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あそどっぐインタビュー7日目 その1 「コロナからはじまった 『コントの日』 」

2020年1月、はじめて国内にコロナ感染者が確認された。
4月7日、はじめての緊急事態宣言が発令された。
あそどっぐが「コントの日 voL1」をリリースしたのはその2日前、4月5日だった。
今回のインタビューは、4月22日に収録したものです。

あかほし(以下「ほし」): じゃああそさんは、2ヶ月ぐらい外出てないの?
あそどっぐ(以下「あそ」): うん、そうだね、ぜんぜん出てないね家ね。
ほし: ええ、そうなのか。
あそ: うん、ずっと家におる。
ほし: ありゃ〜・・・なんか気が滅入りません?だいじょうぶ?
あそ: 意外とねえ、YouTubeの撮影とかしてるから。なんかそれなりに慌ただしくすぎていくね。
ほし: そかそか・・・私はもうなんか、ちょっとめげてきてます。
あそ: (笑)
ほし: 出られない生活に。
あそ: そうだよね、それはそうだよね。
ほし: 動き回って発散するタイプなので・・・
あそ: うん。
ほし: なかなか。そうかあ・・・いや〜でもなんかあそさんの周りって、人がね、どうしても出入りするから。
あそ: そうだよね、ヘルパーさんが出入りするからね。やっぱ家にじっといてもリスクは・・・あるよね。
ほし: ・・・こわくない?
あそ: ああやっぱこわいよね、どうなるんだろうっていうのはね。
ほし: そうだよね。 1ヶ月前はけっこうヘラヘラしてたけど。
あそ: ね、ホントねえ。状況がかわるねえ。

ほし: いや〜・・・、あたしなんかその、自分が死ぬのもこわいけど、周りが死ぬのがこわいっすね。
あそ: そうだよね、うん、なんかうつすのとかがね、こわいよね。
ほし: うん。そうそう。4月に親知らず4本抜きの予定があったから、3月下旬ごろ東京に帰省してたんです。けど、手術前の検査やら診察やらしてるあいだにちょっと体調崩しちゃって、手術中止になったんですよね。
あそ: あら、体調くずしたん。
ほし: うん、そうそう。だからそれがコロナだったといえば、コロナだったのかな?って。
あそ: (笑)熱でたの?
ほし: 熱はなかったけど、咳がでてて。最初はノドだったけど、それは体質的に毎月あることだから、未だによう分からん・・・。
あそ: たぶん、知らんまにかかってる人は多いだろうね。
ほし: そうね。
ほし: で、そんとき・・・わたしすんごいマザコンなんですけど、お母さんがもう60すぎだから。(「将棋、何かしらの賢治、そしてリカちゃん」)
あそ: ああ、もうそんななるんだ。
ほし: そうそう。で、東京に住んでるからあぶないっちゃああぶないんですよね。
あそ: まあね、うん。
ほし: だからなんか、別れるのけっこうキツかったっすね。うん。
あそ: そうかあ。
ほし: だからお母さんに言えること言っとこうと思って「お母さんがお母さんでよかった」って言ったら、「死ぬみたいじゃん」って言われた(笑)
あそ: (笑)ホントなあ。
ほし: でも、こうなんか・・・言えずじまいになったらたまらんわと思って、言ってきた。

