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なぜ私はフルマラソンで撃沈レースを繰り返したのか?

ああ、甘くはなかったサブ4 

 ランニングは、ただ走るだけでも気持ちがよいのですが、長い距離を走れるようになったならば、ぜひフルマラソンにも挑戦してみたいもの。30キロ以降に訪れる何とも表現のしがたい苦しみや、それを乗り越えて完走できたときの喜び。さらには、目標タイムを掲げて、それをクリアできたときの達成感は、筆舌に尽くしがたいものがあることでしょう。

 とはいえ…42.195キロを目標タイムで走りきるのは、そう簡単なことではありません。僕は2018年から4年間、ランニング雑誌の編集長を務めながらフルマラソンに6回挑戦。サブ4(4時間切り)を目指して走りましたが、撃沈レースを繰り返し、結局、自己ベストは4時間30分と目標達成には至っていません。正直に言えば、大学時代は体育会でしたし4時間切りは楽勝だと当初は思っていましたが、マラソンはそんな甘いものではありませんでした。

 ではなぜ、僕は撃沈レースを繰り返すことになったのでしょうか? 雑誌づくりに追われて練習が計画的じゃなかったとか、レース当日にコンディションを合わせられなかったとか、いろいろ課題もあるのですが、なんといっても一番の要因は…

 ゆっくり長く走る練習が足りなすぎる!

 これでした。

トレイルの超一流の最も多い練習は?

 何の知識もないまま「マラソンを4時間で走りなさい」と言われたら、どんな練習をしようとするでしょうか? きっと、4時間切りのペースである1キロ5分40秒ペース(またはそれ以上のペース)で走るランニングをひたすら繰り返して、そのペースで走れる距離を伸ばそうと考えるはずです。しかし、実はこうしたやり方は非効率でケガもしやすく、本番での結果にもあまりつながりません。実際に、僕の経験上もそうでした。

 本当に効率が良く結果につながるトレーニングは、長い・短い(距離)、速い・ゆっくり(ペース)とメリハリをつけて走ること。なぜそうなのかは運動生理学的な話になるので省きますが(興味のある方はぜひ『クリール』を買って読んでみてください)、なかでも「長い&ゆっくり」のスタミナ向上系の練習は、どうしても時間をとられるし、かったるく感じるものなのですが、マラソンのような長丁場を走りきるには、最も大切にしなければいけないトレーニングになるのです。

 マラソンとはちょっと違ってトレイルランニングの話なのですが、今年のUTMF(日本最大級のウルトラトレイルレース)の女子優勝者であり、8月末のフランスのUTMBに参戦していた宮﨑喜美乃選手(Kimino Miyazaki(@miyazaki_kimino))が面白い情報を教えてくれました。そのUTMBで新記録を打ち立てて4度目の優勝を果たしたキリアン・ジョルネ選手の、心拍数をもとにしたトレーニングやレース中のデータが公開され、トレラン界での話題になっているのだそうです(下リンク参照)。

 いろいろ細かく見ていくと非常に面白いデータなのですが、下にスクロールして最初のころに出てくる「トレーニング強度」を見て、「はやりそうか!」と膝を打つ思いでした。彼のトレーニングは、心拍ゾーン1または2という、心臓のドキドキがほとんど上がらない低強度で走る練習が実に8割弱を占めているのです。マラソンとウルトラトレイルでは競技性は違いますが、長い距離を走る、しかも速く走るためには、それだけ「ゆっくり長く」のトレーニングを多く積んで有酸素運動の土台をつくるのが大事だという共通項は、一流選手のデータから見てもわかります。日本のマラソンのエリート選手も、こうしたデータを公開してくれるといいんですけどね…。

つくばマラソンに向けての作戦

 というわけで、いろいろバタバタとしていて練習が思うようにいかず、次のレースである11月のつくばマラソンに向けて焦ってきている僕ですが、現状、思い描いている作戦は「目標ペースを追う練習は控えめにして、とにかく『ゆっくり長く』を飽きるほどやる!」ということです。具体的には、120~150分のロングジョグ(1キロ6分00秒~6分30秒)や180分LSD(1キロ7分00秒~8分00秒)を週末練習の軸にして、平日も下手にスピードを上げる練習はせずにジョグ中心の作戦でいきたいと思います。課題がわかっているんだったら、ちゃんとやれよ!という話ですね、はい、頑張ります。


 

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