バスケ目的で農業高校に入学した私が半年で国立大学に合格するまで(後編)
6.部活引退
「君なら進学校の生徒のように国立大学へ入れるのでは?」
先生の顔は真剣でしたが、冗談かと思いました。
農業高校生が進学校と同じ受験に挑むなど無謀です。
しかし、「君ならできるのでは」という言葉には不思議な力がありました。
「今の自分にしかできないチャンスだ」と、情熱が湧いてきたのです。
気がかりだったのは部活でした。
同級生は冬の全国大会を目指し、鬼気迫るものがありました。
「仲間を置いて去りたくない。そもそもバスケ目的で入学したのに…」
胸が締め付けられましたが、どう考えても勉強時間が足りません。
「これからは勉強に専念します。本当に申し訳ありません。」
そう言ってバスケ部員の前で頭を下げ、引退しました。
7.赤本の衝撃
バスケ部へ別れを告げた後、真っ先に本屋へ。
「これが赤本か…内容が全く理解できない。」
重い赤本と不安を抱えて本屋を後にしました。
帰宅後、集中すれば少しは解けると思ったのですが、歯が立ちませんでした。
「これは高校生が解く問題なのか?」
勉強に苦手意識は無かったはず…どこでこんな差が?
8.農業高校の特殊性
農業高校のカリキュラムは特殊です。
普通科目の授業数は進学校の半分以下、他は実習に費やしていました。
個人の見解ですが、「専門性に富んだ人財育成」が農業高校の主な存在意義で、普通科目での受験など畑違いです。
しかし、部活まで引退したのに諦めたくない…
「絶対に逃げない。」
そう言い聞かせました。
9.確信からの計画
当初、確信したことが2つあります。
【1】独自の勉強法を確立する。(ゴールは進学校と同じだが、同じ行き方ではたどり着けない。)
【2】膨大な勉強時間を確保する。(遅れを取り戻すためには絶対的な時間が必要)
私は①~③の計画を立てました。
①過去問で試験の正体を「分析」する。(7月)
②初歩的な参考書で基礎を習得し、徐々に難易度を上げる。(8~10月)
③問題集を解き進める。参考書は辞書のように活用する。(11月~)
特に苦労したのは②です。
参考書の大半が初めて目にする内容で、「自分は本当に高校3年生なのか?」と疑いました。
10.時間との戦い
時間に関しては、部活の時間を勉強に置き換える(平日5時間、休日8時間)ことを厳守しました。
それでも足りず、睡眠を削ることにしました。
気付けば睡眠は1日3時間に…
異変が起きたのは夏休みのこと。
「いつもより早く目が覚めた。天井は見えるが、体が動かない…」
これが「金縛り」だと知ったのは高校卒業後。
当時は気にも留めずに勉強していました。
帰宅後はすぐ机に向かい、外が明るくなってきたら少し眠って登校する。
これが1月まで続きました。
11.試験当日~合格発表
迎えたセンター試験当日。
混雑する会場を自転車で駆け抜け、試験室に入ると不思議な感覚に陥りました。
「しくじる気がしない…絶対できる!」
現代スポーツで使われる、「ゾーンに入った」という表現が近いかもしれません。
手ごたえを感じながら、センター試験を終えました。
2次試験も終わり、あとは結果を待つのみ。
そして合格発表…
掲示板には自分の受験番号が。
真っ先に先生へ報告に行きました。
12.最後に
長々と綴ってきましたが、大した結果を残したわけではありません。
「早く勉強に専念すればよかっただけの話」と思う方も多いと思います。
ただ、その時々で「これがベスト」と判断した道を進めたことは良かったと思います。
また、「自分を信じてくれる人」の存在は絶大です。
当時の先生がこの文章を読めば、間違いなく私のことだとわかってくれるでしょう。
「いつか読んでもらえないかな」とひそかに期待しつつ、この辺りで終わりにします。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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