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地方(長野)のフィットネスクラブの集客方法について考える〜力を入れるところを間違えると…

長野でフィットネスクラブとスイミングスクールに勤め25年目となります。今まで色んな販促方法にトライしてきました。今まで取り組んできた手法と現状から現時点で見えていることをお伝えしようと思います。

昔はシンプルでよかった

私が入社した1998年代は、新聞折込チラシがメインでした。地元紙に対し折込チラシ広告チラシを入れる手法でこれは今でも行っています。

クラブの商圏は、店舗により地域差は若干あるものの概ね3km〜5kmなので、県内全域の購読者に届けられる新聞誌面内の広告では、コスパが悪いのです。なので新聞折込チラシなのですが、それならかなり細かくエリアを絞ることができます。

既存会員様の属性を調べると大方エリアが絞られるので、同じ地域にするか、まだ未開拓の地に配布するかなどを考えて出稿します。タイミングも重要ですね。

そして、折り込んだ時は大体セットで、近隣住宅へのポスティングを行います。これにより、新聞購読者ではない方もカバーできます。ポスティングも望むターゲットによりある程度選別もできますがそれについてはここでは割愛しますね。

こんな感じで、昔はこのように折込チラシだけをしてました。というかこれしか選択の余地なかった(笑)それからはフリーペーパーなども出始めてますのでたまに活用しています。

まだまだ競合も少なかったため、この手法のみで集客できていた時代です。

2000年に入りインターネット時代に

1995年にMicrosoftが発売したWindows95は、インターネットが一般に普及する大きな契機となったといわれていますが、私の肌感覚では2000年を超えたあたりかなと思ってます。

まだまだ、ワープロとパソコンが混在していた時代。さらに、ワープロで頑張ってネットを繋ぎ閲覧していました。私は、1998年入社で、すでにWindows95がリリースしてましたので、これからはパソコン時代だ!と思い、周りからは仕事上関係のないんじゃないの?と言われてましたが、入社早々の5月に28万くらいでローンを組んでシャープのメビウスを購入しました。そして、頑張って設定して仕事が終わるとパソコンをいじってましたね。

思い返してみたらあの頃からネット上には掲示板というものがあり、色んなスレッドに対して自由に投稿できる世界がありました。mixiなんかも結構早かったですよね。今や当たり前の世界となりましたが、当時、知らない他者とこんなにも簡単にコミュニケーションが取れることに驚愕と興奮したのを覚えています。

ちょっと前置き長くなりましたが、この頃から販促の一つとしてホームページ運用を開始しました。当時は業者も少なかったため、自分で社内のWEB担当者代表になる!と立候補して、ホームページビルダーを使い一人で自社ページを全て作り上げました。

そしてそれからというもの、時代の流れに合わせてホームページのリニューアルを3度行っています。

時代はSNSへと変化していった

2006年にTwitterなるものが出現し、個人の情報発信の気軽さと手軽さが一気に増しました。クラブでも販促ツールとなることはわかっていたので、まずは自分でと思い2009年か2010年ごろからやり始めて、会社では2011年からビジネスとしてTwitterを利用しはじめました。今考えるとこの間長かったですね…でも、昔のスピード感って情報量が少ないためこんな感じだったと思います。今では考えられないですね。

まずは自分の店舗でテストケースとして運用し始めました。クラブの特性上、情報はクラブに来ることのできる方に届けばいいので、長野県内のTwitterユーザーをフォローしまくり、絡みまくりました。ハッシュタグ機能も追加されていたり、地域のTwitterアカウントのまとめサイトをうまく活用しました。結果、25000近くのフォロアーがついてくれました。

社内への浸透が大変だった

運用の流れは大体わかったので、今度は目的である全社運用に着手です。当時4店舗でしたので、担当者を一人ずつ決め、まずは物を売るために必要なことから研修していきました。フィットネスやスイミングのスタッフは学校の先生的存在と認識している人が多く、商売をやっているという感覚があまりないように感じていました。

通常、物を買った時に金銭のやり取りがあるので、ザ・商売とわかりやすいのですが、クラブでお客様に運動指導をしてもそこでの金銭のやり取りは発生しません。そう、クラブは月会費制のサブスク。金銭のやり取りは毎月月末に指定口座で引き落とされますので、目に触れることがないのです。そのため、物を売るという感覚が薄く、そういった観点で集客する事が弱いと思いました。

Twitter運用の目的(CV コンバージョンとも言います)は、認知拡大とHPへの誘導です。最終的にはHPでの体験申し込みがゴールとなります。しかし、実は裏ミッションとしてスタッフ教育を考えていました。スタッフが自社のウリを商売目線で探して自分の言葉で伝えるトレーニングです。そして、もう一つ。必ずこの先10年後にはSNSやそれに変わる物で情報発信をしていく時代になると思っていましたので、その時にすぐに抵抗なく着手できるスタッフ達と会社のマインドを育てることも考えていました。

