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あそどっぐインタビュー1日目 その4 「実家では無口なあそどっぐ」

私は、あそさんを心底カッコいいと思った。
あそどっぐはどうやって今のあそどっぐになったのだろうか。
私たちは2016年に出会い、友人になった。手をつなぎ、デートもした。
飽き足らない私は、彼にインタビューをお願いすることにした。

あかほし(以下「ほし」): あそさんのお母さんは、昔からキャラクター変わらず?
あそどっぐ(以下「あそ」): う〜〜〜ん・・・そうだねえ。年を追うにつれて、つよい人になっていったような印象があるね。じぶんが子どもの頃とかはすごいドジで、ぽや〜っとしとる印象があったな。
ほし: あそさんのお母さん(以下、「あそ母」)、なんか、けっこう、独特ですよね。
あそ: うん、まあなんか変わってるよね。父も、父親も母親もだけど変わってるとおもうよ。
ほし: うちの母は、あそ母すごい好きだったみたいです。
あそ: ああほんとに?
ほし: そう。映画「寝たきり疾走ラモーンズ」で、あそ母があそさん宅に来るシーンあるじゃないですか(注1:文末参照)。ひさしぶりに来たっていって手料理でもつくるのかと思ったら、「はい」ってカップラーメンを差し出す・・・いいよねあれって言ってた。
あそ: (笑)
ほし: なんか淡々としててすごいとも言ってたな。
あそ: うん(笑)そうだね、いつもあんなかんじだね。
ほし: すごいなあ。見てみたいなあ。あそさんとあそ母が一緒にいるところを影から見たいです、コソッと。
あそ: (笑)
ほし: だれにも見られてない時の2人の空気が気になるな。
あそ: あ〜、いやそんなあれだよ、おたがい今干渉しない感じ、だよ?だからたぶん無言でお互い作業してるんじゃないかな。一緒に居ても。
ほし: あ〜そうなんだ。けっこう言葉少なでしたもんね、映画でも・・・そうか、あれは映画で緊張してたとかではなく通常運転なんですね?
あそ: うん、通常運転。それにぼくも、実家であんましゃべんないもんね。
ほし: あ、そうなの?
あそ: うん、ぼくけっこう家でおとなしいよ。
ほし: そうなんだ。家でおとなしい反動なんですかね?あそさんが昔から人前にでるのが好きだったっていうのは。
あそ: うん、たぶんそうだと思う。1人で居るときもなんかね、ちょっと暗めなかんじやもんね。
ほし: 芸人さんには根暗が多いって話、ときどき耳にはさみますね。
あそ: あ〜たぶん自分はそっちの方だと思う。
ほし: ブラマヨの吉田とかけっこう好きなんですけど、ホントに暗いんだろうなって。
あそ: う〜ん、たぶんそうだと思うよ。
ほし: (笑)
あそ: そう。あとね、なんかね、芸人になるとね、ネガティブな感じになるよねなんかね。職業病かもしれないね。芸人でやっていけば行くほど年々日常の生活暗くなっている気がする。
ほし: ヤバいじゃないですか(笑) そうなのか。
あそ: うん、ほんとに、うん。
ほし: まじか〜。身を削る職業ですね・・・
あそ: うん、ほんとに。幸せになってってない気がする。
ほし: (笑)マジかよ。衝撃の告白。でも笑いをとったときの気持ちよさが忘れられないからやめられない・・・
あそ: そうだねそれがあるからね。
ほし: 麻薬じゃないですか。
あそ: うんほんとに、ほんとに。ヘンなのにひっかかったわあ。
ほし: どこまで関係あるかわかんないですけど、美術大学の友人も数年ぶりに会うと鬱病になってたとか、けっこうあります。
あそ: あ〜、うんなんか分かる気がするよね。ナイナイの岡村さんとかもね鬱病になって、ねえ。桂枝雀っていう人間国宝の人も自殺しちゃったもんね。分からんではないよね、なんかね。
ほし: ああ〜。へえ〜。うちの母も桂枝雀好きって言ってたな。
あそ: うんうん、すごいよね。ぼく高校のとき一回だけ見たんだよねえ。生で。まだ生きてた頃・・・よかったなあ。
ほし: あ、そうなんだ。生枝雀。
あそ: うんたぶん、ほんと亡くなるちょっと前ぐらいのじゃないかな。僕が高校んときだから。
ほし: あ、ほんと。
あそ: 貴重な体験したわ。
ほし: どんな・・・ムードというか、かんじなんですか?
あそ: なんかねえ、まあ何がおもしろい、ネタがおもしろいとか、ネタの内容とか、何の話をしたとか全く覚えてないんだけど、なんか桂枝雀が居るだけでおもしろいような。なんかステージ中が顔みたいに、顔がデカく見えたねえ。
ほし: へえ〜〜、すごい。いいなあ、その体験。
あそ: うん、いい体験した。
ほし: なんかかっこいいなあ。死ぬ前のステージ見た若者に「ステージ中が顔だった」言わせるって。余談ですけど、わたしの母親が好きな人ってだいたい自殺するんですよね。
あそ: ヤバいね。
ほし:うちの母あそどっぐファンだから・・・あそさん気をつけて(笑)
あそ: ヤバいね(笑)自殺せんようにせなあ。でも大丈夫よ、ぼく自殺できないから。
ほし: よかった。
あそ: あんしんや。
(あそ: 足ひだりやって。
※ ヘルパーさんに声をかけて体勢を変えている)
ほし: あそさんのいちばん古い記憶ってなんですか?
あそ: いちばん古い記憶。3歳くらいの頃に、うちの親が家を買ったのね。で、それをもうすぐわが家になるよって、建ててる最中の家をなんか雨の日に車で見に行って、車の中でぼんやりと家を眺めてるのがたぶん、いちばん古い記憶かな。なんか覚えてるそれは。

注1: あそどっぐ主演のドキュメンタリー映画。2017年公開。監督は島田角栄。映画予告はこちら。DVDはこちら

次回、「取材されるあそどっぐ」

あそどっぐ
1978年佐賀県生まれ。熊本在住。お笑い芸人。
あかほしあまね
1991年東京都生まれ。『コバガジン』のライター。


前回の記事はこちら 「生き延びるためのM」

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