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「死んでもいいわ」と言われたい

9月某日。
帰り道に見た月が嘘みたいに大きかった。

月なんてせいぜいレモンキャンディくらいの大きさだと思っていたのに。
昔やらかしたおねしょのシミくらいデカい月。

バグっているのは俺の視界か。
いや、スーパームーンって言うらしい。
なぁ、スーパームーンってなんだよ。

生まれてこの方、資本主義。
そんな世界を生きてきた我々は時々、「大きければ大きいほどいい」なんて錯覚に陥る。
家も。
会社も。
期待も。
夢も。
月も。
もちろん、胸もあそこも例外なく。。

おねしょを卒業して間も無くの頃、小さいプラモデルで遊んでいた私に「そんなものよりこれで遊べ」と父がよこした1/100スケール。
組み立てられなくて放置してたら往復ビンタをされて怒られた。
頭の丸いずんぐりむっくりな8センチのSDガンダムが好きだったんだよ。

殴られて腫れた頬と、大量の涙で腫れた目元。
奇しくも似てしまった8センチのSDガンダムと自分。
大人の全力を受け止めた顔はどこか誇らしく、そして情けなく、お風呂場の鏡越しで少し笑えた。

まんまるの月に、SDガンダムの頭を重ねて思い出した昔の記憶と感傷。
月とセンチメンタルは、緑茶と羊羹くらい相性が良い。
そんな夜だからこそ、中学の授業で習って以来言えなくなった言葉を。

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