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ペダルをこいで丸一周、「○○イチ」が熱い

琵琶湖を自転車で一周するから「ビワイチ」、それが淡路島なら「アワイチ」―。ぐるっと回って再びスタート地点に戻ってくることに達成感があるのでしょうか。紙面に登場した「○○イチ」を、播州人3号が紹介します。

巨大な「○○イチ」を正月の紙面で見たのが今回の投稿のきっかけです。
セトイチ」と呼ぶそうです。

大鳴門橋 自転車道着工へ
瀬戸内一周「セトイチ」
28年度に実現
兵庫・徳島県協力 事業費58億円

 兵庫を含む瀬戸内海沿岸6県を自転車で巡る「セトイチ」実現に向け、淡路島と徳島県を結ぶ大鳴門橋(全長1629メートル)への自転車道整備を検討していた兵庫県が、2023年度にも事業着手する方針を固めたことが分かった。徳島県との合同事業として計58億円を投じ、28年度の開通を目指す。国内屈指となる総延長約500キロのサイクリングルートとなり、自転車を通じた大交流圏の形成が期待される。
 淡路島を一周する「アワイチ」(約150キロ)は、自然豊かで変化に富んだコースとしてサイクリストの人気を集め、新型コロナウイルス禍の前には年間2万人が楽しんでいた。課題はアクセスで、本州側からは明石港(明石市)と岩屋港(淡路市)を結ぶ高速船に自転車を載せて移動できるが、四国側との行き来はできない。
 一方、広島県と愛媛県を結ぶ「瀬戸内しまなみ海道」には既存のサイクリングロードがある。四国と淡路島を結ぶ鳴門海峡を渡ることができれば、瀬戸内海沿岸が1本のルートでつながるため、地元や愛好家の間で近年、待望論が高まっていた。
 着目されたのが、大鳴門橋の桁下空間だった。1985年に開通した同橋の下部には、将来的に四国新幹線を通すための空間が確保されていたが、事業化のめどは立っていない。兵庫、徳島両県は18、19年度に強風時の影響などを調査し、安全性を確認。構造設計などを経て、23年度から自転車道整備に取りかかる方向で合意した。
 具体的には、桁下にアスファルト舗装を施し、幅員4メートルのうち2・5メートルを自転車道、1・5メートルを歩行者用とする。アプローチ部分も含め1799メートルの整備区間のうち、兵庫県は淡路側から931メートルを担当し、事業費は30億円を見込む。残り868メートルは徳島県が施工し、28億円を負担する。
 年間利用者数はサイクリスト9万人、徒歩やレンタサイクルの一般観光客35万人と想定する。維持管理、運営の費用は利用料収入で賄う方針で、サイクリストは1台千円、徒歩・レンタサイクルは500円を軸に検討する。安全確保のため夜間は閉鎖し、ミニバイクなどは通行できない。
 自転車道が完成すれば鳴門海峡が誇る「渦潮」を間近に望む拠点にもなり、兵庫、徳島両県が目指す世界遺産登録に弾みがつく。兵庫県は「広域的な観光圏をつくり、海外からの誘客や多様な交流促進にもつなげたい」とする。
 「アワイチ」人気に目を付ける神戸市も昨年10月、再整備を進める須磨海岸(神戸市須磨区)を起点に、サイクリストと自転車を船で淡路島に運ぶ実証実験を実施。3日間(1日1往復)で約260人が利用した。市は「ニーズは高い」とみており、民間での実施も含めて事業化の検討を続けている。
 国内の他のサイクリングルートとしては、千葉県から和歌山県に至る太平洋岸自転車道(1487キロ)や、滋賀県の琵琶湖岸一周(ビワイチ、193キロ)などがある。

(2023年1月3日付朝刊より)

