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伊野商・渡辺智男にPL・清原和博3三振! 1985年春(中)紙面で振り返る「高知の高校野球」

 あの清原和博が3三振…。のちに甲子園通算13発を記録するPL学園高校(大阪)の主砲を黙らせた豪腕がいた。伊野商業高校(高知)のエース、渡辺智男だ。1985(昭和60)年の選抜高校野球大会・準決勝第1試合は大方の予想を覆し、4大会連続の決勝進出を目指したPLを、センバツ初出場の伊野商が破った。歴史的勝利を当時の高知新聞紙面で振り返る(敬称略)。

 センバツに初出場した伊野商は1回戦で東海大浦安高校(千葉)を圧倒。渡辺が初回に先制2ランをお見舞いした。2回戦は鹿児島商工高校(鹿児島、現・樟南)に5-3で打ち勝った。準々決勝は同じ四国勢の西条高校(愛媛)に5-0で勝利。勢いに乗った伊野商は準決勝で強豪のPLをも倒してしまうのだった。

校長先生はお留守番

 「甲子園の朝-。三台のバスが海を渡って到着した。(中略)『負けて悔いない試合を』と、学校に居残る三嶽校長の祈るような声を電話で聞いた」。渡辺、強打者清原から3奪三振!!…そんな力強い出だしの記事かと思いきや、何と静かで優しい描写であろう。これ、当時最強のPL撃破を報じる快挙直後に発行された4月6日付夕刊1面記事の冒頭。そして思う。校長先生はお留守番だったのだな、と。記事によると甲子園入りした教諭が30人もいたのに。いや、管理職の先生が必要以上の期待を抱かず無欲だったからこそ、伊野商は強敵を倒せたのかもしれない。

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