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〈わが家の味〉鶏のから揚げ 定番編

私の父は何にでも醤油をかける人だった。目玉焼きはもちろん、トンカツやコロッケも醤油。なのに鶏のから揚げは塩味で食べることが多かった。「食通は塩で食べるんだよ」と父が話すのを何度も聞いた覚えがある。私もそれを疑わず、塩味のから揚げを信じて育った。

実は醤油味の方が美味いのでは、と思うようになったのはいつからか。今お手本にしているのは暮しの手帖84号掲載の今泉久美さんのレシピだ。鶏もも肉はたて半分に切ってから火が通りやすいようにそぎ切りに。味付けは鶏もも2枚に醤油大さじ2、日本酒大さじ2、しょうが大さじ1(すりおろし)、コショー少々だけ。この配分がまず覚えやすくていい。

汁気がなくなるまで調味料を揉み込んだら、あとは一つずつ片栗粉をつけて170℃の油に放り込んでいくだけ。粉を含めて丸ごと混ぜ込んでしまうレシピもよく見かけるが、あえて都度まぶしては粉に汁気が染み出す前に揚げていくことでカリッとした仕上がりになるという触れ込み。

確かにその通りの仕上がりになるから、から揚げはいつもこの今泉レシピであげている。塩麹の味付けやコールドスタートの揚げ方など気になりつつ、ロクに浮気もできないのはそれだけ王道感があるからかもしれない。

子どもたちの初弁当もこの鶏のから揚げがメインだった。しっかりした醤油味は冷めてからも美味しいはず。そう思いながら妻とバタバタと詰めた弁当箱はしっかりと空になって帰ってきた。

このレシピは後に暮しの手帖100号でも高橋みどりさんの「くりかえしレシピ」として再掲されていたが、鶏肉の下処理の仕方なども丁寧に書かれていて、保存版にしたい名特集だと感じる。ちなみに84号は他の料理特集も充実していて(「秋刀魚七変化」「サンドイッチの秋」「炒めもの上手になる」)、料理好きには特に楽しめる一冊になっている。

副菜によく添えるのはポテトサラダ。あまりに頻繁にセット出ししているからか、「から揚げとポテトサラダ食べたい!」とセット指定で子どもたちからリクエストを貰うことも多い。マヨ味はから揚げとよく合う。そして自分のビールやハイボールも進む。

あとは味噌汁と、できれば青菜も一品あるといい。この前は八百屋で勧められた“アレッタ“(ブロッコリーとケールを掛け合わせた新野菜)をフライパンでオイル焼きにしたら大層うまかった。あるいはほうれん草のお浸し、小松菜のオイル蒸しなんかも間違いのない取り合わせだ。

食卓に並べるとから揚げとポテトサラダばかりが減っていって、青菜はろくに食べてくれない日もあるが、から揚げの日はもう好きに食べさせてしまうことが多い。たまにはそんな日があってもいいと、親もまた甘えてしまっている。

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