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マイナンバー制度の問題点①

民業圧迫


 マイナンバーカードの機能の一つにJPKI認証を利用したオンライン上での本人確認機能というものがあります。そのカードの利用者が、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)の確認する本人であることを証明する仕組みがあるという建前になっています。まあ、一応あるんです。

 件の記事はその機能の民間利用への拡大を薦めたいという政府方針です。この方針そのものは昨日今日出て来たものではなく、マイナンバーカードの発行が始まる前から計画されていたもので、2017年には既に「ぴあ」によって実証実験が行われていました。

 しかしその後2018年11月の「犯収法」施行規則の改正によりオンラインでの本人確認electronic KYC、electronic Know Your Customerシステムが様々に立ち上がり、現実的には今スマホがあれば、誰でもがeKYCによりオンライン上で本人確認を行うことができるようになりました。

 ただし法律上も「公的個人認証(電子署名)」に関してはマイナンバーカードに拠る方法しか認められていません。2016年に民間事業者も公的認証を行うことが可能になったのですが、これを可能にした法律が「電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律」であり、そもそも「公的個人認証(電子署名)」=地方公共団体情報システム機構(J-LIS)ありきという法律の立て付けになっているのです。

 しかしコンサートチケット購入転売防止にそもそも「公的個人認証(電子署名)」が必要でしょうか。購入者が顧客の誰であり、利用者が誰であるというだけの情報があれば誰も困らない筈です。コンサートチケット購入の本人確認に、住民票上の本人であることの確認が果して必要でしょうか?

 私個人(誰?)はこういうマイナンバーカードの利用拡大を「便利」だとは思いません。現行のスマホを利用したeKYCで十分であり、マイナンバーカードの押し付けは民業圧迫だと思います。

 そしてこの話題が出た時に一番の問題だと思ったのは、報道側も官房長官も「公的個人認証(電子署名)」に関わる法律やこれまでの経緯、eKYCの技術仕様や普及状況をほとんど理解していないのではないか、と疑われる点です。マイナンバーカード利活用推進ロードマップを見れば、今回のニュースそのものがいささか頓珍漢なものです。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000472673.pdf

 この件に対する批判もこれから相次ぐでしょうが、お互いにまずは事実をよく確認することが必要ではないかと思います。




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