見出し画像

こんなとこにも、兵庫の「聖地」

もともとは宗教の本山や本拠地のある場所を呼ぶための言葉のようですが、文化やスポーツの分野でも多用されています。「聖地」です。「球児たちの―」といえば、兵庫県西宮市の「甲子園球場」を指します。そこまで有名でなくても兵庫には聖地がそろっています。知る人ぞ知る的な聖地を中心に、播州人3号が紹介します。

甲子園の記事をまとめた投稿はこちら

オカリナの心地よい音色が森に響くそうです。

オカリナ聖地 フェスけん引
宍粟に全国から愛好家 大集結
会場で手作りの逸品直売 品ぞろえ多さ魅力

 宍粟市がオカリナ愛好家の間で「聖地」と呼ばれている。このほど同市の山崎文化会館であった「森の国オカリナフェスティバル」ではアマチュア奏者約200人が出演し、作家たちも手作りの逸品を直売。周辺には熊本や名古屋など県外ナンバーの車がずらりと並んだ。しかし、地元では聖地の認知度はいまひとつ。なぜファンは宍粟に集まるのか。理由を探ってみた。
 同フェスは地元グループ「森の国オカリナ合奏団」などでつくる実行委員会が主催し11回目。ロビーでは個人作家12人とメーカー6社がブースを構え、40ブランド以上の数百点が並んだ。全国から約430人が来場し、実際に吹きながら作家やメーカー担当者の説明を熱心に聞いた。
 広島県から車で3時間かけて来た女性(53)は「広島でこんなにたくさん売っている場所はない。作家さんの話を聞きながら試奏できるのも楽しみ」と声を弾ませた。
    ◇
 オカリナは土を焼いて作った笛で穴の大きさや音の感覚は一つ一つ異なる。実際に吹いて確かめるのが失敗しない選び方とされ、それが遠方からでも足を運ぶ理由らしい。
 しかも作家の手作り品は買える場所が限られる。そうしたブランドが多数集まり、自由に吹き比べできる催しは全国的にもあまりない。今回も約70人が泊まりがけで訪れた。
 日本を代表する作家、波多野杜邦とほうさん(64)=神奈川県=は「ここは世界の最新情報が集まる場所。まさに聖地。日本のオカリナ界の発展は宍粟のおかげだ」と絶賛した。
   ◇
 周辺を探るうちに実行委の事務局を担う楽器店「テレマン楽器」(同市山崎町)に行き着いた。専門誌で「日本一の品ぞろえ」と評価される名店だ。
 同店相談役(71)らは、オカリナが楽器として今ほど注目されていなかった十数年前から全国の作家を発掘し、商品を取り扱ってきた。専用の楽譜や練習グッズも開発。同フェスに各地から作家が参加するのも、同店の人脈があるからだという。
 祭典の来場者が「運営が素晴らしい」と口をそろえるのも特徴だ。会場の案内係は地元の愛好家で、出演者らへの心配りが行き届いている。同会館も運営に全面協力。販売ブースでそのまま試奏でき、出演者が会場周辺の屋外で練習できる開放感も人気の理由だという。
 福岡県で「博多オカリナフェスティバル」を開く男性(40)は「宍粟のような祭典が目標で勉強に来るが、こうはいかない。イベントとしては全国一、二のレベルだ」。
 森の国オカリナフェスティバルは来年も4月ごろ開催の予定。宍粟では紅葉の名所で演奏会を開くなど「オカリナによる町おこし」も始まっている。

(2018年4月14日付朝刊より)

