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「インスタ映え」は人々の何を変えたか?

こんにちは。THE GUILDのこばかなです。デザイナーとかをやっています。

先日「観察とは何か?デザインにどう活きるのか?」という記事で、観察とは「無意識を意識化すること(そして考察や想像すること)」であるという話をしました。今回はこれを踏まえて「インスタ映え」について考えてみます。


10秒でわかるこの記事の内容

今回は以下のツイートを詳しく説明したものになります。


「インスタ映え」とは何か?

とりあえず辞書で調べてみました。

「Instagram」に写真をアップロードして公開した際にひときわ映える、見栄えが良い、という意味で用いられる表現。インスタグラムを念頭において写真写りが良いと述べる言い方。(Weblio辞書)

つまり「インスタ映え」とはInstagramで見栄えする写真やモノのことです。普通の写真とは異なり、Instagramではライフスタイルを通じた自己表現が見栄えしやすいのが特徴です。具体的にはおしゃれ、かわいい、カラフル、絶品、絶景など、一度利用したことがある人なら傾向をイメージできると思います。

ここでのポイントは流行語大賞にも選ばれるほど「インスタ映え」という言葉の意味が浸透している点です。人々が言葉の意味を理解しているということは、どんなモノがInstagramで見栄えするのかも理解していると言えます。これはInstagram上で「インスタ映え」を学習をしてきたためです。

※ もちろん海外でも「インスタ映え」に近い概念は存在していて"instagrammable"などで調べるとそれっぽいのが出てきます。


人々は「インスタ映え」を学習してきた

Instagramの面白い点は、ほとんどのユーザーが同じ方向(=インスタ映え)を向いて利用していることです。これは偶然ではなく、設計によりある程度はコントロールされた事象だと思います。例えば以下のような点です。

お手本による誘導:登録直後に人気ユーザーをおすすめ表示してフォローさせ、お手本となる写真を見せる。
投稿フォーマットによる誘導:投稿の際に、正方形のトリミングを推奨したり、写真の加工機能を挟むことで、Instagramに投稿される写真の世界観が統一される。
タイムラインによる誘導:世界観が統一されたタイムラインなので、見ているだけでInstagramらしい写真を理解できる。
いいね機能による誘導:いいね数を可視化することで、どんな写真がいいねされやすいのか学習できる。

このようにInstagramは「インスタ映え」の世界観にユーザーをうまく誘導し、ユーザーの教育をしているアプリだと思います。


「インスタ映え」は人々のモノの見方を変えた

ユーザーは「インスタ映え」という新しい概念を学習したことで、観察の切り口を増やしました。概念を知る事で「インスタ映え」するものを探したり、発見できるようになったのです。こうしてユーザーは「インスタ映え」フィルターを通して世界を視始めるようになりました。みんなが同じフィルターを持っているため、オシャレなモノや場所に人が集まりやすくなっています。

「インスタ映えする壁」がいい例で、多くの人々が壁を見た時に「これはオシャレだ」と気が付くようになり、立ち止まって撮影するようにもなりました。

つまりInstagramの登場によって、これまで多くの人が見過ごしていたであろう「モノ」が「自己表現のためのツール」へと変化していったのです。個人的にInstagramが凄いと思うところは、人のモノの見方そのものを変化させてしまったことです。

現実世界がInstagramの世界へ入り込む

心が動かされるような写真を撮るには、普通の人は意識していない魅力を発見するための観察力が必要です。食べ物の写真を撮るのに「いい光」や「いい角度」を探し求めて何枚も撮影したことがある人も多いと思いますが、それはまさしく観察で、普段は意識しない「光」や「角度」を意識化していると言えます。プロの写真家はこのような鋭い観察力で世界を見続けているはずです。

しかしInstagramユーザーの中には、いい写真を撮ることよりも、自己表現を目的にしている層も存在します。彼らにとって写真を撮るための観察や探索は手間となるので、そんなニーズに応えるためか、近年は露骨に「インスタ映え」するものが世の中に増えた気がします。ピンク色のカフェや派手なスイーツは、注意深く観察するまでもなく魅力を発見しやすく、自己表現のツールとして消費されています。現実世界がInstagramの世界観へと入り込んでいるようで、まさに社会現象だと思います。

ということで、観察の視点から自分なりにInstagramについて色々考えてみました。私はSNSだとTwitterをよく利用しているので、興味ある方はぜひ。

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こばかな
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