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婆ちゃんの不思議な体験話② ~タクシー~

お前の父さんが小さい子供の頃
病気になって病院に行った時の話や。

病院の帰りにタクシーを呼んだんやけど中々来ない。
いつもやったらすぐ来るのに待てども待てども来ん。

途方に暮れてたら目の前に急にタクシーが来たんや。
いつも呼んでるタクシー会社の車と違うから
運転手さん、違う客と間違ったのかなと思ったんや。
そしたらドアが開いたんや。
中を見て運転手さんに
名前を言うて、
「たぶん違う人と思いますよ」って
言うたんやけど何も喋らない。
ドアも閉まらんで開いたままや。

待ち疲れたのとお前のお父さんの具合も良くないから
とりあえず乗ったんや。
行き先を家の近所の駄菓子屋の名前を伝えたんやけど
運転手さんは何も言わんと車を走らせた。
相変わらず道中も何も喋らん。

おかしな人やなと思ってたら家の前に着いたんや。
行き先を家より手前の駄菓子屋の名前を言うたのに
家の前に着いたんや。

おかしいなと思ったけど、とりあえずお前の父さんを降ろしてから
お金を払おうとして一旦車から降りて振り返ったら車が無いんや。
道路を前後ろ見ても車はどこにもおらん。
1台も走ってないし、車の音もしない。
怖なったけど、おらんもんはおらんし家に帰ったんや。

不思議な話やろ。
たぶんあれは婆ちゃんが困ってたから
神さんが送ってくれたんかなと思うんや。
得な婆さんや。

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