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Theme 7: ステイホーム

(全3話 その1の前半)

医師/精神分析家(慶應義塾大学環境情報学部)
岡田暁宜(おかだ・あきよし)さんが綴るワンテーマ・エッセイ
《ぼくたちコロナ世代》避密ライフのこころの秘密
Theme 5に「リモート」と続けて読むと 味わい深い? かも...


1/3 両面のスローガン(その前半)


 2020年4月の最初の緊急事態宣言の下で“ステイホーム”という言葉を頻繁に耳にするようになってから、まもなく1年半が過ぎようとしています〔執筆時2021年9月上旬〕。
 “ステイホーム”とは、「不要不急の外出をせずに家に居ましょう」というコロナ対策のスローガンでした。現在、4回目の緊急事態宣言の下にありますが、以前のように“ステイホーム”という言葉を聞くことはなくなったように思います。ワクチン接種も始まり、“3密”を避ければ、必ずしも“ステイホーム”を続ける必要がないからでしょう。
 コロナ以前から、人によって生活様式はさまざまですので、“ステイホーム”という言葉が与える影響もさまざまであったように思います。私自身の経験でいえば、2020年3月からコロナライフになってから、週末の学術関連の企画はすべてオンラインとなり、週末はステイホーム生活を続けていましたが、平日は通常どおりの出勤を続けていました。
 しかし2021年4月から職場が変わり、3回目の緊急事態宣言もあり、大学の講義や会議の仕事は、基本的に在宅でオンラインでおこなわれていましたので、世間でいう「在宅勤務」というものを二年目のコロナライフにおいて初めて経験しました。「在宅勤務」は、私にとっては貴重な経験となりました。

 現在では“ステイホーム”というスローガンが与えるインパクトは薄まっているように思いますが、ふり返りながら、若干の連想を進めたいと思います。
  
 “ステイホーム”という言葉には、《家に居る》という意味と《外に出ない》という意味の二つがあると思います。
 《外に出ない》ということは、基本的に〈ない〉ことですので、本来、家の外で体験できるはずだったことを体験できないという「喪失」や「剥奪」の体験となるでしょうし、人によっては、行動の自由を奪われる軟禁生活のように体験する人もいるかもしれません。これに対して《家に居る》ということは、基本的に〈いる/ある〉ことですので、多くの人にとって在宅をめぐる「新たな体験」をする機会になったでしょう。

Theme 7: 1/3「両面のスローガン」つづく


"ステイホーム”という言葉は、"ホーム”という言葉の意味からか
なんとなく温かで柔らかな響きに感じますが、
表の顔と裏の顔、〈ない〉と〈いる/ある〉の
二面の顔を持っているということですね
(どちらが表でどちらが裏かはわかりませんが、笑)

さて、皆さんは〈ない〉と〈いる/ある〉
どちらがしっくりくるでしょうか?

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