総延長約500㌔のサイクリングルートです。
神戸・東京間が直線で約400㌔です。
地図にある「アワイチ」と比べてもスケールが違います。

記事を見て驚いたのはその距離だけではなく、「事業着手」という言葉でした。「構想」や「計画」ではなく、実現に向けて動き出すという意味です。

とはいえ、現時点で兵庫県内で一番有名な「イチ」は淡路島を自転車で一周する「アワイチ」でしょう。
その「アワイチ」が最初に紙面に登場したのはこちらの記事でした。

自転車で淡路島1周 10月に催し

 淡路島を自転車で1周するイベント「淡路島ロングライド150」(神戸新聞淡路総局後援)が10月31日に開催される。島内を海岸沿いに時計回りに1周する約150キロ。サイクリング愛好家らの間で「アワイチ」と呼ばれる人気コースで、タイムを競うレース形式ではなく、沿道の景色を楽しみながら走る。
 全島で盛り上がれるスポーツイベントとして、県や島内3市、淡路島くにうみ協会などでつくる実行委員会が企画。淡路島を「サイクリングの島」としてPRする。
 国営明石海峡公園(淡路市)を発着点として、午前6時から10台ずつ順次出発し、午後4時がゴール締め切り。途中4カ所で制限時間を設定する。
 実行委の初回会合がこのほど洲本市内であり、会長の門康彦・淡路市長は「島内ではかつての女子駅伝以来の大きな大会。トラブルなく実施したい」と語った。

(2010年5月20日付朝刊より)

ただ、それよりも前に、こんなお知らせ記事が掲載されていました。

(2003年3月30日付朝刊より)

淡路島を自転車で1周することは、それほど珍しいことではなかったのかもしれません。
それを裏付けるようなコラムも見つかりました。
2005年秋に淡路島勤務になった若手記者が書きました。

 今春入社し神戸本社で半年の記者生活。突然の異動に驚きましたが、「淡路勤務」の一言に顔が思わずほころんでしまいました。
 明石海峡大橋を渡った神戸市垂水区と須磨区で育った私にとって、淡路島はあこがれの存在。南を見つめると、緑濃き淡路島と青い海がありました。「どうしても行ってみたい」。中学生のころ「自転車で島を一周しよう」と友人と張り切って出発したものの、日が暮れて途中であきらめたこともあります。
 今回は、記者としての淡路。島内を懸命に駆け回り、淡路の新鮮な魚のように取れたてのニュースと、みなさんの温かい笑顔をもっと増やせる話題をお届けしたいと思っています。
 生まれ育った神戸、学生時代を過ごした北海道がこれまでのふるさと。淡路島も、きっと新しい故郷になります。赴任初日は、取材先への道に迷うなど大変でしたが、お話を聞かせていただいたみなさんの笑顔に励まされました。これからの新しい出会いが楽しみです。どうぞよろしくお願いします。

(2005年10月4日付朝刊)

少なくとも1990年代には淡路島一周を目指す少年がいたことになります。

アワイチ」という名称がつき、知名度はぐーんと上がります。
ビワイチ」などと並ぶ「日本7大1周」の一つに数えられているようです。

国内7カ所の自転車1周コース
〝制覇〟目指し走ろう
「アワイチ」含めキャンペーン
密集避け少人数参加を

 淡路島1周の「アワイチ」を含め、国内7カ所の自転車1周コース制覇を目指すキャンペーン「サイクルボール―日本7大1周制覇の旅―」が始まった。新型コロナウイルスにより島内でも9月の「淡路島ロングライド150」が中止になるなど、自転車イベントへの影響が広がるが、密集を避けて個人や少人数で挑戦できる。
 全国で自転車を使った観光振興事業を展開する一般社団法人「ルーツ・スポーツ・ジャパン」(東京)が、淡路島観光協会(洲本市)などと連携して実施。
 「淡路島1周(アワイチ)」「琵琶湖1周(ビワイチ)」「浜名湖1周(ハマイチ)」「富士山1周(富士いち)」「伊豆半島1周(伊豆いち)」「霞ヶ浦1周(かすいち)」「福島市・二本松市1周(ふくいち)」を完走し、すべてのサイクルボール(各ステージ窓口で得られるカード)を集めると、望みに応じて、先着順でプロテインなどの商品や、洗車といったサービスを選べる。期間は8月1日~来年3月28日の間だが、「かすいち」と「ふくいち」は日程が異なる。
 参加費無料。詳しい内容や参加方法はサイクルボールのホームページに掲載している。
 淡路島観光協会は「全国的に『アワイチ』の知名度を上げたい。観光を兼ねてゆっくりと楽しんでほしい」としている。

