芸術家たちの南仏:3 /川村記念美術館
(承前)
思わぬ、よき出合いもあった。
広島のふくやま美術館から、ソニア・ドローネーが3点も来ていたのだ。
夫・ロベールとともに、色彩豊かな抽象絵画を描いたソニア。「ソニア・ドローネー」で画像検索をかけるだけで、ちょっぴり幸せになれると思う。
リーフレット裏面にも画像が出ていた《色彩のリズム》(1953年)。
寸法は縦100×横220センチもあり、画像で認識していたよりもずっと大きな絵。正面に立つと、大いなる色彩にまるごと包みこまれる感があった。
わたしは、ソニア・ドローネーのいい絵が広島にいくつもあるなんて、ここに来るまでまったく知らなかったのだ。収穫だった。
《色彩のリズム》の前に並んでいた、ジャン・アルプのオブジェ3兄弟(勝手に命名)もよかった。
「長男」と思しき、最も大きな《地中海群像》(1941/65年) 。磨きあげられた大理石のなめらかな質感、不安定そうにみえてじつは安定しているかたちが愉しく、思索を誘う作だ。
東京国立近代美術館の所蔵で、コレクション展示などさまざまな機会にお目にかかってきたものだが、この作品に加えて富山県美術館から《鳥の骨格》(こちらの画像の左側。1947年)、宮崎県立美術館からは《視聴覚の形態》(1942年)が登場。
富山・宮崎とも素材は金属で、サイズでいうと「東近美>富山>宮崎」、色みでいえば「白/黒系/金」となる。制作年代こそ前後してしまうけれど、絶妙な対比・対応関係の3作なのである。
富山の次男坊は、先に画像を引用した横浜美術館の「トライアローグ」展(2020〜21年)や現地で拝見していたが、宮崎にも生き別れがいたとは。これも、知らなかった。
「この美術館、こんなにいいのを持っていたのか!」
……そのような驚きと再発見が目白押しの本展。
担当学芸員の方々が知恵を絞りあってリストを構築していったさまが、よくうかがえた。
会期はまだはじまったばかり。
あたたかくなってくるこれからの季節には、ぴったりの展示だと思う。広い広いお庭の花も、続々と咲いてくることであるし……
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