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『彼岸過迄』を読む 4376 漱石全集注釈を校正する③ 三田線神田行は小石川に向かう

 岩波書店『定本 漱石全集第七巻 彼岸過迄』注解に、

神田行の電車 本郷三丁目から須田町、小川町を経由して三田まで行く三田線が想定される。「神田」という名の停留所は当時なく、「神田行」は神田方面という意味合いの通称だったろう。

(『定本 漱石全集第七巻 彼岸過迄』岩波書店 2017年)

 ……とある。三田線には「本郷三丁目行き」と「神田小石川行」があった。また「神田」とは「神田方面という意味合いの通称」ではなく、また「神田バシ」を指すのでもなくまさに「神田小川町(かんだおがわまち)」を指すものと考えられる。

 三田線の各停留所は、「本郷三丁目行き」の場合以下の通り、

三田 ↔ 芝園橋 ↔ 櫻田本郷町 ↔ 日比谷 ↔ 神田橋 ↔ 小川町 ↔ 須田町 ↔  松住町 ↔ 本郷三丁目

 ……となり、「神田小石川行」の場合、

三田 ↔ 芝園橋 ↔ 櫻田本郷町 ↔ 日比谷 ↔ 神田橋 ↔ 小川町

↔ スルガ台下 ↔ 神保町 ↔ 水道橋 ↔ 春日町 ↔ 指ケ谷町

 ……となるのではなかろうか。

 指ケ谷町は小石川指ケ谷町のことで、

 つまり「神田小石川行」とは三田から見て、「神田小川町」経由で「小石川指ケ谷町」へ行きますよという意味だと考えられる。ここをただ漠然と「神田方面」としてしまうと小石川に行きたい人が困ってしまう。


[余談]

 近所のスーパーで、鏡餅がずらっと並べられていて焦った。まだクリスマスも来ていないのに。




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