強いヒジをつくるための「肩」
前回、「強いヒジのつくりかた」について
ヒジの内容を中心にお話させていただきました。
強いヒジをつくるためには
「柔軟性」-「筋力」-「協調性」がバランスよく働くことが大切であり、それぞれのチェックポイントとトレーニングについてお伝えしました。
投球動作は全身で動く動作です。
投球動作の定義
運動連鎖に基づく全身運動であり、
地面からの反力を下肢・体幹から上肢
そしてボールに伝える運動である
野球肘は全身運動の中で、肘に負担が過剰にかかってしまうことによって起こります。
つまり、原因はヒジのみにあらず、ヒジ以外の上半身(肩や手首)・体幹・下半身が原因にあることが多くあります。
今回は、投球動作を掘り下げて
・どんな動きがヒジの負担を生むのか
・どのようにトレーニングをしていくのか
についてnoteでまとめてみたいと思います。
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■投球動作は全身動作
投球障害のほとんどが肘や肩に痛みを訴えます。
そのため、
「ヒジの痛みがなくなれば、肩の痛みがなくなれば大丈夫だろう」
と思う方が多いのではないかと思います。
投球障害による痛みは一回の大きな力で壊れるのではなく、繰り返しの負荷が蓄積して壊れていくケガです
「ヒジの痛みがなくなれば、肩の痛みがなくなれば大丈夫だろう」は間違いではありません。
ただし
<肘の痛みだけがなくなればよい>のではなく、
<肘の痛みを起こす問題を対処>していかなければ、
さらなる障害を起こしてしまう可能性があるということを忘れてはいけません。
ここが
選手自身・指導者さんに意外と理解されていないケースがあります。
投球動作は下の左図のように下半身から起こる動作であり、その力が体幹・上半身に伝わり投球を完成させます。
反対に、右図は上肢のオーバーユースにより投球障害をきたしやすい動作のタイプです。
投球動作はダーツのように肘手以外のカラダを止めた状態で投じる運動ではありません。
そのため、
投球に至るまでに下半身や体幹からの力の伝達が不十分であると、投球時に腕に過剰な負荷がかかってきます。
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■ヒジの負担がかかる動作
投球動作においてヒジの負担のかかりやすい動作を知っておきましょう。
|肘のストレスとなる「外反」と「伸展」
ヒジの捻りが強くなるとき起こる<外反>
リリースするときに起こる<伸展>
これらはわずかに起こることでは大きな問題はありません。
問題は<外反・伸展>が過剰になってしまうことです。
この負担がケガにつながっていきます。
以前のnoteにも書かせていただきましたので、ぜひお読みください。
野球をしていた方はわかると思いますが、この動作の時に意識的にヒジを捻っているわけではありません。
からだの動きによって肩・肘は捻られていきます。
特に痛みを訴えることの多い肘の外反は隣り合う関節である
<肩の動きの影響>を大きく受けます。
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|肘の「外反」と肩の「外旋」
肘の外反はボールが頭の後ろにまわる<肩の最大外旋>のときに起こります。
「肩の最大外旋時に求められる動きの角度」
肩甲上腕関節外旋:約105°
肩甲骨と胸椎の伸展:約40°
つまり、ヒジ・肩・背中を合わせて
約140~150°の回旋動作が必要であるといわれています。
それに対し、肩や背中の動きが不足していたり、硬さがあると、投げるたびに肘に<外反>の力が大きくかかってきます。
ヒジは肩と違い関節の構造上、本来捻りのある動きをする関節ではありません。
そのため、強い捻りはストレスとなり、ヒジのケガにつながっていきます。
これらより、肘に過剰な負荷をかけないためには、肩の動きが大切になってくることがわかるかと思います。
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■ポイント「柔軟性+ゼロポジション」
肘が外反方向に捻りすぎないために、肩の動きが重要であることをお伝えしました。
下図のような
肩の<最大外旋(MER)>という動きが不足すると、肘に負担がかかりやすくなります。
そのため、負担の少ない投球動作を目指すには
<肩の回旋>と<胸の張り>を十分に安定して行えることが大切です。
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|柔軟性と安定性
そこで必要となるのが
【前胸部の柔軟性】
と
【肩・肩甲骨まわりの安定性】
それぞれに対してトレーニングをしていきます。
トレーニングをするにあたりおさえてほしいポイントがあります。
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|ゼロポジション
腕の回旋にかかせない【ゼロポジション】
肩は車のタイヤや扇風機と同じく
早く強く回すためにはお互いの軸が一致することが重要です。
からだではゼロポジションで運動できることで、
筋肉の余分な緊張をおさえ、
関節に負担の少ないトレーニングが可能になります。
そのため
【柔軟性+ゼロポジション】を意識したトレーニングをしていく必要があります。
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■ヒジのストレスを減らす?肩のトレーニング!
ここまでヒジのケガを生むストレスについての話をまとめました。
ここからは肩についてトレーニングを挙げたいと思います。
|①前胸部の柔軟性
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|②僧帽筋下部
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|③腱板
<STEP1>
まずは運動範囲をしっかり拡げましょう!
肘・肩の位置がずれないように動かしていきます。
<STEP 2>
1ができたら肘の高さを上げていきます!
1よりも運動範囲が小さくならないように動かしていきます。
<STEP 3>
テンポをあげていきましょう!
ペットボトルに入った水が
フタと底をいったりきたりするようにします。
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|補足
胸郭の動きを拡げるトレーニング
胸郭の動きを拡げるトレーニング
胸郭の動きを拡げるトレーニング
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まとめ
・野球肘は全身運動のなかで、肘に負担が過剰にかかってしまうことによって起こる。
・肩の最大外旋時に必要な動きは【約140~150°】。肘・肩・背中が十分に動くことが重要である。
・肘に負担の少ない動きを求めるならば【前胸部の柔軟性】と【肩・肩甲骨まわりの安定性】
・ゼロポジションで行う3つのトレーニング
最後になりますが、
強いヒジをつくるためにはまずヒジに負担のかかりやすい動きを知ること、
その負担を大きくしないためにはまわりの動きがカギとなってきます。
<痛めているヒジでないからやらない>ではなく、
ケガの起こる過程を知ることでその重要性が高く感じるのではないかと思います。
ぜひ、ご参考にいただけたらと思います。
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