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ITIL 4 と SRE
SRE ( Site Reliability Engineering ) を実践する役割になった後、SRE本関連の3冊を読んだり Coursera の SLI / SLO 定義のオンラインコースを受けてみたりしながら、現場で SRE の普及や実践に努めてきました。
そういった中で、 SRE の信条や原則、プラクティスは非常に素晴らしいものであると感じる一方で、現場に落とし込むためにどのような取り組みをしていくべきかという点は非常に悩ましいと感じながら、SREのプラクティスやSLI/SLOの啓蒙活動をしたり、SLOの定義の設計・実装サポートをしたりと、あれこれ頭を悩ませながらSRE関連の取り組みをしていました。
そこで改めて考えたのは、「SRE本はあくまでSREの重要な要素をエッセイとしてまとめたものであり、体系的にフレームワーク化されたものではなく、信条・原則・プラクティスの集合である」ということと、「SREの背景にはシステム運用やソフトウェアエンジニアリングなどのSREが登場するまでの土台となる部分が存在しており、そちらの方が十分に構築できてないことが、SREをチームに適用することを難しくする要素なのではないか」ということでした。
SREs が SWE 視点で SLO や Toil などの SREing の方法論を適用することに囚われ過ぎて、そもそもサービス運用やシステム運用の設計が不十分なまま、自動化の実装やSREingの啓蒙ばかりに焦点が当たりがちなのが最近の課題感。
— こっしー / KOSHIRO Hajime 🧑💻 System Developer (@kodai1_jp) December 8, 2022
このような背景からシステム運用やシステム開発プロセスについて改めて情報を整理し始めた頃、 JAWS-UG SRE支部 #1 で AWS の大村さんがプレゼンされていた「温故知新: 他のフレームワークも参考にする」という情報と、偶然にも発売直後で話題になっていた「ITIL 4の基本」を学ぶための書籍が偶然繋がりました。
ITIL は、1989年にイギリス政府の CCTA ( the Central Computer and Telecommunications Authority ) によって初版が公開されたのち、2007年に ITIL V3 がリリースされたあと、2019年に現在の ITIL 4 がリリースされました。
2019年に最新版がリリースされており、最近のクラウド隆盛の流れなども踏まえて更に良いフレームワークになっていると期待して書籍を確認してみると、サービスマネジメント全体を俯瞰して見ることができそうです。
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加えて、 本来 ITIL 4 の領域ではありませんが、著者の中寛之さんが所属するアクセンチュア社でのノウハウによるものか、SREに関連付けた情報も掲載されていました。
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こういった経緯で、現在は ITIL 4 を始め、次のような書籍や情報源をもとに、脇道にそれながらSREを探求しています。
デジタル庁の提供する「標準ガイドライン」が秀逸
デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン解説書
デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン実践ガイドブック
ITIL はあくまでフレームワークであるため、組織に実装する際には更に現場に適した仕組みの設計と実装が必要ですが、視野を広げると言う意味では非常に良いものです。
また、SREという高度な方法論から一歩下がってシステム運用やサービスマネジメントについて考えてみると、そもそものシステム運用やサービスマネジメントの観点での課題も見えてきます。
まだまだ道のりは長そうですが、より良いサービスの提供を支える SRE について、色んな角度から考えてみたいと思います。
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