【睡眠用】安眠・熟睡のためのKoekake_Katarikakeの朗読 タイトル『夜空の月』 この作品はショートストーリーです

朗読者:Koekake_Katarikake

この作品は眠れない人、寝つきが悪い人への読み聞かせ、朗読作品等のを提供しています。この作品はショートストーリーです。

冬の夜空を見て、浮かんでいる月が印象的でした。
そこからの帰り道を1つの物語にしています。

Koekake_Katarikakeチャンネルでは『声』を通じて聞いた人へ安眠や、安らぎ、そして時にはエネルギーを届けることを目的にしています

朗読や、寸劇、思わず眠たくなるようなコンテンツを『声』でお届けしていきます

寝つけないとき、通勤中、疲れているとき、癒しが欲しいときに是非再生してみてください・・
またお子さんの寝かしつけや安らぎが欲しいときにお届けできるように制作していきます!

【本文】©Kotokake__Katarikake

タイトル:夜空の月


月が照らす光を見つめていると いつの間にか長く伸びた影は暗闇に消えていった
真っ二つに割れた月 つい先日三日月だった月はいつの間にか半分になった
世界中どこで見ても きれいに半分こに見えるのだろうか

そんなどうでもいいような事を考えながら
またゆっくりと歩きだした

冬なのに暖かい いや、寒いけど暖かく感じる不思議さ
それでも顔を上げれば思い思いの服を着重ねた人たちが
足早に歩いていく

エスカレーターで足を止めた
機械の上に載って ゆっくりとホームへと運ばれていく

見慣れた電光掲示板の色は
さっき見ていた月よりもこんなに近いのに
月が放つ明るさの方が 強く目に残っている

たくさんの乗客を乗せた 白い電車が足取り重そうにホームへ滑り込んでくる
肩と肩がぶつかる 小さな舌打ちが聞こえた
その音をかき消すように 発車のアナウンスが夜の空に響いている

このまま
このまま小刻みに揺れる リズムのまま
遠くへ 遠くへ
空に見える月を追って 遠くへ運んで欲しい

一体どれだけの人が 一緒に遠い地まで来てくれるだろうか
そっと ゆっくりと周りを見た
静かな社内には 少しだけ漏れた音楽と
電車が進む音だけが聞こえた
誰も目を合わせてくれなかった

ガタン ゴトン
ガタン ゴトン

ごめん ごめん
ごめん ごめん

と謝られているような
そんな電車の声に

「いいよ。全然」と
誰にも聞こえないくらいの
小さな声で
少しだけ顔を上げて
答えてみた

目を閉じながら 
ゆっくりと息を吐いた

目を開くと 窓越しにまた
きれいな月が見えた

改札を抜けて ゆっくりと一人で歩く
塾帰りの中学生たちが
肉まんを半分こして 美味しそうにほおばる

黒い影から 薄くて細い白い湯気が見えた
その光景に思わず 頬がゆるみ
ポケットに手を入れて 手袋を探した

あまり寒くもない 月が照らす夜道を
口笛を吹きながらゆっくりと 歩いていく

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