素数と素材とアホな夫婦の話

※これは2012/04/11に書いた記事を発掘加筆修正の上転載したものです※
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今日は2012年4月11日。

1年前の今日、2011年の4月11日は私が婚姻届を提出するはずの日でした。何故その日にしようとしていたか、というと20110411が8桁素数だから。何となくほら、8桁の素数って珍しい感じでしょう?

そもそもなんで素数を気にし始めたかといえば「2011年は久しぶりに素数の年だ」という話を聞いたからでした。結婚する予定が2011年だった関係で、折角年号が素数なら、日付も入れて8桁素数の日に入籍したら面白いかも、とかまあそんな単純な理由です。加えて、私の誕生日が比較的素数づいているというのもありました。誕生日の1976年4月7日、19760407も素数なのです。このめぐり合わせもあって、何故か私は昔から素数に心惹かれているものがあったのでした。

そんなこともあり、2011年が素数と聞けば、その年に結婚するのも何かの縁だと8桁素数の日を探し、まあ会社とか知り合い等への報告の日程や3月末の親族だけの結婚式なども考えて3月か4月か……と思っていたら、3月11日にあの震災がやってきたのでした。

今となっては定かに覚えてもいないのですが、会社の上司などに報告した翌々日ぐらいが3月11日だったように思います。震災以降雰囲気が一変して結婚だの何だのという話題をする状況でなくなったこともあり、誰に報告して誰に報告していなくて、誰がうわさ話で知っていて誰が知らないのかは全くわからなくなり、まあその辺り厳密に管理したいタイプでもないので素で放置を選択しました。(そのせいで、3列向こうぐらいに座っている比較的席が近い人が夏まで知らなかったという展開を生んだりして色々焦りましたがまあそれはそれw)

3月末に予定していた親族だけの結婚式、これも「とりあえず延期」になりました。夫の実家が盛岡で新幹線復旧まで東京にでられないというのもありましたし、入籍しようにも夫の戸籍謄本を盛岡から取り寄せなくてはなりません。この震災の混乱の真っ只中でそんなことを役場に急かす状況でもないと思われました。こうして全てが宙に浮き、フワフワとした状況で成り行き任せで進むしか無くなり、まあ元々アバウトな性分ですしこれ幸いと前向きに……いやむしろ積極的に、なんかこう、全てがグダグダになっていく感じもまた自分達らしいなと、そんな心持ちでさえありました。

そんな中、盛岡から思いの外早く戸籍謄本が届くことになります。だったら4月に入籍だけはしておくかと考えたのですが、今思い起こすにやっぱり震災で何らかの冷静さを失っていたんでしょう。2011年の4月の素数日といえば20110411か20110429なのですが、何故か「4月17日だ」と思い込んでおり、さらに事前確認や事前検算もしなかったためにそのまま突き進みます。当然ながらその思い込みのまま、結婚指輪の刻印も20110417になりました。

ここで指輪の話もしておきましょう。
結婚指輪といえばプラチナか金が定番です。が、金属アレルギーが結構心配な私は、プラチナや金に微小に混ざる他の金属(パラジウムとか銅とか)が気になり始め、その辺りから調べ物スイッチが入ってしまったのか、アレルギーに影響を与える金属のイオン化傾向について色々調べることとなりました。医療用に使われる18-8ステンレスもありだなとか。そして行き着いたのがタングステン。ダイヤモンドと同等の硬さと言われ、金属で最も固く、そして重い素材。イオン化傾向も非常に低い。
なんて萌える素材……。
しかも調べてみれば、タングステン製の指輪というものが世の中にはあるのです。この時点で素材萌え沼にどっぷり浸かっている私達は、もう結婚指輪はこれしか無いという想いでいっぱいでした。ついでながら、元素記号が「W」なのも気に入りました。ネットで「笑」を表す「w」だなんて、全くもって自分達向きではないですか、と。

調べて続けていくと、タングステンはその硬さから「絆の堅さを象徴する」として欧米では結婚指輪に選ばれることもある事も知ります。世間から素材萌えは理解されづらくとも、金属の硬さに絆の堅さへの思いを込めましたといえば、なんという素晴らしい言い訳……いやいや、立派な理由になることでしょう。

それにしてもタングステン。レアメタル、希少金属だけど貴金属ではない。市場では工業製品扱いなのでまあなんと安いこと。まさかの楽天で、1本1980円の指輪に刻印を入れてもらって購入するというテキトーさ。でもまあ何もかもこのユルさが自分達であろうと、そんな気分でありました。

さて話は戻ります。
私達は4月17日に役所に書類を届けた後に、意気揚々と「20110417という8桁素数の日の本日入籍しました!」的な宣言をtwitterやFacebookなどでするわけです。

違うのに(笑)!!!

