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マネジメント会計

春期の講義が次々と終了しています。
春期には、「マネジメント会計」「マネジメント基礎」「経営組織論」「経営分析の技術」を受講したのですが、この「マネジメント会計」は前半で受講した「財務会計」の知識を利用しながら、会計を通して企業内部の活動をマネジメントするという内容であり大変興味深かったです。

教科書は「管理会計のエッセンス」「花王の経理パーソンになる」でした。

授業は全12回で、基本的には「管理会計のエッセンス」にある内容にそって進みます。基本知識がある方であれば、本を読むだけでも十分理解ができるのかもしれないのですが、本をもとに桜庭先生が丁寧に解説を加えてくださるので基本知識がない私でも理解しながら進めることが出来ました。

以下が授業スケジュールです。月曜・金曜に動画がアップされ、課題を提出して、クラスメイトとオンライン上でディスカッションするといういつもの流れで学びを進めます。
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01 経営におけるMGT会計の実際 情報化時代の経営実務とMGT会計
02 実践的な経営分析 財務諸表分析と経営分析
03 原価計算 Ⅰ 製造業・サービス業のための個別原価計算
04 マネジメントに必須のCVP分析 製造・販売量の変化と原価・利益の関係
05 原価計算 Ⅱ 原価配賦と総合原価計算・直接原価計算
06 意思決定に必要な原価情報 経営意思決定における原価情報の活用
07 価格設定と顧客収益性分析 価格決定・顧客収益性分析など
08 投資意思決定 長期的意思決定と時間的アプローチ
09 予算と計画とコントロール 計画とコントロールにおける予算の役割
10 原価計算 Ⅲ 標準原価と差異分析
11 マネジメントにおける業績評価 分権化と業績評価
12 まとめ MGT会計と実践
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 そもそも「マネジメント会計」とは何かですが、広くは「管理会計」と呼ばれる分野です。「財務会計」が財務諸表などを用いた株主などの外部への情報提供であるのに対して、管理会計とは内部への情報提供に用いられます。経営管理者の目標達成に用いられ、随時情報提供されるという特徴があります。
 この講義で管理会計と呼ばない理由は、業績記録という管理の問題だけではなく、「どの問題に注目すべきか」という注意喚起や、「どれが最善か」という問題解決、「目標達成のためにどうするか」という幅広いマネジメントに使用するべきという本来「Managerial Accounting」の意味を理解するためです。管理の視点ではなく、経営するための会計として未来志向で、経営目標達成のために活用できる知識として学びました。

 原価計算についてはⅠ・Ⅱ・Ⅲと3講座にわたって学びました。材料費・労務費・経費といった分け方だけではなく、直接労務費や間接労務費といった製品の製造にかかわる過程について注目した分け方も学びました。いくつもの事業が並列して行われている際に、間接費を事業ごとに配分(配賦)して費用を正しく把握する必要があるという原価配賦という考え方は、大変参考になり病院経営上も重要な視点であると感じました。活動基準原価計算(Activity Based Costing)についても学びを深めることができ、配賦の基準(コストドライバー)をどのように設定するかということの重要性も知ることができました。標準原価差異を考えることで、発生すると予測された原価と実際の原価を比較して、潜在的な問題を明らかにし業務をコントロールするということも学びました。製造業では%オーダーで差が出ないように原価をコントロールするようですが、病院経営では計画から10%以上ずれることもしばしばのように思います。業務の違いはあれど、あまりどんぶり勘定ではよくないのでは…と感じました。

 CVP(Cost-Volume-Profit relationship)分析=損益分岐分析(Break-even-analysis)では、変動費と固定費から計算される損益分岐点について学びました。費用には、売上と一緒に増減する変動費と、売上に関係なく計上される固定費があります。固定費分を賄いながら、売上と変動する変動費に対してもプラスになる売上高を損益分岐点と呼びます。適切な利益計画を行うために必要不可欠な知識として習いました。医業は、非営利的な側面もあり余分に売上を高める必要はないと思うのですが、継続していくためにはある程度の利益を出していなければならないという難しい点があるとおもいます。どのくらいの外来患者、どのくらいの入院患者、どのくらいの管理料…など感度分析(sensitivity analysis 、”what-if” analysis)を行いながら、経営計画を進めていく必要があると感じました。

 増分分析は、経営意思決定をするうえで重要です。この事業を行えばどの程度収益増があるか、この事業から撤退すればどの程度収益が減るのか、などを考える方法です。単純に増やすことで増える収入と費用を比較するのですが、すでに発生したコストである埋没原価はコントロールができないことなどを考慮する必要があります。また、注文を受ける際には、その注文を受けることで受けられなくなった他の注文や作業などの機会原価なども考慮する必要があります。この学びは、たとえば「不採算部門」として縮小や撤退が考慮される部門に対して、本当に撤退が正しい判断なのかということを検討するのに役立つと感じました。収益だけが論点ではないと思いますが、収益の観点から見ても矛盾した決定がなされている可能性もありそうだなぁと予想しています。

 業績評価にもマネジメント会計の知識が用いられます。単純に売上高(収益)を比較しただけでは、それぞれのサブユニットの評価はできません。原価と収益をコントロール可能な組織のレベルまで跡付けしながら評価を行います。それぞれ、コストをコントロールするサブユニットである「コストセンター」、コストコントロールと収益を生むことに責任を負う「プロフィットセンター」、収益+コストに加えて投資にも責任をもつ「インベストセンター」に分かれます。
 インベストセンターの評価手段としては、ROI(投資収益率、Return On Investment)を「財務会計」に引き続き同様に学びました。ROIとは、投資額に対する利益の率です。投資をした分、利益を十分に上げていなければならないという考えです。病院でも多くの医療器材などを導入することがあるので、ROIは重要な評価指標となりそうに感じました。ただ、やはりROIのような財務指標だけでは十分な評価とならないことが指摘されており、バランススコアカードなどを利用した非財務尺度もKPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)に加えていく必要があると学びました。

以下のサイトでは、病院におけるプロフィットセンターとコストセンターに分けて、間接費を配賦しながら、実際の利益を計算する過程が図になっていて分かりやすかったです。

 このnoteをまとめている最中にも、この記載方法で合っているかな…細かなところはどうだったけ…と教科書やノートに戻りながら確認しています。
 最終試験はこれからなのですが、実践の中で有効に知識が利用できるように訓練したいと思います。

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