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「使い捨て社会」の終焉

欧州でサーキュラーエコノミーを加速させるための新行動計画「循環型経済行動計画(Circular Economy Action Plan)」が発表されましたが、その中で特に注目すべきは「修理する権利(Right to Repair (RtR))」が強化されることです。
欧州で販売される製品については、長期間の使用・再利用・修理・リサイクルが容易な製品設計が義務付けられる予定であり、製品の使用者(あえて私は「消費者」とは言わない)側がその製品を修理等するのに必要な情報へのアクセスを確保し、極力製品を長く使用できる環境を整えるということです。

以前にnoteで書いた、小説『エコトピア・レポート』のエコトピア国の世界がまさにこれを完全な形で実現した世界です。

現在、新製品のパイロット・モデルは、まず十人の普通人(当地では、礼儀正しい会話の中では〈消費者〉という言葉は使われない)からなる一般グループに提供されねばならないことが法律で定められている。そこで、故障が普通の用具で修理可能と立証されれば、製造が許可されるわけだ。
ビデオやその他のエレクトロニクス製品には例外が設けられている。これらはひとつの製品が、テスト装置とともに各部品常時ストックしておかねばならない。そうすればユーザーは欠陥部品だけを切りはなして交換することができるわけだ。それにエレクトロニクス部品の多くはきわめて小型化されているので、使いものにならなくなれば簡単にリサイクルが行なわれるのであろう。

エコトピア国においてこれは当然の権利となっており、通常の工具で修理できないような商品は世に出回らないようです。
また、ユーザーが自ら修理を行うことを容易にするために、部品は常時ストックしておかなければならないそうです。
「修理する権利」の運動は2001年頃にアメリカで始まったものですから、50年前の小説でそのような世界が描かれているとは、その先見性(むしろ現実が遅すぎるのか?)に改めて驚きます。

「使い捨て社会」から「循環型社会」へ、今まさに時代の過渡期を迎えています。
日本にもかつては江戸時代という究極の循環型社会とも言うべき時代がありました。
江戸時代の循環型社会はそもそもモノが無かったからやむを得ずそのような社会になったと言いますが、今の時代も状況はまったく同じです。
ただ違うのは、現代はすぐ目の前にはモノが溢れていますが、未来には無いという点です。
要するに、先食いです。
日本もいち早く動くべきであり、むしろこの分野でイニシアチブを取っていくくらいのつもりで加速させて行かなければなりません。
そのために、まずは私たち国民から声を上げていくことが肝要です。

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