「ねぇパパ、うちは電気自動車にしなくていいの?」
こんにちは。
最近初めてクルマを買ったサムエルです。うちはセレナのe-powerにしたんですが、周りの友人を見ると僅かに電気自動車を選んでる人がいますね。会社にも、中国の電気自動車メーカーBYDの優待営業が来てました。
私は、電気自動車は実験段階の製品だと思っていますので、買う人がそれを理解して買うのであればいいかなと思いつつ、ガソリン車を否定した電気自動車礼賛というのは反対しています。
そんな電気自動車ですが、政治の都合で今後国内でもブームが訪れるようなことになった際に、子どもから
「パパ、なんでうちは電気自動車じゃないの?地球に優しくないよ」
なんて言われる日が来るかもしれません。
そんなとき、
「電気自動車は高いからね。ガソリン車の方がうちの財布には優しいんだ」
と論点をずらして答えるのもいいですが、
せっかくなので環境負荷の観点から子供の疑問に答えられるようにしたいと思いました。
今日は電気自動車が、ガソリン車に比べて、環境負荷が小さいのか?という問いに対して反論できる論点と、それでも電気自動車を推進する人を応援できるポイントを解説していきます。
走行中以外の環境負荷は?
まず子どもには、クルマが環境に影響を与えるタイミングを網羅的に伝えるところから始めましょう。物事を目の前の事象だけではなく、背後に広がるシステムも含めて捉える訓練になります。
走行中については電気自動車の方が排出する二酸化炭素は少ない(あるいはゼロ)になるため軍配が上がります。しかし、走行前=製造過程における二酸化炭素や有害物質の排出量については、電気自動車の方が環境負荷が大きいとされています。
①車体に必要なレアメタルの精製過程
電気自動車とガソリン車では、同じクルマでと使われているパーツに大きな違いがあるといいます。ガソリン車は複雑なエンジン機構のためにものすごい数の部品を必要としますが、電気自動車はモーターで動かすのでかなりシンプルな構造になるそうです。
対して、電気を伝える機構に必要な希少金属の存在が電気自動車では問題となっています。
詳細な説明は、東京大学の先生のインタビュー記事がわかりやすいので掲載しておきます。
要するに、電気自動車を作るために必要かな素材を作るために、環境汚染が発生しているという事実です。もちろんガソリン車についても同様の検証は行わなければなりません。
私にガソリン車と電気自動車の全てのパーツ、素材の精製過程において発生する環境負荷物質の総量を算出したり調べたりするのはできませんが、
電気自動車はガソリン車に比べ環境にやさしいという主張はこの点を検証した上で語られるべきでしょう。
②電気そのものの生産過程
こちらは非常にシンプルです。
ガソリン車の場合は化石燃料を燃やして走り、走行中に二酸化炭素を排出します。
対する電気自動車ですが、電気自体は化石燃料と違い自然界に存在するものではなく、人工的に何かのエネルギーを電気エネルギーに変換することで生成しています。
では、この電気エネルギーの生みの親が気になるところですが、2024年現在、EV先進国であるEUや中国においては、まだまだ化石燃料を燃やすことで生み出した電気エネルギーを生み出しています🪨→💡
そして、エネルギーは変換するたびに、その量を減らしてしまうので、間に電気エネルギーを挟んでいる分、ガソリン車よりも電気自動車のほうが非効率、つまり環境負荷が大きいということになります。
③その他の論点
①、②以外にも、走行中以外の比較ポイントは多くあります。
バッテリーやモーターの耐久は、エンジン機構の耐久と比べてどうか。また一つ当たり作るのにどれだけ負荷がかかるか
製品を廃棄する際の環境負荷は?
電気自動車の給電システムを新規で建設し社会に浸透させる際に必要なエネルギーは?また維持に必要なエネルギーは、ガソリンスタンドシステムの維持エネルギーと比べてどうか?(例えば、全世界の電気自動車を仮に自然エネルギーで賄うとなった場合には、その分の電気エネルギーを生産する発電機器が必要になるが、その維持に必要なエネルギーはどうか。)
それでもEVにも正義はあるか?
私は現時点の電気自動車には環境負荷の点で優れているとは思っていませんが、ある一点においては高く評価できると考えています。
それは、未来(ビジョン)があることです。
イーロンマスクのEVビジョン
ガソリン車の未来といえば燃費を上げることに尽きます。(※乗り心地や事故防止などは電気自動車にも当てはまるので考慮していません。)
しかし、電車自動車が精製工程での廃棄物問題や化石燃料に依存した電気エネルギーの供給の問題を解決した際には、ガソリン車では描けない未来が訪れます。
例えば、テスラのイーロンマスクが10年以上前から掲げているビジョン『マスタープランパート2』を見てみます。
クルマの屋根に高性能なソーラーパネルとバッテリーを設置することで、クルマが勝手に給電してくれる。自動運転にはクルマの制御系が電気の方が都合がよい。クルマを持っていると勝手に人を乗せて運賃を稼いでくれるようになる。
こういう世界を彼は描いているようです。ここにスペースXの衛星通信と、コミュニケーションや決済をつなぐX(Twitter)、電気自動車では非効率な長距離移動を実現するハイパールーフと合わさることで、彼の描く未来がより具体的に見えてくるはずです。
私の思うEVビジョン
上記に加え、電気自動車にはガソリン車にはない特徴があります。
まず、ソーラーパネルによるマイクロ発電が可能になることで、資本力に依存しないエネルギー確保が可能になります。
これは産業革命以降の歴史で一度も実現したことがありません。
これまでの格差問題や地域紛争の多くが、エネルギー資源の奪い合いによる搾取の歴史ともいえますが、例えば自分の移動にかかるエネルギーだけでも自給できれば、かなり世界は変わります。
あとは、電気自動車自体が巨大なバッテリーとなることにより、各家庭の蓄電余力が大幅に拡大することで、中央発電所の負担を軽くできます。現在の太陽光発電は、余った電気は電力会社に買い取ってもらう仕組みになっていますが、その送電ロスは無駄でしかありません。
日産リーフの事例ではすでに実用化されているようで、日照時間の長い地域では経済合理性もあるようです。
まとめ
オリンピックのルール変更があったときに、ヨーロッパはゲーム自体を変えてしまうのが得意だという意見を聞くと思います。
オリンピックのルール変更はダサいなと思いますが、今回の脱炭素×EVシフトについては、ビジョンを描きそこに至る途上だと理解すると、うまい一手だなと思いました。
日本のガソリン車のゲームから降りて、
電気自動車のゲームを新しく作り、
政治の力で参加者を新しいゲームにのせていく手腕は、見習うべきでしょうし、子どもにも教えたいです。
ただ、経済合理性を著しく欠き、大義名分の環境保護も嘘っぱちで、しかも中国とテスラに市場を持っていかれるとするなら、ヨーロッパが主導できる時期もそう長くないでしょう。
ここまで述べたうえで、子供にはクルマの購入理由を話せるといいですね🚗
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