社内SNS運用の問題は目的設定の有無

社内でTwitter運用が始まり、問題となったツイートがあります。

「ペヤングなう」

ある時のスタッフがお昼にペヤングを食べてますという意味のツイートですが、このツイートには色んな問題が含まれていました。

このツイートにどんな目的があったのでしょうか。

当時スタッフはネタに困っていて、スタッフの裏側を見せたかったためツイートをしたようです。確かに、裏側を見せることは必要で、共感や、親近感が増し、関係性が作られると思いますので、基本的にOKな内容なのですが、問題はこの「ペヤングなう」に願いや祈りなど意味はあったかなのです。

健康や体づくりに気をつかっている方が通うクラブでスタッフがそうでなければ信頼できる?という話なのですが、このツイートが例えば、「ペヤングがとても大好きな私ですが、いつも我慢してます。毎回これだと栄養バランスが崩れるので月に一回のご褒美です。ペヤングなう。」こんな感じなら、応援したくなったり、そうだよね、スタッフも私と同じ人だもんね。などの共感が湧くと思いますが、「ペヤングなう」だけでは、えっ!いつもこんな感じの食生活なの?こんなスタッフがいるクラブは信用おけないな〜となる方も少なからずいると思ったのです。内容は同じでも、言葉だけの表現は相手がどう想像するかなので難しいのです。

また、他の問題としてツイートネタ探しについてがあります。

情報発信者は、いつも何をツイートしようかなと考え、何にもツイートすることないな〜と悩みます。時にそういうこともあると思うのですが、スタッフ自身はクラブのことを隅から隅まで知っていますが、外部の全く知らない方にとっては、何もかも全く知らないのです。私たちが日常当たり前と思っている普通が、お客様にとっては全く新しいことだったりします。スタッフは、これを普通か普通でないかの見極めをするのですが、誰に届けたいかを明確に思い描けるかどうかなのでと思っています。

自分のレンズで世界を見てしまうと、普通に見える世界でも、相手のレンズにはめ変えると全く違うものが見えます。つまり、私たちが日頃から行なっている世界は他者にとっては普通ではないのてわす。そのレンズは色がついているかもしれません。自分のレンズは無色でも、あの人のレンズは薄い青色をしているかもしれません。その世界で物事を見ると自分中の普通が普通でなくなります。これは、この話に限ったことではなく、日常でも起こり得ることです。いつもやっている普通を届ければいいのです。でも、大抵普通では面白がられないからと自分目線で考えてしまい、普通の事の発信をするのを嫌がります。日頃やっていないような○○イベントだけピックアップして発信してしまいます。そうすると他者から見ると何をやりたいクラブなのかなどの、クラブとしての根幹である想いや希望、祈り、願いが見えず共感されないのです。それは信用につながるのだと思います。あくまで、誰に何を届けたいかをイメージして、この人にこうなってもらいたいな〜という祈りを持った視点でネタを探すのです。

あとはそれを受け取った相手が決める事。そこのコントロールを私達はできません。相手にそうなってもらいたいと祈るしかないのです。逆にコントロールしようとするとバレます(笑)人はコントロールできない前提が大切です。

会話でもそうですよね。「普通そうだよね」はあくまでも自分の普通で自分レンズから見た世界で話しています。しかもそのレンズっていうのも、他者によって作られた自分の世界です。レンズを外した時が素の自分ですが、これはなかなか難しいと思いますので、何かしらのレンズをつけていることを知るということが大切です。ここ深い話なので飛ばします(笑)

話を戻して、「ペヤングなう」でもいいのですが、それを誰に届けたいか、どうなりたいのかなってもらいたいのか、その方のレンズをはめてみるのです。そうすると、その方がどうなりたいか、自分の中で変換されてどうなってもらいたいかとなります。いくつか言葉が出て自然と必要な言葉を選択できるのです。

いつもアンテナを立たせ、必要な情報を受け取れる体制と、誰に何を届けてどうなってもらいたいかという願いや祈りがそこにあるかが大切だと思っています。

炎上もそうかもしれません。ネタに困って、自分のレンズで面白い!と思ったことはみんなも面白いはずだ!という発想で、コンビニの冷蔵庫に入ったりなどのアルバイトテロが起こるのではないでしょうか。

やはりここは、目的が大切。SNSをどのような目的で使用して誰に届けるかをしっかり社内で共有する事と、それを共有し続けることが大切です。ここがぶれなければ信用を少しずつ貯めていくことができます。でも、この共有し続けるというのがとても難しい。仕組みと忍耐、そしていかに仲間を巻き込むかがポイントとなります。一人だけではできません。

こんな感じで問題も起きましたが、おかげさまでみんなの理解も得て5年以上はTwitter運用をしてきました。

そもそもクラブ販促でSNSって必要で?

