野球肩を予防する!トレーニングのまとめ
前回のnoteでは野球肩予防のための16種類のセルフケア方法を解説つきでご紹介させていただきました。
今回のテーマ「予防トレーニング」について
前回のセルフケアとの違いを整理します。
ケアとトレーニングは混同しやすいですが、
ケアは運動によって負担のかかったところを回復させる役割
トレーニングは運動において弱い部分を補強していく役割がある
と捉えています。
そのため、<野球肩予防のトレーニング>では
・野球肩に共通してみられる弱くなりやすい部分
・野球肩を引き起こしやすくなる要素
を理解しておかなければなりません。
それでは、どのような部分が弱くなると野球肩を招きやすいのでしょうか。
今回は野球肩の要因とそのトレーニングについてまとめていきます!
■〇〇が弱いと野球肩を招く
はじめに野球肩を招く要因について考えていきましょう。
野球肩の要因には大きく分けて
身体的要因(ソフト面)・環境的要因(ハード面)に分けられます。
可動域・筋力・投球フォームといった身体的な要因に対する対応はケアやトレーニングを指し、環境的な要因に対しては選手を取り巻く環境つくりの整備が必要であると思います。
環境的な要因については今回のテーマと少し離れてしまうため、今回は割愛し、身体機能面にフォーカスしていきます。
それでは、肩の痛める場面をおさらいしていきましょう。
こちらの図は前回のnoteでも説明させていただきました。
動きの詳細はコチラに書いてあります。
投球動作において肩は最も大きく動く関節です。
肩関節はボール状の構造をしているため、大きな動きが可能です。
大きな動きをするためには、それを動かす力に加えて、関節の中心がぶれないように支える役割が求められます。
そのため、動かす筋肉だけではなく、動きを支える筋肉がとても大切になるのです。また、肩はボールに対して関節の受け皿が小さな構造をしていることから、<安定する>ことはキーポイントになってきます。
野球肩の多くは、<動きを支える機能>が弱くなっていることが問題となっています。
トレーニングに必要なことは動かす筋肉のみに偏らないこと!
動きを支える・関節を安定させる筋肉の役割が予防をするうえで重要です。
■柔軟性と筋力どっちが大事?
投球障害には何をすべきか?
と考えてみた時に、おそらく<柔軟性>をイメージする方が多いのではないでしょうか。
投球障害を予防する上で柔軟性はとても重要です。
それは投球動作にはそれだけの動きが求められるからとも言えます。
実際に投球障害と身体機能との関連についての論文にも可動域(柔軟性)が多く報告されています。
投球障害になりにくい身体をつくる上で柔軟性の獲得はおさえておかなければなりません。
―筋力はどうでしょうか。
ケガは自分の動かせる可動域以上の動きを繰り返すことで故障を招きます。
そのため、広い可動域をもつことは障害予防にはかかせない要素です。
しかし、可動域が拡がってもケガをしないわけではありません。
拡がった可動域を動かすことのできる筋肉の働きがなければ、投球動作にその可動域を生かすことはできません。
身体が柔軟だからケガをしないのではなく、その可動域をコントロールできるからケガをしにくいのです。
つまり、柔軟性・筋力どちらも大事であり、ストレッチや筋トレは状況に応じてバランスよく行うことが大切になります。
■肩の故障を防ぐために必要な筋肉の役割
肩の痛みが起こりやすい動きを先程お話しさせていただきました。
負担のかかりやすい投球フォームや過剰な投球数、カラダの筋力や可動域が不足した動作の繰り返しによって、これらの部分がよりケガをする可能性が高くなっていくことになります。
ここでポイントになるのが、肩の回旋の動きと肩の動きの土台となる肩甲骨を安定させる筋肉が特に重要です。
<肩の回旋に関与する筋肉>
<肩甲骨を安定させる筋肉>
これらを中心にトレーニングしていきます。
◼️トレーニング方法
それでは実際のトレーニング方法について解説していきます。
ケガを予防するトレーニングでは主に関節を動かす筋肉に対し関節を支える安定させる筋肉を強化します。
肩甲骨を安定させる筋肉である菱形筋・僧帽筋・前鋸筋のトレーニングを解説し、肩甲骨の安定がある中でそれを連動させた全身のトレーニングを進めていきます。
基本(Basic)と応用(Advanced)に分けてその解説をします。
ここではBasicは肩甲骨を安定させるそれぞれの筋肉のトレーニング
AdvancedはBasicのトレーニングができたうえで応用した内容となっています。
ーBasic
<菱形筋トレーニング>
肩甲骨を背骨の方向にひきつける菱形筋のトレーニングです。十分にできたら、うつ伏せからスタートしてみましょう!
<前鋸筋トレーニング>
肩甲骨の腕立て伏せになります。
耳と肩の距離が近づかないよう注意してやってみましょう!
<僧帽筋トレーニング>
肩甲骨を下方向に引きつける僧帽筋のトレーニングです。天井方向に腕を挙げていきます。腕が斜めに傾かないようにしながら、肩の高さまで挙げていきます。
その他、Basicのトレーニング内容はコチラに挙げてあるので、お読みいただけたらと思います。
ーAdvanced
つぎに、Basicをふまえた応用の動きを解説していきます。
腕の前後の動きが主な動きですが、肩甲骨の安定なくしてできません。
動画内ではマシンを活用していますが、ゴムバンドを活用してもできます。
胸の筋肉にストレッチを加えながら強化するトレーニングです。
投球動作の中で、腕が最も捻られた動きになるとき、胸椎の伸展が求められます!
バンドの張力を保持するのに必要な肩甲骨周囲の安定と動きになります。
カラダを支えている側の安定性が求められます。
ツイート内でも解説していますが、
ポイントは「固定と可動」
動かすためには安定が必要です!
先程の動きに近いですが、上半身の回旋した動きのため、骨盤が同じく回旋してこないようキープしていなければなりません。
下半身トレーニングと連動させて行っていきます。
上半身の回旋だけでなく、重りの位置をコントロールする機能が求められます。
ここまで9種類の肩甲骨の安定性を目的とした予防トレーニングメニューをご紹介させていただきました。
肩をケガする選手は肩の関節/肩甲骨を安定させる機能が弱くなっているケースが多い傾向です。
投球数の管理をしたり、投球フォームを修正することも野球肩を予防する一方法ですが、投球動作で繰り返し強い力のかかる部分をトレーニングしておくことが予防のために重要であると思います!
ぜひご参考いただけたらと思います!
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