ほし: コロナって超おじいちゃんおばあちゃんしか死なないって思ってたんだよね、最初。
あそ: (笑)そうだね、そう言われてたのにね。
ほし: だから身体弱い人も死ぬとか言われたら、こわいっすよ。あそさんが死んじゃったらいやだなあって。
あそ: ほんとね。こわいよなあ。それはぼくもこわいよねえ。
ほし: うん。
あそ: うん。
ほし: う〜ん。
あそ: そうですわ。
ほし: いやあ〜・・・なんか、友達におじいちゃんとかあの〜、持病持ちの人とか。
あそ: うん。
ほし: あそさんも、いるから・・・。
あそ: うん。
ほし: けっこうビビってますねわたし。
あそ: 心配だよね〜、ねえ。
ほし: そう。でもそうかあそさんもその〜・・・サークルの友達が障害の人だから、あぶない人が、多いんかな?
あそ: 危ない人がふたりぐらいいるね。そのサークルのなかではね。あとは、ほかにもいる、かなあ。
ほし: そうかあ・・・だからあの〜、あそさんのかっこいいって思ってるおっちゃんに会いに行きたいとか言ってたじゃないですか?(「あそどっぐがリスペクトする、おっちゃん」
あそ: あ〜うんうん。
ほし: あれも、いつ行けんだろってかんじで・・・
あそ: 今はあんまり、ねえ。動けないもんね。うん。
ほし: いろいろ白紙にもどっちゃったなあって思って。だからなんか、なんだろう。なんか・・・何だろうなあ。死んじゃうかもしれないっていう時に・・・
あそ: うん。
ほし: なんかこう・・・なんだろうなあ。いきなりその、別の人間みたいになるのって、いやだなあって思ってたんですけど。
あそ: うんうん・・・え、どういうかんじ?
ほし: なんか「死んじゃうかもしれないから、いい人になる」じゃないけど。
あそ: ああ〜、うんうん。
ほし: なんか・・・ねえ。そういうこう「お前そんなやつじゃないだろう?」みたいのに・・・
あそ: (笑)うんうん
ほし: なるのっていやだなあって思ってたんだけど、でもやっぱり自分含めだれが死ぬかわかんないっていう状況になってしまったから。
あそ: うん。
ほし: やっぱり私自身変化は大きいですね、その〜・・・何がさいごの話になるか分からんから。
あそ: うん、そうだよね。ホントそうだよねちょっとね。
ほし: だから言えること言っとかなきゃいけないなあって。
あそ: うん。
ほし: すごい思っています。
あそ: うん。
ほし: そう。だからなんか。「あそさんが、死んじゃうのがイヤ」みたいのは、コロナになる前から思ってはいたけど・・・
あそ: うん、やっぱそれがなんかね、リアリティがでたよね。
ほし: そう、そうそう。
あそ: すごいリアリティがでたよな。
ほし: うんうん、なんかそれを言っても・・・ねえ。どうかなって思ってこれまでは言わなかったんだけど・・・
あそ: うん。
ほし: ま、すんなり言いますね、この場面では(笑)
あそ: (笑)
ほし: 言ったってしょうがないんだけど。
あそ: うん。
ほし: でも、その〜・・・なんか「自分はこういうふうに感じているよ」っていうのを。
あそ: うん。
ほし: 言っておきたいなっていう感じが、すごくつよくなってる。
あそ: うん。
ほし: あそさんはそういう変化って、ある?
あそ: 以前とは、ホントね。やっぱ自分自身がやっぱしね。
ほし: うん。
あそ: 弱いから、からだねがやっぱ。
ほし: うん。
あそ: まあ、かかったら「まあ〜まあ死ぬだろうな」っていう。
ほし: うん。
あそ: ある程度覚悟みたいなモンはあるよね。今ね、うん。だからまあかかっちゃったら死んじゃうなあっていうのはあるね。
ほし: うん。

ほし: あそさんはコロナで忙しくなった?暇になった?
あそ: ああなんかねえ、暇になるかと思ったら、かえって忙しいような気がする。
ほし: あ、そうなんや。
あそ: なんか暇にならない性格なのかもしれない。
ほし: へえ〜。
あそ: ていうかもうね、なんかね、ステージの仕事ぜんぶなくなってるでしょ。だからまあ、要するに仕事での収入がゼロなんよ。
ほし: そっか、うん。
あそ: で、あの〜、これがねえ・・・1年ぐらいは、計算するとまあ蓄えでぜんぜんいけるんだけど、それすぎちゃうと、あの〜極貧人生がやってくるので。
ほし: え。
あそ: うん、だから1年以内にこう・・・ネットで稼げないかなって思って。
ほし: ああ。
あそ: 動画の方にちょっといま、力を入れようとしているかんじかな。
ほし: ああそうなんや。へえ〜。そっかあ。すいませんそんななか時間をさいていただいて。
あそ: ああいえいえ。ぜんぜん、ぜんぜん。
ほし: そっかあ、めっちゃヒマになってるんだったらインタビューのペースを増やさせてもらおうかなと思ったけど、そりゃあ増やせませんな。
あそ: そんなにね、暇にならなかったんだよね。