(2020年8月10日付朝刊より)

ほかにも「イチ」のつく兵庫県内の1周ルートが紙面にありました。
ササイチ」です。

田園、伝統的な町並み…気ままにスイスイ
秋景色めでる自転車旅へ
スマホでスタンプラリー開催
4コース ポイント集め景品も

 自転車で観光する「サイクルツーリズム」を推進している丹波篠山市は、スマートフォンを用いたモバイルスタンプラリーイベント「丹波篠山サイクリングワールド」を催している。銀輪で田園地帯や伝統的な町並みを駆け、おのおののペースで充実した時間を堪能してもらう。期間は11月30日まで。
 2020、21年度に続き、スマートフォンアプリ「DIIIG(ディグ)」を活用する。神戸に本社を置く「DIIIG」社が開発・運営するミッションアプリで、位置情報に基づきポイントが与えられるのが特徴。
 現在、用意されているのは「国鉄篠山線の廃線跡をめぐる」(約38キロ、所要時間2・5時間)や「丹波篠山ぐるっと1周#ササイチ」(約105キロ、同6時間)など4コース。ルートは、市内で「自転車工房ハイランダー」を営む村上大輔さん(33)が、市の委託を受け設定した。
 コースを巡りながら、指定された観光スポットや飲食店に立ち寄り、飲食するなどのミッションを達成するとポイントを獲得。ポイント数によって、地元特産品などが景品の抽選に参加できる。
 市内には近年、女性らに人気が高いカフェや雑貨店なども増えており、もちろん寄り道も自由だ。「自転車の旅で、より深く丹波篠山を知ってもらえれば。コロナ禍でも密になりにくいメリットも」と観光関係者。
 このほか市公式観光サイト内に自転車観光の情報をまとめたガイドページも作成し、愛好家たちにPRしている。

(2022年8月29日付朝刊より)

加西市には「カサイチ」もあります。

加西を自転車で巡ろう
風土記祭実行委
サイクリング地図作製

 加西市内に点在する播磨国風土記ゆかりの地などを自転車で巡ってもらおうと、同市播磨国風土記1300年祭実行委員会が、サイクリングマップ「カサイチ」を作った。自転車でのまち巡りを幅広い層に楽しんでもらうため、六つのモデルコースを設け、標高差や斜度なども記している。
 マップでは、ぬかが飛び散って付近の山ができたとする由来が同風土記に記されている「糠岡(ぬかおか)」をはじめ、説明看板が立てられている市内15カ所を紹介。五百羅漢や鶉野飛行場、法華山一乗寺などの名所も案内している。
 モデルコースは、県歴史的景観形成地区に指定されている北条町の町並みや玉丘古墳などの6・3キロを回る初心者向けの「北条ポタリング」から、加西市内を一周する63・1キロのロングコース「カサイチ」までレベルに応じて設定した。想定される所要時間や最大標高差などもグラフ付きで示した。
 初心者向けにサイクリングの準備方法や道路標識のほか、市内のレンタサイクル情報なども載せている。A2サイズで1万部発行。

(2015年6月13日付朝刊より)

いずれのコースも走ったことはありませんが、「イチ」が付いているだけで魅力的に感ます。

<播州人3号>
1997年入社。10年ほど前、ごくたまに仕事で自転車に乗ることがありました。電車や車で移動するのとは違った風景が広がり、新しくオープンした店や、店頭に並んだ季節の食材を「発見」しました。駆け出しのころ「本日の出稿はありません」とデスクに伝えると、「商店街か駅前の大通りを3往復してこい」と言われました。「そういう意味だったのか!?」とペダルをこぎながら気づきました。

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