学生実験の真義〜レポートでのbreakthroughを通して〜
私は今学生実験のレポートを書いている。念のため説明すると学生実験とは、研究質配属よりも前に行われる実習形式の講座である。今回そのレポートを書く中で気づいたことがあるので共有したい。
学生実験の目的とはなんだろうか?私は研究室配属に備えた実験手技の基礎育成にあると考えていた。確かに実験器具の操作法を事前に知っておくことに意味はあるように思える。
ただ実際に実験に参加して、時間が非常に限られているということを感じた。この短い時間で技術を身につけるには無理がある。特に学生実験の場合、人数が多いこともあり運用費用のかかる最新機器は使われない傾向にある。代わって用いられるのが一世代、二世代前のある意味"職人技"が求められる方法だ。数回行っただけで身につく技術ではない。
もう1つ私が漠然と考えていた学生実験の目的は、研究室の宣伝である。研究室配属までの道のりは"ミニ就活"である。つまりは研究室側は優秀な学生を採りたい。優秀な学生が来るにはその研究室の魅力を知ってもらう必要がある。一般社会ではこれをインターンといって学生を集めている。
確かに研究室を見学するよりも実際に手を動かすほうが研究室のイメージをつかみやすい。だからといって学生実験での手順自体が研究室でそのまま役に立つとは思えない。実際、研究室ごとに教育を行っていると聞く。
さて、話は今書いているレポートに戻る。このレポートは非常に"重い"のである。既に2万字、30ページを超えている。内容が多い分調べることも多くなる。特に今回の実験では先行研究のデータがなく(私が調べるのが下手という可能性はあるが)細かい情報を拾い集めて考察を書くことになった。6つ実験に対しそれぞれ考察を書かなくてはならないのだが、1つの考察を書くのに毎日図書館に通って3日間かかった。
学生実験の考察でここまでやる必要があるか否かは別として、少し思うところがあった。それはちまちまと細かい情報を収集することの意味である。1つ目実験の考察を終え、2つ目の考察に入ると格段に書くスピードが上がったのである。breakthroughしたのである。これだ!と私は直感した。
学生実験で得るべきは実験手技だけではない。手を動かして得たすべての知識の蓄積なのである。その蓄積は必ずしも得ようと意図して得た情報だけではない。今回、レポートのために調べる中で周辺知識や、どの本に何が載っているか?何がどの分野なのか?が自然に身についていったように感じる。特に、知らない書架から目的の本を探すのは大変である。今回の例でいえば、それまで私は医学書の書架には明るくなかったのだが、徐々に配置が分かってきて実用的に本を探すことができるようになってきた。
以上のことから私は学生実験の本義は実験を通して知識を蓄積すること、さらにはそれを自分の目で見て、調べることにあると考える。
はやくレポート終わらせてくれ。
大学に向かう電車の中から
追伸
私がどう調べてもわからないときに用いる方法を紹介します。だいたい皆さん同じだと思いますが...
まずはGoogleで調べたい単語を検索します。例えばコアセルベート説を調べたい場合、まずは検索窓にコアセルベート説と打ち込みます。
次に検索窓で検索して若干の情報が出た場合はその結果からその単語のジャンルや関係者などの周辺情報を集めていきます。
検索窓での検索で見つからない場合はGoogle Scholarで検索します。たいていGoogleで検索すると論文も含めた検索結果が出るためそこまで期待しません。Scholarはむしろ情報が多すぎるときに論文に絞って検索するときに向いていると思います。
日本語で無理なのであれば英語で検索をかけてみます。日本語の記事がない場合、スペルがそもそもわからない場合もあるので最初は想像していきます。接頭語や接尾語で分かる可能性もあるので一度分解してみたりします。ちなみにコアセルベートはラテン語のcoacervatioからきていて、cum(with)+acervō(heap)+tio(名詞化)と分解できます。つまり集合体ということです。
日本語の場合にも分解してそれぞれについて調べることも有効だと思います。例えば脱水素酵素がわからない時には脱+水素酵素、脱+水素酵+素、脱+水素+酵素、脱+水+素酵素といったように小さな単語で検索していきます。
ここまでで大まかなジャンルは絞れたことにします。また課題として出された場合には既にジャンルが分かっている場合や問いの文脈から推測することもできます。ジャンルが分かったらひとまず図書館のそのジャンルの棚に行きます。本はまずは絞らずにとりあえず見に行きます。ただし書架が横断している場合もあるので注意が必要です。例えば化学物質を調べたい場合には一般化学や物理化学は近くにありますが、生化学は生命科学寄りに配置されていたりします。ですから両方見る必要があります。
まず書架を見渡して一番大きい本を見つけます。とりあえず大きい本です。具体的にいえば辞書、事典、データブックなどです。これらの本には広く浅く出ているため周辺知識を得ることに適しています。索引をひいて出ていなければそこにはないのでテンポよくいきます。
次に得た周辺知識をもとに本を探します。知識の網の目にかかる本は載ってなさそうと一瞬思っても見逃してはいけません。ただ多分載ってないです。
疲れたので以上にしやーす
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