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療育ってなんだろう?

放課後等デイサービスにはガイドラインというものがあります。
そこには、「放課後等デイサービスは単なる預かりではなく、療育の場」であると書かれています。

よく耳にする“療育”。
“療育”ってなんだろう?

ちょっと前から
早期発見早期療育
という言葉が聞かれるようになりした。
この言葉を耳にしたことのある方は少なくないのではないでしょうか。
障がいのある子、発達に心配のある子を小さいときに見つけ、
その子への支援を早くに始めること。
そこには、
本人のことを周りが理解し、本人が感じている生活のしづらさや辛さ、不安を少しでも軽減すること、
という意味があるのだと思っています。

放課後等デイサービスでも
“療育”や“ソーシャルスキルトレーニング(SST)”というプログラムを謳った事業所が見られます。
実際に、これらのプログラムを受けて生活のしやすさや心の安定などに繋がった子どもたちも多くいることと思います。

ただ、“療育”や“SST”というのは方法や手段の一つであって、“療育”や“SST”ありきの支援はちょっと違うのではないかと感じることがあります。
人はそれぞれ個性があり、異なった生き物です。
その一人一人の特性を見ずに、“療育”などと謳った既存のプログラムに当てはめることは、その人にとっての最適なものではないときもあるにではないでしょうか。
テーブルの上で行われる“SST”や完全に環境設定をされた中で行われる“療育”だけでは、その子自身がすべてを理解して生活がしやすくなったり、人とのやり取りが円滑にいったりするようにはならないこともあるにではないか。
最近は、そう感じることも多くなりました。

私たちが行っている放課後等デイサービスでは、見学にいらっしゃる方から
「療育はやっていますか?」
「SSTはやっていますか?」
という質問を受けることが少なくありません。

“療育”や“SST”という言葉に期待し、救いを求めている保護者が少なくないのかもしれません。
それらを受ければ、劇的に子どもが変わるような期待を持っているのかもしれません。

そんな時、私たちは
「専門家が行うような療育やSSTはありません。子どもたちは遊びの中で、人との関係を築いたり、コミュニケーションを取ったり、様々な経験をしたりしています。その時に、少し支援者がお手伝いをしたり、お友だちとの間に入ったりすることがあります。そうすることで、人との関係を築くことができたり、コミュニケーションが取れるようになったり、趣味が広がったり、できることが増えていったりしています。」
というような説明をしています。

きっと子どもたちはただ楽しく、遊びに来ている感覚だと思います。
家族から見ても、もしかしたら“ただ遊んでいるだけ”のように見えるかもしれません。
でもその中で、子どもたちは様々な力を自然と身につけて成長しています。
私たちは、子どもたちが成長する力を少しだけお手伝いしている感じでしょうか。

私たちのところに通うようになった子どもの保護者たちは、色々なことを仰ってくれます。
やり取りが成立するようになった
言葉が増えた
集中して遊べるようになった
他者へ優しく接するようになった
自分の気持ちを表現するようになった
お友だちと過ごすことを楽しむようになった
興味関心のあることが増えた
文字が読めるようになった …

これらのことは、子どもたち自身が持っている育つ力が一番大きいのですが、それ以外にも家族の力、教育の力も大きいと思います。
そこに私たちのちょっとした支援が加わって、色々な変化が見られるのだろうと思っています。
私たちの支援というのはおこがましいかもしれません。
子どもたち同士の関わりの中で経験したことが活かされているのだと思います。
これぞ、“生活の中での療育”なのかもしれません。
実際の経験や関わりに勝るものはありません。

“療育”や“SST”というプログラムに子どもたちを当てはめるのではなく、一人一人の特徴、個性、興味や関心などを見極めた上でその子にあった“療育”や“SST”が行えていくようになることが大切なのではないかと思っています。

この一人一人の見極めは、いわゆる“アセスメント”です。
“アセスメント”をどのように行っていくのかも重要なポイントになると思っています。
この“アセスメント”については、またの機会に書いてみたいと思います。

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