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19.趣味の話⑩ 読書(8)

はじめに

はい、こぼば野史です。

少し投稿の期間が空いてしまった。

前に空いた時は、アルバイトや大学のレポートが立て込んでいた、という半ば言い訳まがいの理由を述べたが、今回はそうではない。

単純に、完全に投稿を辞めていた。ネタがあるわけではないが、ないわけでもない。趣味の話は無数に続けらるので、そちらの話を投稿しても良かった。

はたまた、自己満足でやっている「西晋王朝」の投稿をやってもよかった。が、文章を書く気になれなかった。
というのも、大学のレポートを書こうとして、何故か手が止まったのだ。「文章が書けない」と何故か感じた。

個人的に考察するに、「これまではちゃんと書けていた(と思う)。しかし、このコロナ禍になって図書(や論文)を読むようになって、正確な口語文法で、読み手に着実に論旨などが伝わるように書くことを意識するようになってしまった。なので、自らの思考と思惑とが乖離してしまった」という結論に出た。

読書が趣味になった人間の良い弊害である。

今回はこの続き。

400字ちょっとの前置きはこの辺にして、読んだ図書の紹介である。

1 今回紹介する図書

今回読み終えた図書は似鳥鶏『きみのために青く光る』(KADOKAWA、2017年、初出『青藍病治療マニュアル』KADOKAWA、2015年)である。

所持している、読んだ、という保証で写真も撮っているが、スマホの調子がすこぶる悪いので、パソコンで打っているnoteに貼るのは却下。

所持している、読んだ、というのは信用してくれ。どうしても信用できないなら、この記事を読んでくれ。背表紙のみだが写真があるはずである。


2 似鳥鶏とは

現代の小説家、特に存命中の方を紹介するのはなぜか忍びない。なので、氏の公式ブログから引用する。

Author:似鳥 鶏
ミステリを書いております。
1981年千葉生まれ。千葉在住。
魚座A型分裂気質。
好物は本とアートと鳥肉。
弱点は悪筆、方向音痴他多数。

似鳥鶏公式ブログ「夢窓鶏舎」より引用(閲覧日:2021年8月13日)


3 『きみのために青く光る』とは

先ずは、KADOKAWAのホームページに載るあらすじから。表紙カバー裏のあらすじを附してもいいのだが、けっこうなネタバレになってしまうので割愛。

4人の男女が織り成す、切なくて愛おしい青春ファンタジック・ミステリ!
青藍病、それはそれぞれの心の不安に根ざして発症する異能だ。力を発動すると青く発光するという共通点以外、能力はバラバラ。思わぬ力を手に入れた男女4人は、危険な事件に巻き込まれることになるが……。

短編4章から成る。登場人物はバラバラ。唯一1人、一貫して登場する人物がいるが、時系列も飛んでいたりする(例えば、1章と4章では数年ほど年が経過しているらしい記述が見える)。

場所もバラバラである。


4.1 感想(ネタバレなし)

面白い作品だった。
氏の作品は本棚紹介でも述べている通り、『100億人のヨリコさん』(光文社、2017年、文庫版2019年)を読んで面白いと思ったぶりだったが、この作品も同じく面白い作品であった。

情景も正確に想像できる。何より、所々に脚注が施され、それが詳細であるものもあれば。氏の主観に頼っているものもあり、面白い。

と言いつつも、ジャンル的にはミステリー。推理はある。が、本格的なのか? と考えると、あまりそうは思えない。
まあ、私が本格ミステリーを読んだことがないから根拠は全くないが(「根拠が全くない」のは歴史を専攻する人間にはあってはならないが、ここはとりあえずご勘弁してくれ)。

文学を専攻し、塾講師のアルバイトで日ごろから国語を教えている人間としては、物語の緩急が上手で(小説家全員がそうであるだろうが)、文章構成の授業をするなら、持って来いの文章だな、と思いながら読んでいた。


4.2 感想(ネタバレあり)

これを読む、ということは、この図書を読んだことのある者か、はたまた全く読む気がなく、読んだつもりで終わらせたい輩か何か知らないが、後者ならあまり良い気はしない。

が、これを読んでいる人間は、おそらくほとんどが全くの赤の他人である。なので、これ以上何も言わない。

まあ、読むなら気軽に読んでいってくれ。スキなど頂くつもりはさらさらない。

個人的印象深かったのは、2章「この世界に2人だけ」という短編である。「殺意を見せるだけでその生き物を殺せる」という青藍病。現実にあったら既に世界は滅亡しているので、ストレートなフィクション。この青藍病を持った主人公の仲間(と言っても登場シーンはかなりゾッとするが)の少女、

白い肌に黒一色のワンピース。どこまでもまっすぐにすとんと伸びている長い髪。無表情な美しい顔……

似鳥鶏『きみのために青く光る』(前掲)72頁

というのは、想像するだけでも儚げな女性を彷彿とさせる。

個人的には、アニメ「〈物語〉シリーズ」の戦場ヶ原ひたぎや、女性アイドル、日向坂46の金村美玖さんを彷彿とさせる(ひたぎはアニメのキャラクターなので置いておいて、お寿司こと金村美玖はいつかのブログで黒一色のワンピースの写真を投稿していた記憶がある)。

しかもまあ、自分が少しでも不愉快だと思った人間を3秒ほどで殺せるというので、現代で言うならば「地雷系女子」なのだろうか。
シンガーソングライターのあいみょんに作詞をお願いしたら良い詞ができそうだ。

主人公も主人公で同じ青藍病を持っている(が、彼女のそれよりも能力が「弱い」らしく、大きい生き物――例えば人間――は十数秒念じなければならない)。

ここからも分かるように、彼女のそれは能力としては「強い」、通り越して「怖い」の部類に入るかもしれない。少しでも癪にさわったら殺される。まさしく「地雷」である。

氏は決してそのようなことはまったく言っていないが(というのも、2015年に「地雷系女子」なんていう言葉自体なかったと思う、いや思いたい)。

この地雷系女子と仲良くなり、夜に(文字通り)生死を賭けて戦いに挑む主人公は、文章構成も含め、格好良かった。

まあ、結果は静先生が来たおかげで7割勝利、みたいな形で幕を閉じたが。

この静先生こそ短編4章に共通して登場する唯一の人物、というのは、読んだ方ならわかるはず。見た目を各章で紹介してくれているが、静先生に対しては、何故か私は、高校の国語便覧に載っていたフランスの作家、フランソワーズ・サガンの写真が思い出された。ここでは写真は省略するけれども。

主人公も各章によって異なるので、一概に言えないが、広義の意味のボーイ・ミーツ・ガールがベースであった。
因みに、3章の主人公の姓が小林なのは正直驚いた。しかもストーリーが割とありがちなのがなおさら。
UNISON SQUARE GARDEN の楽曲「摂食ビジランテ」の歌詞「小林くん、番号教えてよ」と同等の驚き、かそれ以上かもしれない。

おわりに

「はじめに」を置いているので対照的にこの章を置くが、さして書くことがない。

毎回こんな感じであるが。

まあ、1冊の紹介にしては文量はある。まさか自分でもこんなに書くとは思わなかった。ただでさえ「書くことイップス」のようになっているのに。

次回は何になるかわからない。

因みに、次に読む図書も悩んでいる。

また似鳥鶏氏の図書を読むか、前回と同じく、古典文学を嗜むか(と言っても次は西洋文学なので、前回の紹介した図書とはまったく色彩は異なる)。

西晋王朝シリーズも書かなければならない。

まあ、今回はこのくらいで。

頓首頓首。

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