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これ、ビジネスチャンスか?

ここ最近、健保組合を取り巻く環境は正直に申し上げて地獄です。
そもそも、協会けんぽ(旧政府管掌健康保険)には多額の税金が投入されています。
凄くシュールな構図です。

一番根本的な原因は

どんな記事でも書かれていますが、第一が高齢者医療への支援費用です。
僕は今年の3月末で仕事を退職しているのですが、前年度の所得がギリギリ国保より任意継続した方が安く、かつ付加給付も受けられるので任意継続を選択していたのですが、金額が書いてあるんですよね。

内訳

一般保険料36,828円のうち、
基本保険料:19,664円
特定保険料:17,164円
となっています。

この、特定保険料というのがいわゆる仕送り分ということで高齢者医療への支援金です。
たっか。
つか、国保でももちろん支援金は入っているので関係ないんですが、失業状態とか仕事してなくても取られるお金に、強制的に仕送り分が組み込まれてたら65歳未満の人ほとんどが、下手したら何も知らずに強制的に仕送りしているわけです。

単純に医療費負担を増やせばいいのか。

というと、ちょっと違う気もする。

というのも、今年の10月から負担割合が変更となります。

ん-。結局通院の高額療養費は、天井が低すぎるんですよね。
現役世代は、天井がない区分の人が多い(高所得者・一般所得者は、総額から一定金額は負担が生じる仕組み)にもかかわらず、高齢者医療制度では月の限度額が恐ろしく低いです。

70歳未満はそもそも外来の上限という考え方は無く、複数の医療機関に受診している場合は、21,000円を超えないと合算されません。
なので、結果的に月額の自己負担医療費が高額療養費の限度額以上必要となってしまうケースもある。

だからこそ、現役世代は生命保険に加入していないと何かあったときに医療費の負担が重くのしかかる恐れがあります。

我々は高齢者を支えるために納税・納付しているのか

よく、「私は病院に行かないのに、健康保険料を払うのはバカバカしい」という話を耳にしますし、何なら市役所時代本当に仕組みをご存じなく、「国民健康保険への加入義務を知らなかった。」という方もいました。

現役世代の医療保険制度の原則は、「保険に加入している人の保険料でその被保険者の医療費等を賄う」というシステム上のルールがあります。
だからこそ、健康保険組合がこのままだと破綻すると言って解散した事例が直近でも多く存在します。
(一番印象に残っているのは、生協と派遣健保ですかね。市役所にいたときに対象者多くて大変でした。)

ですが、後期高齢者医療制度は、80.9%もの金額が公費と我々の仕送りで成立しています。
これって健康保険制度のそもそもを否定していることになるのでは・・・?

公費も、いわば税金や国債から国が拠出しているお金です。現役世代が支払っているお金です。
不思議な仕組みですよね~。
まあ、老人保健法が根底にあるとはいえちょっと違和感しかありません。

あと。中高年が多い協会けんぽは医療費負担が多いというのもちょっと疑問。

これもよくある議論ではあるのですが、協会けんぽの平均年齢は高くそのため生活習慣病等で医療費等がかさんでしまうという論点。

個人的には疑問です。

というのも。
市役所時代に入っていた、東京都市町村職員共済組合も平均年齢は40代です。
自治体という組織も、若い職員が少なく中高年がボリュームゾーンを占めているので平均年齢は高くなる傾向にあります。

ですが、保険料率は7~8%台だったと記憶しています。
(今は手元に資料がないので正確な数字はわからないのですが。)

一つ言えるのは、公務員は健康管理を徹底されているというところはあるのでしょうか。
健康診断はもちろん強制ですし、受診しないという選択肢はありません。
以前にもYoutube等でお話ししましたが、人間ドックも格安で受けることができます。

あとは、休暇制度がしっかりしているので傷病手当の支給が少ないというのもあるのかもしれません。(とはいえ、傷病手当がどの程度の割合を占めているのかを開示している健保組合は少ないので何とも言えませんが。)

これって結局は。

協会けんぽの場合、いわゆる雇用主側である企業側の福利厚生や健康管理の水準が最低限しか保たれていないからこそ、起こる問題であり、それをいわゆる労働者側に自己責任で片付けている。

とも解釈できますよね。
確かに零細や中小企業、今回話題のスタートアップ企業ではなかなか福利厚生を確保するのは難しいと思います。
そもそも無い袖は振れない、福利厚生なんかよりも現金で従業員に還元したい、などなど。

だからこそ。

今回の、VCスタートアップ健保には大きな期待を寄せています。
確かに運営経費は掛かります。

が、職域で集まって健保組合を作ることで企業間でのコスト意識や健康企業を目指した取り組みなどが加速する可能性が高いです。

保険料は下がるのに、付加給付を支給できるようになるといったメリットも多くあります。

僕が退職前に入っていた関東ITソフトウェア健保やTJKといったIT系健保は確かに保険料率は安く、かなり健保組合側の福利厚生サービスが充実しています。

が、加入要件もかなり厳しいんです。
決算状況や、扶養率・平均標準報酬月額などクリアしないといけない条件が多く、なかなかスタートアップ企業にはハードルが高いものとなっていました。

そういった意味で、今後VC・スタートアップに限らず健康保険を自分で運営するんだ!という機運が高まるといいなと願っています。

本当に保険料は馬鹿になりません。
高齢者への仕送りもありますし、自分たちの医療費も賄わないといけない。
だけれど、協会けんぽに加入してしまえば自分たちが納めた保険料を自分たちで活用することは出来なくなります。

そういった意味で、健康保険制度の再考へ一石が投じられればいいのではないかと思った次第。


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