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宿毛の喫茶店

青春18きっぷで高知の西部まで行ってきた。
JRから土佐くろしお鉄道に乗り換えて目的地の宿毛駅へ。
駅で自転車を借りたものの、雨がぱらつき始めたので予定より早めにサイクリングを切り上げ、近くの喫茶店に行くことにした。

喫茶店の扉を開けると、店主のおじさんとおばあさんがひとり。
ファンが付いた照明に、ふかふかのソファが並び、昔ながらの喫茶店という感じ。
メニュー表はないと言うので、とりあえず紅茶を頼んだ。
一息ついていたら、
隣のテーブルに座っていたおばあさんに「カラオケやります??」と声をかけられ驚いた。
この喫茶店、実はカラオケ喫茶だった。

思わぬ形でカラオケ喫茶に入ってしまった。
もちろん、こういう場は初めて。
おばあさんは「久しぶりだな〜歌えるかな?」と独り言を言いながら店の奥にある小さなステージに上がり、音楽がスタート。
「夢しぐれ」「四万十川の宿」「花しぐれ」どれも知らない曲ばかりで、カラオケの背景映像もだいぶ古い。

一曲歌い終えるごとに「声が高いからうるさいでしょう??」と、ノートを広げて書き物をするわたしを気遣ってくれる。
「次の歌はうるさいよ〜」という前置きのあと、本当に大きな声で「やまーーーーっ!」と、歌い出した時は笑ってしまった。
四万十川の宿という高知県西部の景色を描いた歌を聴くこともできたし、いい表情でのびのびと歌う姿がなんだか羨ましかった。

この読み物は、おばあさんが歌う演歌を聴きながら書いている。
作業向きなカフェではないけれど、こういった思わぬ出会いがあるから旅っておもしろい。

P.S.
帰りの電車で「四万十川の宿」を調べてみた。
失恋したのか、生き別れたのか、愛する人が隣にいないさみしさを表現した艶やかな歌詞だった。


高知の楽しみ方を気ままに発信する #高知の歩き方 
高知暮らしのよみものを綴っています。
田舎を楽しむヒントをおすそ分け。

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