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芝村裕吏『やがて僕は大軍師と呼ばれるらしい(2)』感想

 読み始めると止まらないんです。昼ご飯食べるのも忘れて一気に読了です。


 舞台は人間やエルフ、オークなどが生活する剣と魔法(と銃)の世界です。いわゆるラノベ異世界という感じです。

 ライトノベルですが極端に客観的な文体です。森見登美彦とかを読んだ後だからか、余計に主観的な表現がない様に感じたのかも知れません。

 主人公が客観的に物事を捉えているので、ヒロインの主観(気持ち)には鈍感です。(また)ヒロインは苦労しそうです。

 そんなすれ違いをみるとニヤニヤしてしまいます。

 戦闘でも相手の将の主観の部分には鈍感で意表を突かれ損害を出したりします。

 戦闘なので死ぬ時は死にます。こっちは悲しいです。

 戦闘ですが兵站、ロジスティクスを攻撃して常識では勝てない戦闘を有利に進めます。異世界のロジスティクスは19世紀よりも前という感じです。

ロジスティクスについて

 同著者『マージナル・オペレーション』はコンテナなど現代の標準化、機械化されたロジ、『遙か凍土のカナン』(はるカナ)は19世紀から20世紀にかけての蒸気機関車と鉄道網による陸上輸送に焦点が当てられていると言えるでしょう。

 それ以前の大量・長距離輸送の要は船舶でした。馬やラクダでは量もスピードも出せなかったからです。

 ちなみに、19世紀に入り鉄道網の整備が進められた結果、100年で線路の総延長が100万キロメートルを超えています。地球一周4万キロメートルですので地球25周分に相当する凄まじい距離です。

閑話休題。この作品では蒸気機関車以前のロジスティクスです。主人公は限定された範囲ですがチートじみた通信技術を確立します。その情報と知謀、予測によって低速なロジの世界で無双します。


おわりに

 先が気になります。種族を超えた協力関係やヒロイン達との進展とかこれからです。3巻の発売を楽しみに待っていたいと思います。


▼『やがて僕は大軍師と呼ばれるらしい』1巻


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