見出し画像

相手に伝わる資料にするために必要な具体⇔抽象のコツ

今回は、前回の続きで、具体と抽象のお話をまとめていきたいと思います。


小学生も学んでいる!?具体と抽象

最初に、ビジネスとは少し離れますが、私の子供は小学3年生です。実は、小学校のお受験をかるく経験した流れで、そのままその先生に国語の指導をお願いしているのですが、お受験が終わった5歳(年長)のときに真っ先に先生が取り組み始めたのは、【具体と抽象】でした。

「え、子供が具体と抽象を学ぶの?」

と思われた方も多いかもしれません。私も、「えらい難しい概念を教えるんだなー」と思った記憶があります。

具体と抽象って何だっけ?

【具体と抽象】というと、ビジネス界隈でもよく聞かれると思いますが、言葉の意味としてはこうです。

1|具体とは?

「具体」とは、❝ 物事が、直接に知覚され認識されうる形や内容を備えていること。❞

デジタル大辞泉

例えば「りんご」と言ったら、たいていの人はそのりんごの像が頭に浮かびますよね。「具体的」といった言葉をよく使いますが、簡単に言うと誰もが共通して同じものを思い浮かべられるまで落とし込むこと。形や実体があるものが前提です。「りんご」をもっと具体化すると、赤りんごとか青りんごとか。さらにイメージしやすいですよね。

2|抽象とは?

「抽象」とは、❝ 事物または表象からある要素・側面・性質をぬきだして把握すること。❞

デジタル大辞泉

対して、「抽象的」というのははっきりとしない実体のないものです。共通する要素を抽出すること。つまり簡単に言うと、「りんご」を抽象化すると「果物」になる、といった具合です。

「果物」という言葉から思い浮かべるものは何でしょう?「りんご」の人もいるかもしれませんが、それだけでなく「桃」「バナナ」「ぶどう」のようにあてはまるものは多様なので、全員が同じものを思い浮かべることはないですよね。

「りんご」「桃」「バナナ」「ぶどう」に共通する要素を抽出すること、それが抽象化された「果物」という言葉なのです。

3|具体と抽象の行き来を練習する

国語において、【具体と抽象】はとても重要で、「要するに」「つまり」が抽象化させるための接続詞。そして、「例えば」「どういうことかというと」は、具体的な内容を説明するための接続詞となり、文章を読むとき、書くときの要になります。

子供が5~6歳のときにやっていた初歩的な練習文はこんなレベルです。

具体→抽象
「私は、りんご、桃、バナナ、ぶどうが好きです。つまり、果物が好きです。」

抽象→具体
「私は、お母さんの料理が好きです。例えば、ハンバーグ、オムライスなどが好きです。」

果物、野菜、乗り物、文房具などなど、それぞれをテーマに様々な言葉を書き出す遊びもしました。そして、小学3年生の今は、こんなレベルの文章に進んでいます。

具体→抽象
コンサートで歌ったり、可愛い衣装で踊ったり、テレビの音楽番組に出ることが私の夢です。つまり、私はアイドル歌手になりたいのです。

抽象→具体
私は先生に、夏休みは規則正しい生活を送るように言われました。早起きををする、夜も早く寝る、食事を3食きちんと食べることを約束しました。

私の頭の中では、抽象化すると言葉がまとまったり、具体化するとばらけたり、そんな感覚です。みなさんはどうですか?

具体⇔抽象で資料の構成を考える

さて、前置きが長くなりましたが、資料作成でも、この具体と抽象の行き来で、紙面の構成を考えることが良くあります。例えばこんな感じ。

抽象→具体の例|体に優しい飲料ができました!新発売です!

これでは抽象的すぎて、まったく頭で映像化できないため、具体的にしていきます。

▶ポイント①
体に優しい→どう優しいのかを詳しく説明する
・材料が有機である
・添加物が入っていない
・栄養の吸収率が良い
・胃に負担がかからない
など、何をもって「体に優しい」とうたうのか、エビデンスも含めた詳細な特徴をまとめるとよいでしょう。

ポイント②
飲料→ジュースなのか、お酒なのか、もう少し具体化させないと分からない

ポイント③
新発売→いったいいつ発売するのか、具体的な日にちと販売場所など詳細を記載する

このように、抽象→具体を使って、どの情報を相手に提供すれば分かりやすく伝えられるかを考えていけば、何を書けばいいか迷うことが少なくなります。もし、最終的に、下の写真のような像を頭に思い浮かべることができたなら、具体的になった!ということですね。

反対に、具体的すぎる事柄から抽象化することで、紙面が分かりやすくなるときもあります。

具体→抽象の例|雑貨店リニューアルの提案

【Before】
以下の内容で、リニューアルを計画しています。
①新しい目玉商品として、オリジナルで〇〇を作ります。
②全体の商品点数を2倍にします。
③店内の内装をログハウス風にします。
④スタッフの制服に、名札を付けます。
⑤店内の照明をLEDに変更して明るくします。
⑥通路を広くして通りやすくします。
⑦外国語が話せるスタッフを常駐させます。
⑧要望の多かった子供向けのグッズも増やします。
⑨目線に合うような、高さのある商品棚に変えます。

内容は仮なのでさておき…、言いたいことを思いつくままに羅列したページを作り、満足して終わってしまう方もいるかもしれません。が、さらにこれを抽象化する(共通する要素を抽出してまとめる)と、こんな感じで情報を整理できます。

【After】
1.商品
お客様からの要望に応えて、家族で楽しめる商品を陳列します。

①新しい目玉商品として、オリジナルで〇〇を作ります。(※①)
②全体の商品点数を2倍にします。(※②)
③要望の多かった子供向けのグッズも増やします。(※⑧)

2.施工
買い物を楽しみやすい内装を目指します。

①店内の内装をログハウス風にします。(※③)
②店内の照明をLEDに変更して明るくします。(※⑤)
③通路を広くして通りやすくします。(※⑥)
④目線に合うような、高さのある商品棚に変えます。(※⑨)

3.スタッフ
お客様が話しかけやすい環境を作ります。

①スタッフの制服に、名札を付けます。(※④)
②外国語が話せるスタッフを常駐させます。(※⑦)

前回の記事、グルーピングする、と言っていた内容と重なります。

資料作りが得意な方々は、ここまで整理して、初めてこの3つの項目を見栄えよく、言葉も整えながらデザインしていくわけですね。まだ慣れない方は、Beforeの状態で、「かっこよくデザインしなきゃ!」と焦るより前に、情報を整えることが第一歩です。

整理すれば、資料では箇条書きにするだけでも全然OK!内容が頭にスッと入って来る、そんな状態を一緒に目指したいですね。

では、また次回。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?