あそ: うん、だからなんかネタとか書くのも、あの〜・・・浮かぶね。
ほし: あ〜。
あそ: なんか、ネタって、ほかの人は分かんないけど、ぼくの場合はなんか幸せな時期って、何も浮かばないのよ。
ほし: あ、そうなの(笑)うん。
あそ: うん。なんかね、順調な時期って、なにも浮かばなくて。だから去年は1年間仕事もある程度順調で、ほっといても仕事が舞い込んできて。
ほし: うんうん。
あそ: 去年1年間つくったネタってホントなんか・・・ウンコみたいなネタしか。
ほし: (笑)「ウンコみたいな」。
あそ: うん。なんだけど今は何かネタをつくりたいっていう感じがすごくつよく出てるね。で、実際アイデアも浮かぶような気がする。
ほし: へえ〜〜。
あそ: うん、去年とくらべて。
ほし: あ、そうなのか。
あそ: うん、だから芸にとってはとてもいいんよ。
ほし: あ〜ホント。
あそ: うんうん。
ほし: あああ〜。
あそ: 今の追い込まれた感じが。うん、うん。だから変化っていえば、そんなかんじかな。
ほし: 暗いときの方がよう書けるっていうのはめっちゃわかる。絵もそうだ(笑)(編注:ほしは絵描きです)
あそ: そうだよね。うん、そうなんだよ。そのほうがなんかね、いいのが産まれるのよね。
ほし: なんなんすかねあれ?(笑)
あそ: なんなんだろうね。そう考えるとなんかね、うんあの〜・・・なんかイヤな気持ちになるよね。
ほし: (笑)
あそ: (笑)「いいのを作り続けるためには、不幸でありつづけなきゃいけない」みたいな。
ほし: (笑)
あそ: ね、これはなんか、ジレンマだよね。
ほし: あ〜そうっすね。言ってたもんな、前も、お笑い芸人やればやるほどどんどん私生活が暗くなってるって。(「実家では無口なあそどっぐ」
あそ: うん、そうそう。そうなんだよね。やっぱなんかね、暗いときの方がおもしろいっていうか・・・ね。あとでも使えるようなネタは、できるね。
ほし: うんうんうん。ね。マジで無責任な案だけど「あそさんコロナでネタ書いてくんねえかな」って思うことはある(笑)
あそ: (笑)なかなかむずかしいよね。
ほし: むずかしいよね、炎上するよね。でもなんか、みんながコロナについてすなおにしゃべれないっていうか、なんかこう・・・
あそ: うんうん。
ほし: なんかコロナをガシッと掴んだお話ができないみたいな状況じゃないですか、今。
あそ: うん、うんうんうん。
ほし: なんかそんなかでビシッと決まるモン出したら、相当インパクトあるだろうなって思って。
あそ: う〜ん、なかなかね。1コね、つくったはつくったんだよ。
ほし: あ、コロナのコントを?
あそ: でもね、書くとね、状況がね、すごく変わるからね、早くね。
ほし: あ〜そうだね、うんうん。
あそ: だからね、つくってる間にもう、追いつかないんだよね。
ほし: そうっすよねえ。
あそ: だから難しいよね。
ほし: うんうん、たしかに。そうかあ・・・チャップリンの「モダンタイムス」に、歯車に巻き込まれてるシーンあるじゃないですか。
あそ: うんうん。
ほし: なんかああいう発明をしなきゃいけないんだろうなきっと。
あそ: うん、そうだね、うん。

(あそ: あ、ひざたてて)

