自由恋愛が許されている日本で、アラフィフおじさんが20代女子に真面目に告るということ
とあるプロ野球チームをひいきにしている旦那は、私と知り合う以前から、球場の応援席で知り合った人たちとゆるくつながるグループに所属している。
構成員のほとんどは彼と同世代の4、50代のおじさんたちで、中には熟年夫婦や大学生のピン男子が混じっていたり、得体の知れない元お水の関西人(=私)が加入してきたりと、ほかの同じようなグループとくらべて何かとカオスな集団だ。
出たり入ったりしながらも、かき集めるとざっと2〜30人はいるだろうか。その中で過去、同じグループ内で15歳以上年下の女子とくっついたおじさんがふたりいる。
ひとりはいつも特定の若い女性を連れているIというおじさん。バツイチで、小さな会社のひとり社長をしている。
つい先日も、地方球場で知り合った他チームファンの野球女子と一緒にうちの店へ遊びにきてくれた。
大学生だった彼女は社会人になっていて、相変わらずひたすら中ジョッキの生をお代わりする酒豪だった。
なんとなく誰も突っ込めないのだけど、その彼女とは別に付き合っているわけではなさそうで、でも一緒に呑みに行ったらそのまま家に泊めたりしてるみたいだし、前に連れていたギャルについては同棲もしていて、さらに彼女が家を出てからもしばらくは金銭的な支援をしていたと聞いている。要するにパパみたいなことをしてるってことなのかもしれない。
いやしかしパパ的とはいえ、泊まったり一緒に暮らしたりしてるわけだから、あるていど人として好きじゃないと女子たちとしてもやってられない。お金のために割り切れるほどIさんは富豪じゃないし、彼女たちだって暇じゃない。
じゃあどんなイケてるおじさまなのかというと、たしかに性格は穏やか・寛容・低姿勢で、一緒にいるのに負担は重くなさそうなんだけど、夏場はヨレヨレの穴があいたTシャツとか着てるし、伸びきった白髪は放置しっぱなしと、とにかく自分の見た目には無関心で、失礼ながらいまいち色気も覇気もない。
実は彼女たちとは本当になにもなく、お父さん代わりになってあげてるただのいい人なんじゃないかと疑っている人は私だけじゃないはずで、だけどやっぱり誰も突っ込めないでいる。
もうひとりはうちの旦那。17歳年下の私とは出会って3度目ぐらいで即付き合い、そこから3ヶ月後にはしっかり婚約まで締結している。
彼も彼で、いまでこそどこへ行くのもマスクだからいいものの、私がちょっと油断すると鼻毛が両穴から飛び出たまんま出かけようとするし、友人が経営する六本木のシャレオツなレストランへ行こうっていうのに、ひいきにしているチームのマスコットキャラクターがプリントされたTシャツを堂々と来ていこうとするような見た目への無頓着ぶりには毎度ため息が出る。
自営業といったって一世帯食べていくのがやっとで、とくべつなにか資産があるわけでもないふつうの中年バツイチおじさんだ。
こんな「スペック」だからよけいなのか、同じグループの中でうんと年下の女性と縁がある同年代の同志がふたりもいると知れば、黙っていられないおじさんも当然出てくる。
アラフィフおじさん、突然20代女子に告白する
前述の同グループに、Kさんという自営業のバツなし・独身・アラフィフ男性がいる。
グループの中では明るい盛り上げ役で、声や身振り手振りが大きく、自分発信で集まりごとを計画するのが好きなお山の大将タイプ。
とくに服装がダサいとかケチというわけでもなく、見た目は短髪で小ざっぱりしていて、歳相応にお腹は出ているが鼻毛は出ていない。
あるときそんなKさんが「ねぇねぇ二人ともさぁ、どうやったら若い子と遊びに行ったり付き合ったりできるわけ?」と、うちの旦那とIさんに尋ねる場面に遭遇した。
ふたりとも別に「俺たち若い女をゲットできたイケてる大人のモテ男」なんて思ってそうな浮かれたタイプではなく、おそらく自分というものをあるていどわかっている謙虚で控えめなおじさんズなので、とても答えに困っていた。
う〜んなんでだろうねとか、たまたまだよとか、そんな曖昧な返事に終始したと記憶している。
Kさんがふたりにそんなことを尋ねたのは他でもない。
これはまだコロナ以前の話になるのだけど、彼はそのとき同じグループにゆるく所属していた、Rちゃんという25、6だったかの女性に好意を抱いていた。
彼女は男女分け隔てなく誰とでも仲良くなれるタイプの、わかりやすく感じのいい女性。そんなに身長は高くないけどスタイルの良い健康的美人で、自称フリー。ひいきにしているチームの選手の応援歌はほぼ全て空で歌える生粋の野球女子だ。
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