継がれる伝説のパンクバンド、ブルーハーツ。
彼らは一貫して自由や解放を歌い続けてきました。

https://youtu.be/RYC71PAuIKE


この衝動性が高校生の日常にマッチしない訳ありませんし、
現実的に文化祭まであと3日という段階でカバーできそうですしね。

また韓国人留学生を迎え入れた彼女たちにとって
言葉や偏見という壁があったはず。

だからこそ
こんな歌を歌っている
↓  ↓


ブルーハーツのアティチュードが
重要だったのではないかと思います。

でもやっぱり「作品の緩さ×ブルーハーツのアツさ」
このギャップ起点で作られた感じもしますね、、。

その辺はどうなんだろう、教えて山下監督!


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みんな仲良くしたいよねっつー話


韓国人留学生を主人公に据えている時点で、
「日本人」×「外国人」の交流も
本作の大きなテーマであると言えそうです。

どうしても、
留学生、外国人というだけで
少なからずの偏見が生じてしまうもの。

ハウエバーしかしながら
この映画の登場人物は留学生であるソンを
ナチュラルに、ありのままに受け入れます。

そこには偏見も分断も存在しません。

昨今、日韓関係の悪化なんかも報道されていますが、
この映画のでは、“青春に国籍なんか関係ない”
ということを教えてくれます。

大げさかもしれませんが、
“ミニマムな世界平和”
を描いた作品であると言っても過言ではないのです。




ベボベを聴いてほしいンダ!


先ほども触れましたが、
この映画と切っても切れない関係なのが
ロックバンド、Base Ball Bear(以下ベボベ)。

ベースの関根さんが出演していたり、
彼らの楽曲、SAYONARA-NOSTALGIAApril Mirage
劇伴に使われているのはもちろんなのですが、
この作品のリアルな青春のタッチに、
ベボベの楽曲を想起せずにはいられないのです。

ベボベが日本のロックシーンに頭角を現してきた頃、
私はちょうど高校生でした。

思春期真っ只中の私は、
小出氏(Vo.Gt)が紡ぐ青春世界に、
ヒリヒリドキドキが止まらず。
うだつの上がらない自身の現状と重ね合わせて
アルバム“C”や“十七歳”を聴き漁っていました。

https://youtu.be/2cdfJbdLZoA


青春というフワッとした概念を、
克明に、今まで聴いたことのない表現で
描く小出氏の詩世界。

当時、当事者であった自分でさえ分からなかった
青春とはなんたるか。という問いに対する答えを、
このバンドは持ち合わせていたのです。

「青春って言葉で表現できるんだ!」と
脳がビンビンに震え上がった記憶があります。

好きな歌詞は数多あれど、
一番衝撃を受けたのが名曲、
GIRL FRIENDのブリッジの部分ですね。

絡まる赤い糸を前に 息を飲む人がいる

Base Ball Bear/GIRL FRIEND

未だに聴くたびに痺れます。
「あ、ちゃんと青春のそっち側も描いてくれるんや」って感じで。
凄い歌詞ですよ、、マジで。

思えば30歳になった今でも、
私は「ベボベ的な何か」を追い求めてる気がします。

昔、何かのインタビューで小出氏が
「青春は僕にとって“未解決事件”だ。」
と話されてたことがありました。
ああ、確かにそうだなと私も妙に腑に落ちた記憶があります。

そう、だからこそ私は、
リンダリンダリンダのような青春映画を見たら
ベボベが聴きたくなるし、
ベボベを聴いていたら
リンダリンダリンダ のような映画が見たくなるのです。

ぶっちゃけると、
2016 年、ギタリストの湯浅氏が脱退してから
スリーピースになってからは、
ベボベから少し距離を置いていたんです。

ベボベの楽曲において湯浅氏のサイケなギタープレイは
かなり重要だと思っていたので。

しかし、今回改めて2016年以降の聴き返してみると、
まあ素晴らしくて、、。

こんなに彼らの楽曲を無心で聴いているのは
高校時代以来かもしれません。

最後に、彼らが生み出した珠玉の楽曲たちを
30曲に絞り込んだ渾身の
「マイベスト/ベボベプレイリスト」を
ぶち込んでおきます。
選定、曲順に丸二日ほどかかりました、、。

https://open.spotify.com/playlist/3hFZhbg5hpepijpGQAVXYU?si=696ba04abd864054




おわりに


ちょっとこの映画に対する思いが溢れすぎて、
約10000字に及ぶ、
大長文になってしまいました。

完全なる自己満足の世界ですが、
万が一、最後までお目通しいただけた方いらっしゃいましたら、
本当にありがとうございます。
今度みかんでも送ります。


とにかく魅力満点のリンダリンダリンダ なのですが、
山下監督に私から提言がございます。




続編なんてどうですかねえ!!!!


公開からもうすぐ20年ですし、
今度は同窓会で再演奏、、みたいな、、。

妄想は膨らむばかりです、、。

なんなら4人で
THE FIRST TAKEなんて出ていただいても良いですよ、、。

そんな奇跡みたいな話、ある訳ないとわかっていても、
期待してしまうのがファンの性。

前向きにご検討ください(笑)



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というわけで「PLAYBACK! MASTER PIECE」
初回はリンダリンダリンダ でした。


最後に、これだけ!!







ブルーハーツ、サブスク解禁してくれえい!!



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