マガジンのカバー画像

with foods 誰かと、 ときにはひとりで。

60
思い出の中には食べ物がある。 そんないくつかの文章を書き散らかしています。
運営しているクリエイター

2014年10月の記事一覧

おやつ棚・おやつ箱

仕事をしている午後。
なにがきっかけになったかはわからないけれど、
急に記憶の扉が開いた。
思い出したのは「おやつ棚」のこと。

我が家は日当たりのよい、
庭に面したところにリビングルームがあり、
その奥にダイニングルームがあった。
さらにその奥がキッチンへと続いているのだが、
天井まである造り付けの棚が、
ダイニングルームとキッチンの仕切りになっていた。

この造り付けの棚は、ダイニングルーム側

もっとみる
フェリーでうどんを食べる

フェリーでうどんを食べる

瀬戸内海の風景と空気が好きで、
高松を中心に、ここ数年、何回か通っている。

高松に行くと必ず船に乗る。最低でも往復1回。
直島や豊島、男木島、小豆島といった周辺の島々や、岡山の宇野などへ。

もともと船に乗るのが好きなので、高松の港から船に乗り、
ぽこぽことした島影を見ながらの船旅は、楽しいひとときだ。
瀬戸内海は波も穏やかで、そんなに揺れることもないので、
どんな船でも船酔いをしたことはないの

もっとみる
Medamayaki考

Medamayaki考

世の中のひとの数だけ、 自分なりのこだわりというか、
これじゃなきゃという「目玉焼き」や「ゆで卵」があるように思う。
(卵嫌いのひとを除く)

とくに目玉焼き。

焼き加減は半熟なのか、しっかり焼くのか、両面焼きにするのか、
水を入れて蒸し焼きにするのか…。
あ、そもそも、目玉はひとつ目か、それとも二つ目か。
さらに何かを添えるとしたら、
ハムなのかベーコンなのか、
ウインナーなのか? 
そし

もっとみる

なんでもない日のワイン。

そのひとは年齢は2,3歳しか変わらないのに、
初めて会ったときから、とても大人っぽい女性だった。

よく手入れされた、ストレートの長く黒い髪。
ブランドのことはよくわらなかったけれど、着ているものや
持っているものも高級なんだろうなと思った。
彼女の耳には、耳たぶの曲線に沿ってピアスの穴がいくつも開いていて、
その穴には、全部ダイヤモンドが輝いていた。

そんな彼女が、ときどき食事に誘ってくれる。

もっとみる

夜の始まりの前に。

歩いている途中で急におなかが痛くなった。
いたたたたっ…。トイレに行きたい…。
コンビニとかあるかな? でも、そういうときに限って、
周囲には、なぜか焼肉屋とか居酒屋しかない。
おまけにまだ夕方の4時を回ったくらいで、
それらの店には準備中の札が下がっていた。
坂を下った十字路。左右に商店街が続いている。
右? 左? さてどっち?
どこかカフェなど、ないだろうか?
こっちだ。と思って右に折れ、ずん

もっとみる