フランスでのホロコーストを知る
ホワイトバード
主人公はアメリカに住むジュリアン。自分のしたことで傷ついた子がいた、その理由で学校を転校したばかり。
転校先の学校の課題、作文の宿題で”家族か知り合いについて書く”を
ジュリアンはパリに住むおばあちゃんの子どもの頃に体験した戦争のこと
を書きたいとおばあちゃんに頼むところから物語は始まる。
ジュリアンとおばあちゃんの電話での会話の中に、「時間を戻せないかなって思うんだ。やりなおせたらなって……」そのあとジュリアンにこう伝えるのだ。「人はまちがいによって、どういう人間か決まるのではなく、そこから学んでなにをするかによって決まるんだよ。わかったかい?」
そのあと、ジュリアンに話を聞かせ始める。
1930年代 フランス、おばあちゃんは小学生のサラに戻って…。
ノンフィクションではないけれど、作者が巻末の用語解説で書いている通り、本書を読み終えた若い読者は、ホロコーストのことをもう学びたくないと思うかもしれない、と。
でも、その時なぜそのようなことが起こったのかを紐解くには、一方的ではない、事実を即した”記録がその判断、または考察としての材料となります。 日本学術会議の任命拒否の時、加藤陽子氏はずっと記録をつけてきたと話されていました。
一方で、部外者である自分たちに今更どうしようというんだという発言も
でてくるのも事実です、が、歴史記録というのはなにがどうして今になっているかの事実を知るために必要です。政治的な当事者は責任を取り、俯瞰してだだけの自分たちにも、どう行動をしたらいいかを考え直す機会をくれます。その”どう行動”というのは、事態後ではなく、進行形でどう行動していくと良かったのか?を考えることではないでしょうか。
作者の言葉通り、実際にそう思う(ホロコーストをもう学びたくない)若い世代もいることをわたしは映画で知りました。またヒトラーを賞賛する声もまだあることも…。
百聞は一見に如かず。下記の映画をよかったら見てください。
映画『ファイナル アカウント 第三帝国最後の証言』↓
フランスで行われたホロコースト
恥ずかしながら、フランスでもホロコーストが行われていた、ということをきちんと知ったのは大人になってからでした。
知ればしるほど、まさか、なんでこんなことが平気で行われるの?ナチス・ドイツがした残虐さに言葉を失いました。
ほるぷ出版から昨年発売された「ホワイトバード」は、ホロコーストを逃れた女の子と匿ったその一家や周りの人たちのことを描いています。
少しライトな部分もありますが、ある意味、入口としては良いと思いました。巻末の資料としても揃っています。
本書のはじめにでてくるフランスで行われたユダヤ人の一斉検挙事件。
ヴェル・ディヴ事件(ヴェロドローム・ディヴェール大量検挙事件)
1942年7月16日~17日
第二次世界大戦中、ナチス・ドイツ占領下にあったフランスで、大量のユダヤ人の検挙が行われました。
大人向けですがクレストブックスで、現代と当時を結びつつ、何が行われたかを知ることができる一冊。
映画化されたものがコチラ
近々、最近見た「関心領域」の映画についても書きたいと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?