アクセスがすごく便利という場所ではありませんが、全国から人が奏者やファンらが集います。
記事中の楽器店など地元の人々が育て上げた「聖地」と言えるでしょう。

高校野球の場合、甲子園だけでなく、もう一つの聖地が兵庫にはあります。

丹波市「女子野球タウン」認定
全日本連盟と市が連携
合宿や教室など誘致へ

 女子野球を通じて地域を盛り上げようと「女子野球タウン」に、丹波市が認定された。全日本女子野球連盟(東京都)の事業で、全国で12市目、県内では2021年の淡路市に次ぐ2番目の認定。丹波市と同連盟が連携して、女子野球の普及や地域活性に力を注ぐ。
 「女子野球タウン」事業は、20年9月に始まり、全日本選手権を開催する愛媛県松山市や、全国高等学校女子硬式野球選抜大会を開催する埼玉県加須市などが認定を受けている。
 丹波市は、00年のスポーツピアいちじま(同市市島町中竹田)のオープン時から女子高校野球の全国大会を開き、「女子高校野球の聖地」といわれる。
 認定期間は5年間。今後、女子日本代表などを招いた小中学生向けの野球教室や交流イベント▽女子プロなどの合宿誘致▽女子野球タウンロゴを使用したタイアップ商品の販売▽女子日本代表による市のPR動画配信―などに取り組む。
 丹波市役所第2庁舎(同市氷上町常楽)で21日に調印式があり、丹波ベリーエースの選手8人を含む約25人が参加。同連盟の代表理事(50)は「女子野球の今があるのは、丹波市の皆さんが盛り上げてくれたから。どんな取り組みができるのか、今後が楽しみ」と話した。

(2022年7月29日付朝刊より)

女子高校野球の決勝は2年続けて甲子園球場で開催されました。男女にとって「聖地」になっています。

高速神戸駅から新開地駅に向かって地下街を歩けば、軽快なピンポン球の音が聞こえてきます。
「卓球の聖地」と呼ばれる場所です。

高速神戸―新開地間の地下街「メトロこうべ」
〝卓球の聖地〟お色直し完了
床に弾力性、壁は青くさわやかに
マスコットの石像も登場 活性化に期待

 神戸高速鉄道高速神戸―新開地駅間の地下街「メトロこうべ」にあるメトロ卓球場(神戸市中央区中町通4)が31日、初の大規模改修を終え、リニューアルオープンした。地下街が9月1日に開業50年を迎えるのに合わせた改装。卓球場の新マスコットキャラクターもお披露目され、地下街の商店主らは「活性化の起爆剤に」と期待している。
 卓球場は47年前に開業。13台の卓球台が地下街の通路に沿って並び、ピンポン球が弾む音が通路に響くなど「地下の卓球場」として親しまれてきた。
 明るいイメージにしようと、壁は青を基調にしたさわやかな色目に仕上げた。弾力のある床材を敷き、卓球をする人の膝への負担を減らす工夫も凝らした。改装に伴い、利用料金は50~100円値上げした。
 リニューアルのお披露目式では、新マスコットの除幕式も行われた。卓球愛好家を見守る「ピンポン地蔵」で、愛称は「ピンきゅうさん」。右手に持つラケットを触ると、卓球が上達する「ご利益」があるという。
 デザインを手掛けた宝塚市のシンガー・ソングライターは「愛らしい表情にこだわった」と話す。ピン休さんの石像が卓球場入り口に設置され、優しいまなざしで来場者を出迎えている。
 仕事の休憩時間を利用して、卓球を楽しんだ神戸市東灘区の女性会社員(26)は「メトロ卓球場に来たのは高校生のころ以来。昔は暗い感じがしたけど、明るくなり、膝にも優しい床になった」と話した。

(2018年9月1日付朝刊より)

