「今後の食品リサイクル制度のあり方について(報告書)」に対するパブコメを見て

昨日、「恵方巻大量廃棄問題」についてnoteに投稿致しました。

食品ロスについてこれを書きながら色々と考えさせられていたところ、環境省より「今後の食品リサイクル制度のあり方について(報告書)の公表及び意見の募集(パブリックコメント)の結果について」という報道発表がありました。

タイムリーだったこともあり、どのような意見があったのか興味があったので中身を確認してみました。
いくつか個人的に気になった意見を紹介したいと思います。
(※「今後の食品リサイクル制度のあり方について(案)」自体も上記報道発表から確認できますので、ご興味があれば見てみて下さい。)

1.全般に関する意見

軽微な異物混入等の場合に製造者が回収・廃棄するよ りも、消費者が自己責任の上で安く購入できるよう、「損害可能性承知購入制度」を導入すべき。

制度自体は課題も多く、検討の要ありだと思いますが、確かにちょっとした異物の混入発覚によって、混入のなかった商品も含めて全量自主回収というのは、常軌を逸していると思います。
食品ロス問題を解決するためには、やはり何らかの対策が必要と考えます。

食品の包装紙容器に外観上のわずかのズレがあっても不良として扱われ、内容物を充填したまま、返品され、焼却処分を命じられます。各工程に 1000 万円以上かかる欠点検知器や、目視検査員を動員して流出防止をはかっていますが、極く小さな欠点でも食品メーカーの工場で発見されれば全数アウトとされる事がたびたびで す。日本の生産性を大きく下げているものの一つに過剰品質要求と過剰な弁償要求があります。食品業界の行き過ぎを正して頂ければ幸甚に存じます。
加工食品の場合、包装に軽微な不良(中身の安全安心には全く影響のないもの)があると、包装されたまま加工食品が廃棄される実態がある。そこにもメスを入れるべきではないか。

食品業界に詳しい訳ではないので、これが本当かどうかの確認は取っておりませんが、さもありなん、といったところでしょうか。
これも確かであれば、やはり常軌を逸しています。
過剰品質要求がなくなるような社会にしていきたいものです。

2.「 食品廃棄物等の発生抑制・再生利用等の現状と課題」に関する御意見

再生利用に関しては取組が進んできているが、発生抑制に関する取組は仕組みとして不充分。

表題が「食品リサイクル制度のあり方について(案)」なので、再生利用の方に重きが向いてしまうことは致し方ない部分があるかと思いますが、確かに根本的な解決のためには、いかに発生を抑制するかが重要になってきます。
なお、本レポートで発生抑制については「最も優先されるべき手法」との記載がありますので、より具体的な取組、仕組みが必要とされることは間違いないでしょう。

3.「食品廃棄物等の発生抑制・再生利用等を推進するための具体的施策」に関する御意見

P10の10から14行目の賞味期限表示について年月日から年月表示への切り替えは食品ロス削減効果が大きく出るものと思われます。早急に実施すべき重要施策と考えますので、もう少し強く強調して記述してください。 尚、消費期限表示には触れられていませんが、これについても 1/3 ルールの改善を待つだけではなく、具体策を盛り込んでください。(本来は消費者が自分で鮮度を判断できる教育が必要で、消費期限表示が食品ロスを増加させたと思います。)

この辺りは食品業界の商慣習の見直しに関する記述です。
私、こういった問題に関心があるにも関わらず、恥ずかしながら「3分の1ルール」というものを知らなかったので、調べてみたところ、

食品流通業界の商慣習で、食品の製造日から賞味期限までを3分割し、「納入期限は、製造日から3分の1の時点まで」「販売期限は、賞味期限の3分の2の時点まで」を限度とするもの。例えば賞味期限が6カ月である場合、2カ月以内の納品、4カ月以内の販売が暗黙の了解として求められる。この「納品期限」「販売期限」を過ぎた商品の多くは賞味期限前に廃棄されるため、菓子メーカーなどの団体は「期限に合理的根拠はなく、食品や資源のムダにつながる」と主張。12年9月、メーカーや卸、小売りの主要企業約40社が経済産業省の主導で発足させた「製・配・販連携協議会」は、このルールを緩和する方針を打ち出し、13年度をめどに具体策をまとめる予定。

とのことでした。
既にこの見直しの取組は各所で始まっているみたいですので、その効果を期待したいところです。

他にも興味深い意見がたくさんありました!
形式的とも揶揄されるパブリックコメント制度ではありますが、行政に対し自分たちの意見を届けることのできる重要な機会でもあります。
私も専門分野については何度も意見を届けております。
自身が課題としている分野の政策に対し、このような機会を使ってみてはいかがでしょうか?

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