ほし: う〜ん。そう私もなんか、人に手紙を書きまくってるんですよ今。昨日は4人書いた(笑)
あそ: あ〜書いたなあ。
ほし: ひとりは9枚になった。
あそ: (笑)書きすぎやろ。
ほし: ヤバいっす。
あそ: 封筒パンパンやん。
ほし: パンパンす。だからあそさんもネタがはかどるっていう話きいて「ああやっぱそういうこと起こるんだな」っていうナゾの嬉しさが。
あそ: うん、ふしぎだよね。
ほし: いやあ〜・・・そうかあ。いやあ〜・・・なあ・・・母娘ともども、たいへんお世話になっている、わたしの友人・・・(前回のあそどっぐインタビュー中も、娘を預かってもらっていた。ほし娘をリアル孫のように可愛がっている)。あそさん、覚えてます?
あそ: あ〜、うんうん。
ほし: あのおじちゃん糖尿病なんですよ。
あそ: あららら。
ほし: 持病持ちだからあぶないんですよね。
あそ: ホントね、持病。そっかそっかあ。
ほし: 彼は離婚していて、今はひとり暮らしだから、心配なのと、会えない分、娘の動画とか見せてあげられたらなと思って。
あそ: うん。
ほし: それでこの前、おっちゃんの息子さんに連絡とったんですけど。
あそ: うん。
ほし: そんときにあの、おじちゃん(以下、「もじじ」。ほしが命名した)が、この状況でですよ?私に送ってくるメールの文末に「娘ちゃんに会いたいもじじです」とか書いてくるわけですよ。
あそ: (笑)
ほし: わたしはこころが締め付けられて、「やめて〜」ってなったわけですよ。
あそ: (笑)
ほし: 娘を会わせないままね、もじじが死んだらどうしようかなって思うと・・・こわいんすよすごく。
あそ: うん。う〜ん。
ほし: とはいえ、まだコロナのことがほとんど分かってないから、会うことはできないとも思っていて。
あそ: う〜ん、そうだよなあ、今はねえ。
ほし: そう。で、「今はむずかしいよ」っていう説明をトータル3回ぐらいしたんですよ、会ったときも、メールでも。
あそ: うん。
ほし: それでも変わらず「会いたい」って送ってきたから・・・
あそ: う〜ん。
ほし: 「ふぬぅん」って思って。それで息子さんに相談してしまって。
あそ: うん。
ほし: そしたら、息子さんから「それは父さんがよくないからぼくから叱っておきます」って。で、その話を、私の母と夫にしたら「娘に会いたい」って、実際に会うウンヌンじゃなくって、それはただ甘えてるだけ、というか・・・
あそ: うん、うんうん。
ほし: その〜、恋人に「会いたいナ」って言う・・・ぐらいの、たぶんそんな言葉だろうから・・・
あそ: うん。
ほし: 「なのにお前、真に受けすぎだ」と(笑)
あそ: (笑)
ほし: 「そんな風に甘えてるのを、息子さんに知られるもじじがかわいそう」って言われて(笑)
あそ: (笑)それちょっとはずかしいな。
ほし: そうそうそう。で、あわてて息子さんに「あの、どうぞお手柔らかに・・・」って(笑)
あそ: (笑)
ほし: お願いしたっていうことがあったんすけどね。で、その後もじじと電話して。
あそ: うん。
ほし: 「あの〜、息子さんから連絡ありました?」って聞いたら、「電話かかってきたよ。しかられた」って(笑)
あそ: かわいそうに(笑)
ほし: 「ほしさんが心配してるから、ホイホイ出かけるな」とも言われたって(笑)そうそう・・・で、「あの〜・・・かくかくしかじかでわたくしも、母親と夫に怒られてしまいまして(笑)どうもすいませんでした」って・・・
あそ: (笑)
ほし: という一件があったんですけど。
あそ: (笑)

(あそ: あたまひだり あたまひっぱる)

あそ: じゃあぼくもうそろそろ・・・リハビリの時間になるので。
ほし: あ、そうなんだ!ああ、そっかそっか。分かりました。次の〜、約束はちょっとあとで。メールでいいですかね?
あそ: はいはい。
ほし: はい、じゃあ、長くなってすみません。
あそ: いえいえ、また。
ほし: げんきで。
あそ: げんきでねえ。ホントげんきで。
ほし: うん。また。
あそ: はいはいはい。
ほし: はい〜、よいしょ。

次回、「あそどっぐと阿曽太一のあいだで

あそどっぐ
1978年佐賀県生まれ。熊本在住。お笑い芸人。

あかほしあまね
1991年東京都生まれ。『コバガジン』のライター。

前回の記事はこちら 「ネタの話

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