当社のTwitter目的は、認知拡大とHPへの誘導でしたので、GoogleアナリティクスでSNSからの誘導数を毎月確認して改善していきました。

でも、初めにある新聞本紙広告についてお伝えしたように、クラブに来れるお客様は近隣の方のみです。SNSは無料の媒体ですが、日本全国や世界に情報発信するよりも、ご近所さんに情報発信する方がコスパいいんじゃないかと感じ始めました。

ご近所マーケティングです。

フィットネスクラブでいうと利用者は高齢者が多く、SNSを利用している方も相対的にわずかです。それよりも、町の公民館に無料で出張運動教室をしたり、近所にスタッフが買い物に行ってそこのスタッフと友達に立った方がコスパが良く確実だと思い始め一度SNSの活動を縮小しました。

集客は口コミがメイン

クラブのお客様の多数は人からの紹介です。あのクラブに通っているから一緒に行かない?という場合や、あのクラブいいみたいだよーという口コミからご入会される方が一定数います。

それならその口コミを広げてもらうやり方を考えた方が効率よくない?という事で始めたのが公式LINEです。

このLINEの目的はいくつかあります。

既存顧客向け
・コロナ禍でのクラブ利用について
・クラブの緊急連絡(半強制登録必須)
・クラブのイベントなどの告知
・クーポン発行して来館を促す
既存顧客からの口コミによる外部顧客向け
・紹介キャンペーン
・イベント告知(会員と友達が一緒に参加できる。もしくは会員の友達のみ。)
・プレゼント(来館すると○○できる。もらえる。)

基本的にあくまで既存顧客向けとしながらも外部のお客様に情報発信できるツールとなっています。

これの良いところは信用です。

私たちが一生懸命良さやウリをプッシュしても、信用している方のプッシュの足元にも及びません。情報の信頼性は誰が発信しているのかだからです。そしてその人が信用おける人かそうでないか。

この点においてクラブではTwitterよりLINEのほうが親和性が高いと言うポイントだと言えます。

今日コロナのため臨時休講となりますとかの緊急連絡時にLINEはとても便利なので、会員様はほとんど違和感なく登録でき、しかも、情報の発信者(口コミ者)となってくれるからです。特にお子様をお持ちのスイミングスクール保護者様に対してはベストマッチとなります。そうなると配信数も増えるので、配信通数が多い有料版の契約が必要となります。ちなみに支払いはLINE社内ではなく、PAID社内という会社になります。ウチもそうですが、会社では難しいところも多いカード払いだけでなく請求書払いもあるので便利です。

クラブ発信よりもスタッフ発信の方が信用度が高い!?

また、LINEは色んなアカウントを作れるので、最近はクラブアカウントだけではなく、スタッフ個人アカウント(会社のアカウントの中につくります)をつくり運用しています。これがクラブにはまっています。クラブにファンをつけるよりも、スタッフ個人にファンをつけると言う手法です。なので、その個人が散歩イベントをやるよ!朝5時に集まってーと声をかけるとすぐに30人集まります。これも誰が情報発信しているかで、クラブの会員様でもクラブ発信よりも信頼のおけるスタッフ発信の方が信用が高いのです。

ある程度のコミュニティを持つ企業なら挑戦してほしいのがこのスタッフにファンをつけるというやり方。多分これからはスタッフ自身がお客様を連れてくる時代にもっとなります。大手ではないのでクラブについてくる方は地方のある程度田舎になると難しい気がします。

情報発信の本質は変わらない

現在、手段としてLINEをメインで使ってますが、あくまで手段でありそれが目的にならないようにしなければいけません。誰に何をどのような方法で届けるかをいつもスタッフと話し合えるかが大切で、その文化を一人ひとりが作れるチームづくりが大切です。

それがぶれなければ手段はなんでもよくて、その時最適な物を選んでいけばいいだけです。

最近、ある場所である方から健康情報やクラブ情報をその方のお客さまに配布する手法で効果が出ています。違う場所で配布してもダメです。その場所で、しかもそこにいるその方から受け取る事がいいのです。

販促の方法は一つではなく、誰に何をどのように届けるかを間違えないという認識を持ちながら、今までやってきたことにいつも疑問を持ち選択していく勇気が必要なんじゃないかなと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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