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俯瞰不全症候群

症状

全体像を把握していない
部分にこだわりすぎている
優先順位が決まってない

症状の概要と症状が招く結果

様々な人、部署、使えるお金と時間、施策、ツール、環境、制約、競合など多くの要素が複雑に絡み合うプロジェクトでは全体像の把握が欠かせません。ある懸念事項にとらわれたり、ある施策の実行方法や品質にこだわりすぎることで、その他の部分が疎かになったり、回すべきリソースが不十分になってしまったりします。具体的なものを探すよう求めると、全体的な事物を見る能力が驚くほど落ちるように、部分と全体への注視・注力はトレードオフの関係にあります。
また、ある施策を実行した結果、他の要素に影響を与えたり、ある施策の実行に他の要素が影響を与えると言った要素間の関係性や相互作用も、全体像なしには理解しづらいものです。分業が進むほど、自分の仕事が他者の仕事や最終的な目標にどう影響するかの理解が必要です。しかし、私たちが普段使っている「言葉」は全体像の把握と他者への伝達に向いていません。話し言葉にしても、書き言葉にしても、「順を追って」伝えることになるからです。これも全体像の把握を難しくします。

問題の全体像

俯瞰不全症候群

随伴症状

稼働率や取り組みやすさを優先して、優先順位の低い仕事に取り組んでしまう
手段の目的化
場当たり対応・対処療法しかできない(根本問題の先送り)

本症候群が原因となって発生・強化される症状、症候群

あいまい・多義性症候群
情報コスト高症候群
アパルトヘイト症候群

原因

プロジェクトの仮説・全体像・関係性・状況過程を表現・対話・更新・共有する認知コストが高い
情報コスト高症候群
あいまい・多義性症候群

予防のためのお勧め図書

知性の創発と起源
問題解決にあたってどのような表現形態を利用するかによって、認知的負荷が増減し問題がより難しくなったり解きやすくなったりします。「情報量が多く、複雑に絡み合うプロジェクトの計画をどのように表現すれば良いか?」という問題に、認知科学の視点からヒントを与えてくれます。
(第5章「創発のためのソフトウェア」がお勧め)

地図の想像力
航空写真は、あまりに多様な情報が盛り込まれすぎており、特定の用途に使うには複雑すぎます。プロジェクトでも、その内容や規模によって、それに適した表現形式があります。世界の構造を縮尺して表現するという地図的表現によって、世界を総体的に可視化する地図の思想と技法が、プロジェクトの情報を表現する参考になります。

Mind in Motion:身体動作と空間が思考をつくる
デザインや空間、時間、事象、因果、物語についての思考のためのツールを使ううえでの教訓が詰まった第8章。線形の言語の限界と、それを解決するための「図」のメリットを解説した第6章を読むことをお勧めします。

その他の問題症候群はこちらからご覧ください。


未知なる目標に向かっていくプロジェクトを、興して、進めて、振り返っていく力を、子どもと大人に養うべく活動しています。プ譜を使ったワークショップ情報やプロジェクトについてのよもやま話を書いていきます。よろしくお願いします。