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世界遺産って何?①~基礎から学ぶ~

「世界遺産」と聞くと、何をイメージするでしょうか。
姫路城や、屋久島、万里の長城など歴史的建造物や特異な自然などが
思い浮かぶでしょうか。
富士山が世界遺産に登録されたことがニュースになっていたのも記憶に新しいかと思います(7年も前のことですが)。

この記事では、世界遺産検定1級の勉強のアウトプットとして、私が学んだ内容を共有していきます。

今回は、「世界遺産ってそもそも何?」というところから、
世界遺産の基礎について学んでいきます。

この記事で学べること

・世界遺産とはそもそも何なのか
・なぜ世界遺産が生まれたのか
・世界遺産にはどんな種類があるのか
・世界遺産に選ばれる基準とは

世界遺産とは何か

世界遺産とはそもそも何か。
一言で言うと、世界遺産とは、「人類共通の財産」です。

具体的には、世界遺産委員会が有する「世界遺産リスト」に記載されている「顕著な普遍的価値」を持つ自然や遺跡、記念的建造物のことを指します。

「顕著な普遍的価値」とは、国や文化、人種、性別の枠組みを超えた人類全体にとって、現在も将来にわたっても共通の重要性を持つような傑出した文化的、自然的価値のことです。

1972年の第17回ユネスコ総会で、「世界遺産条約」が採択されたことにより、世界遺産が誕生しました(なお、この時の議長は日本人の荻原徹氏が務めました)。

1978年に最初の世界遺産が12件登録されてから、2020年現在、1100件を超える世界遺産が登録されています。

自国の遺産を世界遺産として登録するには、まずは世界遺産条約を批准する必要があります。
日本では、独自の文化遺産の保護体制があったことや、国内法の整備、分担金の支払い方法などを決定するのに時間がかかり、1992年に同条約を批准、翌年に日本で最初の世界遺産が登録されました。

世界遺産が生まれた背景

「世界遺産」という概念が生まれたきっかけは、1960年代エジプトで起きたある出来事にあります。
当時エジプトの大統領だったナセルは、ナイル川の氾濫を防ぐため、「アスワン・ハイ・ダム」の建設を計画しました。

しかし、このアスワン・ハイ・ダムの建設により、古代エジプトの遺跡群が水没する危機に瀕しました。
当初は遺跡は水没させてしまう計画だったのですが、国際的な批判が強かったため、エジプト、スーダンの両政府はユネスコに支援を要請しました。
それを受け、ユネスコは「ヌビア遺跡救済キャンペーン」を発足し、世界の国々に遺産の保護と移築を訴えました。

これに多くの国々が名乗りを上げ、遺跡は無事ダムの影響を受けない高台へと移築されました。遺跡の移築には、遺跡を1000以上のブロックに切り分け、4年をかけて現在の場所へ移すという方法がとられました。

この世界を上げて取り組まれた救済キャンペーンを経て、世界的に価値のある遺跡はその国のものだけでなく、人類共通の遺産として保護していく必要性が認識され、上述の世界遺産条約の採択に至ったのです。

世界遺産にはどんな種類があるのか

世界遺産には、次の種類があります。

1. 文化遺産

文化遺産とは、人類の歴史が生み出した、記念物や建造物郡などを指します。

2. 自然遺産

自然遺産とは、地球の生成や動植物の進化を表す、地形や景観、生態系などを指します。

3. 複合遺産

複合遺産とは、文化遺産と自然遺産の両方を価値を兼ね備えている遺産を指します。

4. 危機遺産

危機遺産とは、「危機にさらされている世界遺産リスト(危機遺産リスト)」に登録されている遺産を指します。重大かつ明確な危機にさらされている世界遺産の中で、人間の関与により修復が可能なものや、保全のために大規模な作業が必要なこと、また、世界遺産条約に基づく援助が必要だと判断された場合は、世界遺産委員会はその遺産を危機遺産リストに記載ができます。

また、顕著な普遍的価値が損なわれたと判断された遺産は世界遺産リストから抹消される場合もあります。過去には、オマーンの「アラビアオリックスの保護地区」や、ドイツの「ドレスデン・エルベ渓谷」が、上記の理由で登録を抹消されました。

5. 負の遺産

負の遺産とは、人種差別や近現代の戦争など、人類が犯した過ちを教訓とするための遺産です。私たちがイメージしやすいものは、原爆ドームですね。

以上5種類をご紹介しましたが、世界遺産はどういった基準で文化遺産や自然遺産などに分類されるのでしょうか。次の章では世界遺産として認められるための基準について学んでいきます。

世界遺産に登録されるための基準

世界遺産の登録基準は、全部で10項目あります。世界遺産として登録されるには、最低1つの登録基準を満たす必要があります。この登録基準は、顕著な普遍的価値の評価するための基準となっています。そのため、登録基準を満たしているということは顕著な普遍的価値があると認められることであり、それゆえ世界遺産に登録される資格を持っているということなのです。

登録基準のうち(i)~(vi)は文化遺産に関する基準、(vii)~(x)は自然遺産に関する基準となります。つまり、(i)~(x)のうち、どの基準が満たされているかによって文化遺産か自然遺産、または複合遺産になるかが分かれます。
※複合遺産は(i)~(vi)のいずれかと、(vii)~(x)のいずれかを同時に満たしています。

以下が、世界遺産の登録基準です。

(i)人類の創造的資質を表す遺産
(ii)文化の価値観の相互交流を示す遺産
(iii)文化的伝統や文明の存在に関する証拠を示す遺産
(iv)建築様式や建築技術、科学技術の代表的な発展段階を示す遺産
(v)独自の伝統集落や人間と環境の交流を示す遺産
(vi)人類の歴史上の出来事や伝統、宗教、芸術などと結びつく遺産*
(vii)ひときわ優れた自然美を持つ遺産
(viii)地球の歴史の主要段階を示す遺産
(ix)動植物の進化や独自の生態系を示す遺産
(x)絶滅危惧種の生息地域を含む、生物多様性を示す遺産
*この基準は他の基準と同時に用いられるのが望ましいとされています。

おわりに

今回は世界遺産について基礎の部分を学んでいきました。次回は世界遺産の運営方法や登録までの流れなど、もう一歩突っ込んで世界遺産を深掘りしていきます。

世界遺産検定1級の配点は、基礎知識25%、日本の遺産20%、世界の文化・自然遺産45%、その他(時事問題など)10%となっています。合格ラインは70%。

基礎知識はテキストの上巻数十ページのボリュームながらなかなかの配点なので、落とせない部分です。また、上巻では日本の遺産全てと、アジア、オセアニア、アフリカの遺産をカバーしているため、上巻だけで7割取れるんじゃないかと思っています(それだと下巻を出す意味がないので多分そんなことはない)。

世界遺産の知識は、検定を受験されない方にとっても教養になり、旅行に行った際遺産の価値を余すことなく楽しめると思うので、知っていて損はないと思います。

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