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クリエイターさんは知っておいて損はない。本「気持ちを表すことばの辞典」を読んでみて


正直、辞書を読むのはハードルが高い

言葉のお仕事をしている方は、辞書を引く。
それが日常で、言葉というものに敏感に生きています。

そんな事を知ったのは、ここ最近です。
大人になってから辞書を引くなんて、
それが普通の世界があるなんて、
こうやって毎日文字を書くようになるまで
見えなかった世界でした。

それでも、今の私にとって
辞書を本代わりに読むのは、
少しハードルが高かったのです。

そんな時に出合ったのが、この本でした。

文字ばかりで味気ない辞書だけど、
イラストをふんだんに使うことで
軽い印象のまま言葉に触れられる。
そんな辞典でした。

監修の飯間浩明氏によるコラムがいい

とはいえ、辞典なので
感情のことば:「悩む」
煩わしい……対処が面倒で、気が重い。うっとうしくてうるさい。
懊悩おうのうする……心の奥で思い悩み、苦しみもだえる。

感情のことば:「妬く」
そねむ……他人の幸せや自分にはない長所をうらやみ、ねたむ。
やっかむ……自分より優れている人や、恵まれている人をうらやんで憎む。

行動のことば:「笑う」
微笑ほほえむ……声を出さずに、にっこりと笑う。
笑壺えつぼにいる……思い通りになったり、得意になったりして思わず笑みを浮かべる。うれしくて笑い出す。

こんな風な言葉が連なり
1語ずつ説明してくれます。
まぁ、辞典なのでそんなものです。

自分が今まさに、
「怒る」という感情について言葉で表現したい!と思った時に
この本の「怒る」というページを参照して文章を書く時に使う本。
実用本です。

この本を監修したのは、
国語辞典を編纂している方だそうです。
なんか、本「舟を編む」の世界がよみがえります。

この辞典には、合間に
監修者の飯間浩明さんのコラムも載っていました。
その中の1つに、
プラスの気持ちとマイナスの気持ち」
というものがありました。
これには、ふと考えさせられたことがありました。

 子どもが遠足や運動会についての作文を書くとき、何でも「楽しかったです」で済ませてしまうことがあります。実は、これは、本人のせいだけではなく、プラスの形容詞が少ないことにも原因があります。

気持ちを表すことばの辞典 p123

 人は、満足しているときよりも、不満や不安があるときのほうが、気持ちを細かく表現したくなります。プラスの形容詞とマイナスの形容詞に量的な偏りがあるのはこのためです。

気持ちを表すことばの辞典 p123

へぇ~!
日本語の形容詞にはマイナスの方が多いのか!
それは、ネガティブなことをより詳しく表現するためなんて初耳です。
これは、発見でした。

日本語のマイナス形容詞

マイナスの形容詞の例えとしては
「悲しい」「寂しい」「苦しい」「辛い」
「煩わしい」「怖い」「恐ろしい」
「憎らしい」「悔しい」「情けない」
「恥ずかしい」「妬ましい」「いらだたしい」
etc.
おぉ、結構出てきますね。

それに比べてプラスの形容詞の例えは
「うれしい」「楽しい」「おもしろい」
「美しい」「凄い」「ありがたい」
……。
あれ?
形容詞って何でしたっけ?

形容詞とは、おもに物事の性質や状態を表し、言い切りの形(終止形)が「〜い」となる言葉(文語では「〜し」)。

そうそう、「○○い」で終わるやつでした。
プラスの気持ちで「○○い」にするのって
難しいですね。
無理やり加えるなら
「大好きぃ♡」「推しぃ♡」
でしょうか(笑)

普段の生活の中で使う言葉たちを
思い出してみます。

あっ、わかりました。
最近の言葉です!
「ヤバい!」(これは、プラスもマイナスもいけそう)
「エモい」
これなら、形容詞です。
でも、この多分辞典には載らない系。

それなら、息子がよく発している
「ラグい」(ゲームのダウンロードが遅い)
「エグい」(ひどいって感じでよく言ってる)
こっちの言葉は、マイナスの形容詞かも。

確かに、感情が揺れ動くのは
マイナスの事が起こった時の方が
自分の中のショックが大きくて
心情を表現したくなるのかもしれません。
思わず、人にも伝えたくなります。

昨日も宮崎県で入学式中に
地震が起きたというニュースが流れました。
あれは、「怖い」し、
せっかくの晴れの日に「悲しい」。

マイナス感情のことって、
自分の中に留めておきたくなくて
何とか形にして表現して
愚痴のように吐きたくなります。

もやもやを手放したい。
そんな気持ちが沸き上がってきます。
そういう気持ちに共感できるように
あえて、マイナス形容詞は
発達したのかもしれません。
(これは、完全な私の憶測)

逆に、いい事があったり、
感動した時は、
何かもう、言葉にできなくて
むしろ言い表したくないです。
圧倒されたままでいたいから。
だから、それほど進化していない。
(これも、完全な私の憶測)

「ヤバい!」って言葉が
なぜか嫌煙される風潮がありますが、
これって、プラスもマイナスもいける
便利な言葉だったんですね。
そりゃ、みんな使いますね。

ただ、「ヤバい!」なんて安易な言葉に頼りたくない。
もっと、丁寧に自分の感情を適切な言葉で表現してみたい。
そう思うならば、やはり辞典なのでしょう。

知っておいても損はない

国語辞典を手元に置くのはちょっとかわいくないから嫌。
でも、クリエイターとして文章に敏感になってみたい。

そんな時、もくじを開いてピンときた言葉のページを開ける本。
絵本のように軽い感じで、文章に触れたい時におすすめの本。
時には、裏のもくじから品詞名で検索してみる遊びをしても楽しい本。

こういう本が世の中にあることを
知っておいて損はないと思います。
きっと、新しい語彙の引き出しが増えると思います。

個人的にはナツメ社さんの本は
わかりやすくて好きなのでそこもポイントです。

たまには、少し高いハードルの辞典にも
手を伸ばしてみます。
私も、少し背伸びをするように。

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