しかも恐ろしいことに誰も確認しないので、20110417は8桁素数の日だと勘違いされたまま情報はどんどん拡散します。さらには「素数の日は割れない日、結婚記念日に選ぶなんて素敵ですね!」などといったメッセージを貰い、夫婦して「なるほどーーー!!!そんなこと思いつきもしてなかったけど、何かその理由リア充っぽいしもっともらしいから、そういう事にしておこう!」と採択。指輪も硬い素材で割れないし、結婚記念日も割れないし、なんて考えつくされた入籍日であることか!素晴らしい事この上ない!万歳!

「19×1058443」でおもいっきり割れるのに(爆笑)!!!

そうして勘違いしたまま数日経ったある日、何故か突然私に不安の波が襲って来ました。恐る恐る演算すると……そうです、19で割り切れることに気づくのです。気付いた時は正直な所頭真っ白になりました。茫然自失もいいところです。愕然と膝を落とすとはこのことかと真剣に身にしみました。あかん、これはあかん!穴があったら入りたい、というのもあるけれども、それにしても一生に一度の記念日が思いっきり由来とずれてるとかどんだけグダグダなんだと(笑)。いやいかにも自分達らしくて笑えるのですが、それにしてもひどいと。今更「ごめん、素数日じゃなかったみたい間違ってたわー」とか訂正するのも何ですし、地獄のミサワも真っ青展開です。もうどないせーっちゅーねんと。

まあ、そんな思いを1年抱えながら過ごしてきました。2012年4月17日が迫り、結婚一周年を思えば思うほど「あああああああごめん、去年のこの日素数じゃなかったわ!あんな格好良く宣言したけどサ!」と笑いを取りに行くか、そっと黙って流しておくかの選択に迫られている気分になっていたわけです。正直な所、人の結婚記念日など普通は覚えていないものですから、このまま皆の記憶の消えるに任せようなどと思っておりました。全てがグダグダの笑いにまみれたこの結婚記念日は、夫婦のみの笑い話としてしまっておくつもりでした。

ところが先日、今年の自分の誕生日20120407が素数であることに気付いたことから、素数日熱が再燃します。もともと19760407が素数なのは知っていたのですが、47も素数、そう言えば昭和51年で組み合わせて5147も素数、197647も素数であることに気付いたのです。

そしてふと「20110417ではなく、2011417だったら?」と、演算してみると……素数なんです。素数だったんですよ!8桁だと違ったけど、7桁だったらやっぱり入籍日は素数だったんです。単なるアホな夫婦の間違い話で終わるはずだったのに、結局素数を引いてるんです。これに気付いた日の晩の帰宅後に
私「ねえねえねえ!去年の4/17だけどさ!」
夫「何」
私「7桁にすると実は素数だったよ!」
夫「mjd?!?!」
私「mjd!!!!」
会話がコレな時点で色々間違ってるのでしょうが、指輪の素材と入籍日をあわせて「割れないものを選びました」とかリア充ぶった世間様も納得のエピソードを滔々と堂々と披露して良くなっちゃったんですね結局。

実を言うとこの1年、素数は20110411であることを何故確認しなかったのかという、まあ一般的には非常にどうでもいいことでちまちまちまちま悩んでいたのです。素材萌えと素数萌えの両萌えを実現できなかったことに対して、喩えようもない悲しみを感じていたわけです。いや、アホですよ、単なるアホです。間違えたこともアホだけど、それにこだわっていたことも、引きずっていたこともアホです。そしてこうやって素数であることが判明しただけで大層浮かれているのもアホの権化としか言い様がありません。

でもまあ、そういう夫婦なんだなと改めて思うこととなりました。まあ世の中いろいろ思い通りに行かないことのほうが多くて、世間や情勢に流されながら、自分達の方が変わりながら淡々と進みつつ、萌え要素には心血注ぎ、そうすると色々辻褄が合ってきたり、思いもかけない良いことや他者からの評価が転がってきたりしてて、その瞬間に最大に喜んで楽しむことを繰り返しながら、基本はまたオロオロバタバタしながら笑い飛ばして生きていくのです。

たかが素数か素数じゃないか、小さな小さなことを巡る話ですが、そんなことに気付かせてくれる話でもあったのだと……そんなことを思いながらこの記事を書いているうちに実は4/12になってしまったのですが、まあそれはそれ、4/11の25時という設定でご勘弁いただきたいなと思う次第です。


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いっぱんじんです。
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