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マイナンバー制度の問題点⑤

 学者を名乗っていてもこの程度にマイナンバーカードとマイナンバーの区別が出来ていません。
 しかし一番恥ずかしいのは、

 こういう知ったかぶりですね。現状では国税庁は国民の資産を把握していません。ならなら収入も把握していません。出来ていれば確定申告は必要ありません。届け出済みの固定資産は把握しているかもしれませんが、資産は固定資産のみではありません。

 こういう人も源泉控除のみで確定申告の必要はありませんので、この人の資産は国税庁は知りません。
 で、この話のどこがマイナンバー制度の問題点なのかといえば、これが現状ではマイナンバーによる情報連携では、中途半端な情報しか集まらず、監視社会も実現しない代わりに、プッシュ型の給付サービスも実現しないという現実がありますよ、という話だからです。
 日本は現状申告納税制度を取っています。しかし税務署は申告額と実際の収入額の差を反面調査して「増差」を得ることを目的に活動しています。しかし上場株式の配当は源泉控除を受けることで無申告を選択したことになり、配当控除の申告や、譲渡益税との損益通算調整を申告しない限り、そもそも反面調査の対象とならないのです。つまり平たく言えば、勝手に調べることはできません。
 生活保護のプッシュ払いも出来ません。その人にどんな収入があるのかということを、本人の申告無しに確認する手立てがないからです。
 マイナンバーを利用した情報連携とは、実はかなりスカスカで、案外役に立たないものなのです。

 一つ具体例を挙げましょう。マイナンバーによって添付書類が省略できる手続きというものが公表されています。

 しかしよくよく調べてみるといかにも中途半端なのです。
 例えば健康保険の扶養認定で考えてみましょう。実は被扶養者の98パーセントは配偶者か子です。すると必要な証明書の中で最も多く求められるのは、
・被扶養者ではない配偶者の収入に関する証明書
・在学証明書
 ……となります。これはマイナンバーを利用した情報連携では取得できない情報になります。被扶養者ではない配偶者の収入に関する証明書が非課税証明書であれ、アルバイト先の給与明細であれ、マイナンバーを利用した情報連携では取得できないのです。
 取得できるのは被扶養者の前年度の税情報程度です。年金情報などは職歴が正確に解らないと照会できません。
 マイナンバーによる情報連携とはその程度のものなのです。
 これも行き当たりばったりで制度を進めた結果です。
 先が見渡せない人たちが、多分便利になるだろうと考えた仕組みがこれです。
 生活保護がプッシュ給付にならないのはマイナンバーによる情報連携がいい加減なものだからです。現状の日本は監視社会には程遠いものです。

 岸田さんが村上春樹の本を買ったことは監視されていますが。



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