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【小説】エンドビギニング26、 最後はヒーロー / 天空の畏敬の光

「人生は映画じゃないのよ...」

「人生の主人公はオレだ。パッとしねぇ人生だったが、最後くらいヒーローになりたいからな」

「俺は、自分にできることをするだけだ!」

↑ 残り2話で最終回!ここからでも楽しんでお読みいただけます!ドナー提供、電波、支配と被支配ってなんだ?!あらすじと、前回の話はこちらです!読み返してみてください! ↓

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【前回までのあらすじ】

神門社長が率いる株式会社カイザータックンには電波を使ったとある陰謀があった。それを阻止するにはどうすればいいのか。ヒントを探すため、岡野塁は、左京・萌香・サヤと共に、デルポイ遺跡に向かった。遺跡での探検、先住民たちとの戦闘を経た後、塁は新藤と合流する。神門たちの野望に対する作戦会議だ。

そして、2021年8月13日 巨大なカジノ会場で開催される建国記念日の記念式典上で事件が起こる。最終決戦の幕開け。

一悶着ののち... 柊左京刑事は、神門を追い詰めた。
”臓器移植法違反”で逮捕する!お前は、毎年8月13日に子供たちを集めている。それは臓器提供者としてブローカーに横流しをしているからだろ?」

神門の目的は、「全世界的にドナー提供者を探すために、国民を電波で洗脳しようとする」ことだった。

追い詰められて取り乱した神門は、電波塔のスイッチを押してしまい...

不協和音が数十秒以上鳴り響いている中、一人、また一人と、頭を押さえ始めた。口々に、「脳が震える…」「頭が痛い…」と、症状を訴え、バタバタと倒れ始めた。このままでは、ラムダ公国は...!?
塁や新藤の活躍もあり、神門を改心させたが、電波塔の暴走は終わらない。

「君たち、これは私からの最期のお願いだ。このスイッチを押してしまったため、もう電波塔の制御はできない...最後の希望は君たちしかいないんだ…」

さて、どうする!?


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神門は、神妙な面持ちで言葉を続けた。
「もう一つ問題がある…電波塔の横にあるコントロール室には、SPDがあるんだ…」

「SPEED?どっかのアイドルか?」桑原が緊迫感のない声を上げる。

落雷を原因とする雷サージによる建物内、周辺の電気設備を保護するための避雷器がSPDだ。ここは耐雷トランスを用いた絶縁はしていないから、SPDだけを破壊すればいいのだが…」


「SPDの場所は誰が把握しているんだ?」塁は神門に尋ねる。

「私は機械の場所はわかるが…破壊する道具がない…」神門が眉をひそめると、左京が神門をじっとみつめた。

「俺も一緒に行こう。そこに俺の車が止めてある。遺跡探検用に調達した工具や、ちょっとした武器もあるからそれでSPDを破壊できるだろう…」

「じゃあ、左京さんと神門社長は、それを破壊しに行ってくれ」塁はいつの間にか場を仕切っていた。

神門は「しかし、私は拘束されているが…」と口にしたが、彼を拘束している警察官は「私も同行するので大丈夫です、これは一大事ですから」と呟いた。


「お父さん、頼んだよ…」美優と萌香は、父を見て同時にそう呟いた。

2人は何も言わずにこくりとうなづいた。そこには過去の因縁はなく、ただ目の前の危機を救いたいという一心だけがあった。

新藤は、「バカ親父。あんたの罪はこれで浄化できるほど軽くはないが、謝罪の気持ちがあるならSPDくらいさらっと潰して来いよ」と言った。

神門は「ああ」と呟くと、左京と共に駆け出して行った。



「けど、コントロール室を壊して大丈夫?結局、電波塔もコントロール室も一対なんじゃないの?」萌香がその点に気付いたとき、美優が声をあげた。彼女は無邪気な声で、物事の本質を捉える。

「思い出した!」と美優は目をくりくりとさせた。「旧日本軍が使っていた無線方位信号所が、電波塔の少し裏にあるの!今は使われていないけど、まだ利用できるかもしれない…」

「なら、この不協和音を流しているコントロール室を破壊したあと、その信号所から人々を癒す電波を流せばいいんじゃねえか!?おもしろくなってきやがった…」塁は、言葉を続ける。

美優は、「けどだめよ。私しか信号所の場所を知らないけど、この怪我でろくに動けない…」と答えた。

ここで新藤が口を開いた。
「SPDの件もそうだが、お前たちカイザータックンは重要情報を幹部しか知らないからな。情報開示しねえからこういうときに困るんだ。まあ、俺が運んでやるから今回は大丈夫だが…」

「ありがとう…」と答えた美優は、萌香の方を見た。
「それと…あなたは萌香さんよね?さっきは私の治療をしてくれてありがとう」

「は、はい」萌香は、突然美優から名前を呼ばれたことに戸惑った。

「そして、私たちと一緒に、あなたも信号所に来てくれない?」

「どうして私が?」萌香は、美優の真意をはかり損ねていた。

「塁から聞いたわ。あなたは昔、お花に`ある言葉`をかけてたんだよね?」

「はい」萌香は、その言葉をハッと閃いた。

「その言葉を、私と一緒に”ユニゾン”してほしいの。この国の人々が忘れているあの言葉を」


ここまで話についていけてなかった桑原が「君たちはなんのことを?」と疑問を口にした。

そのとき、塁は桑原に、「桑原さん。ぼくがさっき出したクイズの答えですよ」と言った。

「なんだそれは?」

「まだ、言えませんよ。とっておきの切り札ってのは最後に切るものですから。でも、俺はわかりました。周波数は平和に活用できるんです」


含みを持たされて苛立ったのか、桑原は再び疑問を口にした。
「ちょ、待てよ!問題が解決したみたいになっているが…」

言葉に詰まった桑原に代わって、萌香が呟いた。「誰がカリュクスを使って雷を誘導するの?」

新藤は、「一回の雷で起こる電力は、平均で900GWギガワット、100Wの電球が90億個点灯する量だ。避雷針になったものは、直撃する…」と声を落とす。



「俺が避雷針になる」

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