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「面白い」と「しらける」って色は両方白いけど意味が全然違う

これはまったくもって主観的な言葉や言語の不思議シリーズ第二弾である。

第一弾は、「意識的になると言葉や言語の不思議、違和感があるよね」という導入と、例として「なんで口が"軽い"の反対は口が"堅い"になるのか?」という話について書いた。


今回はそれの第二弾、言葉の中でも「色」にまつわる不思議について書いていこうと思う。


「面白い」の語源って?

僕は言語が面白いと思うことがよくあるのだが、そもそも「面白い」という言葉ってどうやって生まれたのだろうか?僕の場合「面白い」と聞くと連想されるのが、笑うという意味での面白いである。例えば「あの芸人のギャグが面白かった」みたいな感じ。

でも、待てよ。

面白いという言葉の字面から、成り立ちを想像してみるとなんか違和感を抱く。「面白い→顔が白い→ボケたら相手の顔?自分の顔?が白くなった?→つまらなかった」となってしまわないだろうか。

「面白い」という言葉、字面だけ見たら笑いをとったというよりすべってるという意味の方が近いかもしれない。だって、実際にすべったときに「しらける」と言ったりするし。そもそもなんで「面白い」と「しらける」って反対の意味の言葉なのに、両方色が白いのだろうか?

これはきっとそれぞれの語源に関係しているはずだ。というわけで「面白い」と「しらける」について簡単に調べてみた。


まず「面白い」の方だが、この語源には所説あるみたいだ。よく出てくる説が、神にまつわる話である。ある時、天照大神という太陽神が天の岩戸に隠れて世の中が真っ暗になってしまったらしい。外に出てきてもらうために八百万の神々が岩戸の前で神楽や舞いなどの宴会を行ったところ、天照大神が出てきて、神々の顔が照らされて白くなり世界も明るくなった。

面が白くなるといっても、「血の気が引いて白くなる」よりも、「明るくなる」という意味だ。たしかに面白かった時に、笑顔になってパッと顔が明るくなることを想像するとわかりやすい。

もしくは、面が「目の前」、白いが「明るくはっきりしている」という意味から「目の前の美しい景色」を指していたという説もある。それがさらに転じて「楽しい」などの明るいに寄ったポジティブな意味が広がっていった。

どこが白くなっているかという点に違いはあるが、共通しているのは「明るい」という部分である。笑顔になるときも、興味深いと思うときも、面白いと感じる時には明るさがあるのだ。


次に「しらける」の方。これにも所説あるみたいだ。一つは「隠れていたものが明らかになる」という意味から、明らかになることで面白くなくなるというパターンだ。江戸時代からこのような意味で使われるようになったらしい。どうやら歴史的に「白い」は「明るい/明らかになる」と対応していたみたいだ。

もう一つの方が今の意味になじみ深いかもしれない。座が白けるといったような「興ざめする、場が冷める」ことが語源になっているパターンである。


結局、面白いもしらけるも両方白いだけど、語源とその意味を調べると「面が白い=明るい=楽しい(ポジティブ)」「白ける=(謎が)明るみになる=つまらない」もしくは「白ける=興ざめる=つまらない」の対比になっていた。

同じ色を使っても言葉によって意味が変わる、特に反対の意味になるのはなんだか面白い。

これを知ると、「しらけ笑い」は究極の技である気がしてくる。一度場(みんな)をしらけさせることで、それが場(みんな)を明るくするのだ。昔の人たちがこの文化を知ったらなんて言うのだろう。



緑が青々としている

そもそも、この日本語は間違っているのかもしれない。でも、このフレーズどこかで聞いたことがあるのではないだろうか。

ここでいう緑は「木々の緑」というように葉っぱを指す。もしかしたら「緑」という言葉は使わないほうが良いのかもしれない。しかし、「緑が生い茂る」というように、「葉」を「緑」と置き換えることができるのであれば「緑が青々としている」もありではないだろうか。

言葉を並べた時に色が重なっている感じが面白いなと思った。だって直接受け取ってしまったら意味がわからないのだから。これは日本には緑色を青と呼ぶ文化があるから起きる事だろう。

それについてはこんな記事があった。きっとこの疑問は小学生くらいの時に誰もが持つものではないだろうか?



おわりに

これらを調べてみると、日本語の色表現はかなり多様なのかもしれない。現在のイギリスでの生活から、英語で同じようなことが起きるのだろうかと考えた時に、そもそも英語で色に関わる話ってあまりしないなと思った(これは僕の英語力が至らなさすぎるからなのかもしれない)。

日本語の面白さだけでなく、英語ももっと掘り下げていったら言語に関する興味深い話は色々あるはずだ。いつか英語バージョンの面白さを探求してみようと思う。



執筆者・東京人






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