TaxMovementについて

1.はじめに

TaxMovementとは、各税金勘定の期首~期末までの動きをまとめたシートになります。基本的にエクセルやスプレッドシートで作成するため、そのファイルを指してTaxMovementと呼ぶことが多いです。

2.役割

TaxMovementは以下の目的で作成します。
・別表5(2)を入力する目的。
・税目ごとに前期確定納付額、当期中間納付額、期末計上額を記載することで、期中にどの税金がどのような動きをしているのかを把握する目的。

税額計算を行う上ではTaxMovementを作成することが有用なので、税額計算時には必ずこれを作成します(事務所によるのかな)。

3.具体例

簡単な例を作成してみました。例えば前期末からの各税目の動きが以下の通りだったとします(例のため、数値はかなり適当です)。

画像1

上記を前提とすると、TaxMovementは以下の通りになります(なお借方は+、貸方は-を表します)。

画像2

各列の未払法人税等、法人税等はBSとPLの計上額を、Cash等は実際にお金が出て行ったことを表します。

各行の前期確定納付、中間納付、期末計上は各税目がどのタイミングで支払や計上が行われたかを表します。

前期確定納付における法人税を例にしてみます。

法人税の納税額は510に対し、前期末に計上した未払法人税等は500、差額の10は法人税等として計上していることがわかります。それをTaxMovement上に表すと、上記の様になります。

前期計上額の取崩額を500として記載(負債勘定の借方計上であるため、プラスで記載)、差額の10を法人税等へ記載(費用勘定の借方計上であるため、プラスで記載)、実際に納付した額510をCash等へ記載(資産勘定の貸方計上であるため、マイナスで記載)。

上記と同じ要領で他の税目もTaxMovementへ当てはめていきます。

TaxMovementを作り終わった後に必ず確認すべき点は、各行を集計した時に、計列が0となっていること、期末残高がT/Bと一致してDifが0となっていることを確認すること。ここで差額が出ていれば、TaxMovementの作成が誤っていることになります。

4.終わりに

この表は別表5(2)を作成する際にも非常に役に立つので、その転記方法についてもいずれ記載していこうと思います。

以前所属していた監査法人では、こういった表を見る機会はありませんでした(作成はしているものの、税理士側が会社に資料を提供していないだけか、単に私が担当していたクライアントの税理士がこういった表をそもそも作成していなかったかどちらか)。

元帳とT/Bさえあれば作成することが出来るので、期中の税金勘定の動きを見る、税金勘定の仕組みを理解するという意味では、監査法人所属の方も自分で作ってみるのもいいのかもしれないですね。

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