ーー捨てるかどうか迷っているものは捨てずに取って置いて一年間で一度も使わなければそれは必要ない物なので捨てていいーー

テレビの中の断捨離専門家がいつかそのようなことを言っていた。僕の"怒り"の処理の仕方は割とこれに近い。次の日になれば怒りを忘れる事はない。でも一定の時間が過ぎればフッとどうでも良くなる。.....ことが多い。

当然、いつまで経っても捨てる事のできない"怒り"もいくつかあるわけで、今回はそのうちの一つを紹介する。

それは僕が高校生の頃の話だ。僕の通っていた学校の先生は比較的いい先生が多く、おかげさまで最高の学校生活を送らせてもらった。ただし変なヤツもいた。

その教師(以下ヤツと呼ぶ)は体育の教師だった。そして僕が怒り続けることになった事件はある日の体育の授業中に起きた。

その日の体育はバレーボールだった。ヤツの指示により、みんながアップしている間に毎回野球部がネットの準備をすることになっていた。ヤツはカバディ部(僕の通っていた学校にはカバディ部はないので実際は違う部活の事なのだがここではカバディを代入させていただく。ごめんなさい。カバディ連盟の方々。)の顧問なので野球部をこき使うのはおかしい!と思うだろうが、ヤツはカバディ以外を見下しているのだからカバディをやってない野球部は使ってもいいのだ。ヤツの中では。

ヤツは体育教官室から出てきてネットを準備している僕たちにいきなり「なぜお前らはアップしないんだーー!体育をナメているのか!」と怒鳴りつけた。(実際はもっと汚い口調で)僕たちはヤツが数日前に出した指示に従ってネットを準備していたのだが、ヤツは自分の過去の発言を覚えていないのだ。しかし、それぐらいじゃ僕たちは怒らない。『はじめてのおつかい』で子どもが頼まれたものと別のものを買ってきてもそれに対して怒鳴り散らかす親はいない。それと同じ。ヤツはカバディのことばかり考えているから他の事を覚えられないのだ。ボクはそれを「容量メモリが足りなくなる」と表現している♣︎

その日のやつはいつも以上に機嫌が悪く「お前らの評点から30点引く。どんなにいい成績をとっても70点。5は無いと思え。」といいながら閻魔帳に30個の×を人数分書いていた。普通に名前の欄に数字で「-30」とか書けばいいのにそこまで頭が働かないのだ。かわいそうに。

ここで少し話は変わるが僕の父は教員をしている。ヤツが前にいた学校は僕の父が勤務している学校と一緒だったので、ヤツは父のことを知っている。(父のために言っておくが当然父はヤツと親しくない。当たり前じゃないか。)

話を体育の時間の意味不明説教に戻す。ヤツは自慰行為のような説教オールフィクションをした後、僕に向かって

授業中お前がみんなの前で怒られたって、お前の親父が聞いたら泣いて喜ぶだろうな

と言った。それまで黙って怒られてあげていた僕もこれにはさすがにブチギレた。人造人間16号の頭をセルに踏み潰された時のように頭の後ろに赤い線が走った。こいつは生徒に説教する時に"生徒の親の職業"を持ち出すのだ。センスがなさすぎる。生徒の親の職業なんか関係あるかい。教師でも大統領でも海賊でも山賊でも、等しく怒れよ。そんなやつでも数十年間教壇に立ち続ける事ができたのが教育現場のバグだ。

カバディの事しか考えてないヤツだが、話によるとヤツはお気に入りの選手とそうじゃない選手をつくるらしい。お気に入りの選手に対しては競技用の靴を買い与えることもあったようだ。意味不明。ちなみにヤツは県内のカバディ連盟内で結構上役を担っていたらしい。"軽い神輿は担ぎやすい"とはまさにこのことだろう。

ちょっと前に、僕の母校とは違う学校に進学した高校生と話す機会があった。その生徒はずっとカバディをやっていて高校でも続けている。しかしその生徒は「指導者(ヤツ)が嫌」で違う学校に進学したのだという。ヤツは知らぬ間に強力なカバディ選手と を逃していたのだ。カバディの事しか考えていなかったヤツが最終的にはカバディ側にも嫌われているのだからこんなに滑稽な話はない。

ヤツはもう退職したらしいのでそのツラを見ることは二度とないと思っていたがカバディの指導者としてたまに学校に来ているらしく先日、不運にも見てしまった。もちろん会話なんかしてないのだがそのツラを見ただけで体調が絶不調になった。パワプロなら顔が紫だ。


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