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自身の経験を活かしたお仕事-体験農園の講師を引き受ける-


前回の記事では、江戸川区での体験農園の講師を引き受けたお話をしましたが
今回は、小金井市で開園した都民農園の講師を引き受けたお話です。

私が小金井市で就農することが決まってきた頃。
ちょうど、小金井市で新たに都民向けの体験農園が開設される準備が進んでいました。
一般的に行政が開設する一般市民に貸し出す農地としては、その地域に住んでいる市民向けの市民農園、区民農園がありますが、
都内全域の都民を対象とした体験農園になります。

体験農園は、運営側が資材や種苗などを用意し
作付計画も立て、利用者はその内容に従い作物を育てます。
利用者向けの講習会を開くにあたり
地元のJA青壮年部や新規就農者に講師をやってもらおうという話しがあがっていました。

東京都農業会議を通じて紹介して下さり
小金井市で就農するため地域での人脈作りや
生活資金を確保していくという経緯から
引き受けることになりました。

新規事業立ち上げの難しさ

私もはじめての地域で、はじめての取り組みなので
顔を知ってもらうため、携わる方との繋がりをもちたいと
運営委員会などに出席させてもらいました。

地域で活躍されている多くの方が募り
新しい施設での取り組みを話し合っておりましたが
ゼロから基盤を作っていく難しさを痛感していました。
自身も同じ状況であったため、出来ることはほとんどなく
皆さんについていくのに必死で勉強になりました。

また幸いにも同じ講師を務める方が
JA青壮年部の部長さんであったことから
青壮年部に入れていただき、若手農家さんとの繋がりを作ることができました。

いざ講習開始!!トラブル続出!!二転三転な講習会

実際に講習が始まるとトラブルが続出!!
一番困ったことは、水はけが悪いこと。
雨が降った後は、田んぼのようにぬかるみ2〜3日は畑に入れない状態に。
しかも講習日と重なり、クレームに・・・
本当に膝丈まで足が埋まってしまうんです。
原因は30cm下には硬盤層ができており、水が抜けず溜まってしまい
緩やかな傾斜がついていたため、下層に向かって水が流れ込んできています。

重機が入ったことで地面が固まってしまったのか
以前は果樹畑だったこともありそれが関係しているのか。
明確な原因がわからないまま、今できることで改善していかなければならず
縦穴を掘ってみたり、堆肥を多く入れてみたり
すぐにすぐの解決には至りませんでしたが、少しずつ田んぼの状態が改善されていきました。

石や瓦礫も多く石拾いの作業が日課になりました。

また、土の状態が痩せた肥料分があまり含まれていない土地であること
p Hが低く酸性状態にあり、作物の生育もかなりばらつきがありました。
講習が始まるまでは、分からなかったことが
実際に栽培する中で見えてくることが多くあり、その都度講師の仲間と話し合い、解決策を模索していきました。


栽培技術は農家それぞれの個性がある

毎回の講習の度に、何回も打ち合わせを重ねて
どうしたらより効率よく畑が使えて作業ができるか。
虫がついたらどうする?病気になったら農薬を散布する?

道具は何を使えばいいか、野菜の品種は何にするか。
保温資材を使うか使わないかなど、
農家によってその家でのやり方がありどれも間違っているわけではなく
どれも正しいこと。ではどのやり方で統一して教えようか?
試行錯誤しながら、進めていきました。

そういったやり方があるのか、そんな品種を使っているのか
意見を出し合う中で勉強になりました。

複数名で指導に入る中で、この前の人と言っていることが違うよと
利用者さんからご指摘いただくこともしばしば。
それぞれやり方が異なるから、そういうやり方もあるんだと覚えてくださいとお伝えしていると
だんだん状況を分かっていただけたようでした。



また初心者の方が、どのくらいの作業強度が大変と思うか
どこまでの作業であれば時間内にこなせるのか。
最初の講習では、利用者さん同士での交流も少なかったのですが
回数を重ねるうちに利用者さん同士での助け合いの場も増えてきて
効率よく作業が進められるようになりました。

最終講習会では、利用者さんからは
体験してみてよかった、大変だったけど楽しかった
また来年も続けたいという嬉しいお声をたくさんいただき
ほっとしたことは言うまでもありません。


私自身も教えてもらうことが多く
人に伝えるために自分が勉強し直すことも増えたので
本当にいい機会だったと思います。
2年目も2カ所の講師のお仕事は続けさせていただくことになりました。


次回からは体験に基づく実践編のお話し。
最初は農福連携について。
複数回にわたってお話ししていきます。
農福連携への取り組み方など具体的にお話ししていきます。

つづく