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あれから13年 ただの都会に感じられるようになったバンコク ー最終章ー 家出ハウスからの卒業

今夜も雨が降っている。雨季だから、当たり前のことなのだけれど。そしていつも思い出す、さや子さんが愛したタイ人男子 三角の一言。
「今日は雨が降ってるから、ゆっくり寝られるぜ。」

雨が降り続く夜に、扇風機1台で眠る事ができた13年前の僕の小さな幸せ。13年の内の最初たった半年間の間に、自分の中のタイ人が目覚め、もぞもぞと動き始めた事を改めて思い出す。


僕たち、私たちは、この家出ハウスを、卒業します。
と言っても、少なくとも僕みたいな不良は、逃げるように家出ハウスを去ったから、家出ハウスを家出する、という二重の罪を犯してしまったのかもしれない。

卒業生1号は、マラリアからの病院送りとなったKarlだった訳だが、有終の美を飾った卒業生も少なからずいた為、まぶたに焼き付いているあの卒業式を思い返しながら、最期に書き記しておきたい。

恒子さんの卒業式


卒業式当日。会場は当時ラーマ4世通りにあったフランス系大型スーパー カルフールの中のMKレストラン。家出ハウスの核をなす主要メンバー達が円卓に集まり、椅子に深く腰を下ろした。僕ら貧乏系反社会人にとって高級レストランの部類に入るMKでの食事は、場慣れしていないせいか少し緊張感があったりして、多少のおめかしをして出かけたのを覚えている。

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