特定のブランドの靴ばかりそろえた店があります。
海外からもファンが立ち寄るそうです。

人気靴店 モトコー再整備進み移転
コンバース聖地 新店舗
3番街→4番街 65メートル西へ
広さは3倍に

 神戸市中央区・元町高架通商店街(通称・モトコー)で長年営業する人気靴店で、「コンバース」を数多くそろえ〝聖地〟とされる「柿本商店」が移転し、今月再オープンした。ただ、移転とは言ってもモトコー3番街から同4番街へと65メートル西に移動しただけでファンも一安心。売り場が広くなり、倉庫に眠っていた〝レアもの〟も並ぶなど話題を呼んでいる。
 開店当初から、当時人気を博したコンバースのみを扱うようになったという。天井近くまで靴がうずたかく積まれ、店内はすれ違うのもやっとという圧倒的な品ぞろえだ。
 三宮や元町の繁華街から少し離れた立地にもかかわらず、地元の若者だけでなく県内外、海外からコンバースファンが集まった。
 今回の移転はモトコー再整備が3番街にまで進んできたためで、3月21日をもって長年親しんだ店を閉じた。4月1日から4番街北角の新店舗をオープン。旧店の約3倍の広さで5千~6千足が並ぶ。通路も広がり、試し履きスペースも3席から10席になった。「ゆったり買い物を楽しめるし、大荷物の旅行客にも十分対応できる」と店主。
 店主によると、以前は店が狭かったことから出せなかったレアものや限定品も店頭に。シルクを編み込んだり革を使ったり「あまり見られない珍しいコンバースがあるよ」。
 4番街の新しい店を訪れた人(26)=兵庫区=は「昔の雰囲気も好きやったけど、ここは見やすくていい。レアものを頑張って探してみます」と笑顔で買い物を楽しんだ。

(2018年4月22日付朝刊より)

珍しい競技の聖地も見つかりました。
その場所は、なぜかお寺です。

北欧フィンランド発祥 川西で愛好者集う
モルック〝聖地〟 老若男女が交流
満願寺で全国大会 道具無料レンタルも


 北欧フィンランド発祥のスポーツ「モルック」が、川西市を拠点に全国に広まっている。愛好者の普及団体「ゆるモルック協会」の本部が市内にあり、活動を後押しする住民らの動きも。5月30日には〝聖地〟とされる満願寺(満願寺町)で全国大会が開かれる予定だ。
 競技は長さ22・5センチの木製棒「モルック棒」を手で投げ、12本の数字が書かれた木製の「スキットル」を倒す。先に得点が50点ちょうどになった方が勝ちになり、投げることができれば誰でも楽しめる。
 昨年4月に愛好者らが協会を設立すると、すでに全国に45支部ができ、会員数は現在約2200人と増加傾向にある。代表(川西市)=は「老若男女が一緒に楽しめ、世代間の交流も生まれる」と魅力を語る。
 5月末に全国大会が開かれる満願寺は、金太郎伝説のモデルとされる坂田金時の墓があることで知られる。墓の前で金時を紹介する紙を貼ったヒノキ材の形がスキットルに似ていることに加え、「お参りしたらモルックが上手になった」との投稿がSNS上で広まったことなどから、愛好家の間で「モルックの聖地」との呼び名が広まった。
 昨夏に北海道であった全国大会で個人戦3位となった神戸市在住の男性(33)は、同寺をホームグラウンドにしている。「聖地で練習を重ねた成果を見せたい」と鼻息は荒い。
 川西市内では、阪急川西能勢口駅近くにある「川西市中心市街地活性化協議会」の事務局で道具を無料でレンタルしている。また、市内の飲食店や銭湯など18店舗は、モルック棒を持参すると割引サービスが得られる「モル割」を展開。まちおこしにも一役買っているようだ。

(2021年4月15日付朝刊より)

<播州人3号>
1997年入社。福崎町出身の民俗学者、柳田国男の生家が町内に残されています。柳田の著作にも登場する小さな木造家屋ですが、実際に訪れ、柳田とその兄弟がここで暮らしたのかと思うと、柱や天井も違ってみえました。生家に限らず、ゆかりの地を訪れる「聖地巡礼」の話題を紙面でも見かけますが、それぞれの場所でファンらが感動しているのでしょう。

#聖地 #聖地巡礼 #高校野球 #甲子園 #メトロ神戸 #卓球 #コンバース #モトコー #モルック